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3分で読めるレイルロオドのお話「みくろが教えるダチョウのすごさ」&WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第19話ネーム&字コンテ(全)

9月も終盤に入り、夜ともなればだいぶん過ごしやすくなってきた気がします。

とは申せ、そうなりますとあっという間に「夜は冷え込む」になるのが世の習いでございますので、気候のよろしい間に、複数抱えてしまっている懸案事項を順次解決していかなければ、としみじみ考える所存です。

が、この暁は嬉しいことも山盛りで、
10月5日の25:00からは東京MX様での
TVアニメ『レヱル・ロマネスク2』の放送が開始され、

同じ月末の28日(土)には、聖地・人吉でのイベント
『レヱル・ロマネスクサミット2023』も開催され、

12月にはPS4/NINTENDO SWITCH向けのゲームソフト『レヱル・ロマネスクOrigin』もリリースされる予定です。

特に、『レヱル・ロマネスク2』。
フィールドレコーディングという作品モチーフに、一部の音響関係の方々の興味を抱いてくださっている様子が感じられ、とても嬉しくこころづよいことと感じております。
その興味を、もっと広い範囲のみなさまに抱いていただけますよう、わたくしも、わたくしにできる広報告知、頑張っていければとあらためて思うばかりです。

その一環としても機能していきたい、現在鋭意ネーム連載中のWEBTOON 作品『レヱル・ロマネスク0』の方、
第19話『動物園のレイルロオド』のネーム一式が揃いましたので、一気に公開いたします。

字コンテともども、どうぞご笑覧いただけましたら幸いです。

今回のネームで「ダチョウ」という飛び道具(!?)が出てまいりましたので、本日の短いお話も「ダチョウ」をテーマに書いてみたいと思います。
登場するレイルロオドは、みくろ。
タイトルは「みくろが教えるダチョウのすごさ」

どなたにも無料でお楽しみいただけるお話となりますので、双鉄との幕間の一コマとしてお読みいただけましたら幸いです。

■みくろ■


雄武田市立動物園に所属するレイルロオド。
いまは静態保存機となっている38696とコンビを組んでいた。
動物が好きで動物にも好かれ、動物に大変詳しい。

■「みくろが教えるダチョウのすごさ」■

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「しかし、ダチョウは良くみくろに懐いているのだな」

「いえいえ、ダチョウに懐かれるなんて無理ですよ。だってダチョウ、なんにも覚えてられませんから」

「!!? しかし、現にみくろはダチョウの背に乗って」

「それは餌で注意をひいてその隙にエイヤって乗るんです」

……なんと、想像を遥かに絶する手段だった。
と、いうか――

「『なんにも覚えていられない』のか? みくろが単に、懐かれていないというだけでなく」

「このダチョウ園の園長さん、開園して25年以上たってますけど、顔を覚えてくれたダチョウ、ただの一羽もいないそうです」

「なんと」

「それどころかダチョウ、自分の家族も忘れちゃいます。
パニックになって一度走り出して、落ち着いたときには元の奥さんとは別の雌と普通にカップルを組むそうなんです」

「なんと」

「あと、野生のダチョウは敵に追われると頭を砂に突っ込んで逃げるのをやめてやられちゃうことが多いんです」

「ふむ?」

「頭を砂に突っ込んだら、敵が見えなくなるじゃないですか。だから、敵がいなくなったと思って安心してそのまま」

「なんと!」

それは――まさしくなんにも覚えていられない――というか、その域を越え

「ダチョウは、もしかして何も考えられないのか?」

「それは少し言い過ぎかもですけど、多分、ほんの少ししか考えられないんだと思います。
ダチョウ――見てください。目、つぶらでかわいらしいですよね?」

「うむ」

「その目玉より、ダチョウの脳みそはもっと小さいんです」

「なんと!!!」

それはまぁ――記憶力とか理解力とかを臨むのが酷というものだろう。
しかし、そこまで行ってしまうと……

「よくも絶滅を免れているものだな、ダチョウ」

「その秘密は、ダチョウの回復力ですね」

「ほう?」

「ダチョウ、抗体を作る能力が全生物の中でダントツに高いんだそうです。
だから、怪我にも病気にもものすごく強い」

「それは素晴らしいな」

「人間さんたちのの病気の治療とか予防につかう抗体って、動物の体内――血液で作ることが多いそうなんですけど」

「うむ」

「マウスを使うと、それにだいたい一年くらいかかるってお話で」

「ほう」

ネズミといえば繁殖力と生命力の塊のような印象がある。
そのネズミをもってして一年。
医薬品開発という見知らぬジャンルの厳しさに、ほんの少しだけ触れた気がする。

「ダチョウだと大体14日間ほどでいけちゃうって話なんです」

「なんと!!!!!!!!!!」

まさしく、文字通り桁違いだ。
それほどすさまじい速度で適正な抗体を製造できるのであれば、なるほど。
怪我からでも病気からでも用意に回復を果たせよう。

(回復力……か)

みくろがこのダチョウ園にハチロクを連れてきてくれた理由。
その一端に、触れられたような気持ちにもなる。が――

「見習いたくもあるが、見習いたくもないものだな、ダチョウ」

「あはは! 確かに。いいとこどりだけしたいですよね」

「まさしくな」

鳥だけに、いいとこどりをしたいもの。
ふと思いついたその言は、喉の奥へとしまい込む。

なにせ僕とて、ダチョウよりは知恵があるゆえに。

;おしまい

///

いかがでしょうか?
短いお話で隙間を補完していきたくもあるWEBTOON作品『レヱル・ロマネスク』0。

どなたにも無償でご確認いただける0~7話のネームはこちらとなります。

よろしければどうぞ、あわせご笑覧ください。

(それ以降のまとめはメンバーシップ特典です)

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【メンバーシップ限定記事のご案内】

『レヱル・ロマネスクnote』メンバーシップ『御一夜鉄道サポーターズクラブ』

にご参加いただきますと、レイルロオドたちにかかわる詳細な内部設定資料や掲示板機能などをお楽しみいただくことができます。

『レヱル・ロマネスクゼロ』の字コンテ掲載時には、その字コンテがネーム化されたもの、および推敲過程でボツになった未公開ネーム画像などがあるときには、そうしたものも公開していきたく思っております。

どうぞご参加ご検討いただけますと幸いです。

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