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3分で読めるレイルロオドのお話「ハチロクのリズム」&WEBTOON作品『レヱル・ロマネスク0』第13話シーン1ネーム

さて、本日から『レヱル・ロマネスク0』第13話「協賛者探し」のネームを掲載してまいります。

一個前の第12話のネームまとめは

ですので、よろしければ再度ご確認の上、

第13話シーン1のネームの方

お楽しみいただけますと幸いです。

13話からはわたくし、演出面でのアイディア出しも、以前より積極的に行うようにしております。

それはなぜかと申しますと、さまざまなご指導いただきましたおかげで、

WEBTOONは、マンガというより、動画に近いな、ということを感じましたためです。

上→下にフィルムが流れていく動画、という感じですね。

ので、マンガのように視線誘導をさほど気にする必要はなく。

その分逆に「テンポコントロール」的な部分が難しくなってしまっている――

ただ単にコマとセリフを並べるだけだと、すごく一本調子になってしまうな――

ということを、理解したように感じたためです。

この先、わたくしなりに工夫してるのをご確認いただけることなるかと存じますので、
もしよろしければどうぞご期待のほどいただけましたら嬉しいです。

と、いうことで本日は「テンポ/リズム」をテーマに短いお話を書いてみたいと思います。

タイトルは「ハチロクのリズム」

登場キャラクターはハチロクと稀咲でございます。

どうぞご笑覧のほどいただけますと幸いです。

■ハチロク■

旧帝鉄8620形蒸気機関車トップナンバー機、8620専用レイルロオド。
レトロ趣味と思われがちだが、新しいものにもわりと飛びつく。
好きな音楽はワルツ。

■宝生稀咲■

湯医学園の学園生ながら、隈元銀行御一夜支店長を務める才女。
お嬢様としてひととおりの教育を受けているため、
音楽やダンス(ソーシャル)に関しても、基礎的な素養を有している。

■「ハチロクのリズム」■

(あらすじ)
レールショップで鼻歌を口ずさんでいたハチロク。
双鉄を訪ねてきた稀咲に聞かれて赤面するも、
せっかくの機会――と、音楽談義に花を咲かせます。

///

「♪タン タララタンタンタン タンタンタンタン」

「おや、随分ゴキゲンな様子だね」

「ひえっ?! き、稀咲様っ!?」

どうしましょう、わたくし、鼻歌など聞かれてしまって――

「双鉄……は、不在のようだね」

「双鉄様でしたらポーレット様と市役所に。
ですが、おそらくほどなく戻られることかと存じます」

「そう? なら、ここで待っていても」

「はい、もちろんのことでございます」

とは申しましても、いささか……やはり気恥ずかしくはありますし

「さっきの曲、あれでしょ? 『レイル・ロマネスク』」

「!!? 稀咲様ももうご存知なのですか?」

「うん。ハチロクくんをイメージして作曲された楽曲だって双鉄がもってきてくれて。
御一夜鉄道のキャンペーンソング的に使いたいって相談を受けていたんだ」

「では、本日もそのお話に?」

「まぁ、それも含めてもろもろだけど――
ふふっ、やはりうれしいものかい? とても素敵な曲だものね」

「はい! わたくし大いに気に入りました。
わたくしが好むとご存知くださったのか偶然なのか、
とても素敵なワルツのリズムの楽曲で」

「あー」

……? どうされてしまったのでしょう。
稀咲様が突然こまったようなお顔になって――

「残念、それは違うんだ。ハチロクくん。
レイル・ロマネスクは3拍子――ワルツに聞こえなくもないけど、
よーく聞けば2拍子系、マーチのリズムの曲になってる」

「え?」

「説明……言葉だと難しいんだけど――そうだね」

稀咲様が、ぱぱぱとスマホを操作されます。

「まず、この曲を聞いてみて?」

「これは……運動会とかでよく流れる曲でございますね」

「これがマーチってことがわかるよね?」

「はい……ええと、一番低いところの音が、ボッ、ボッ、ボッ、ボッ、いちに、いちに、と2拍子を刻んでおりますもの」

「そこ! その一番低いボッボいう音に耳をすませて、もう一度『レイル・ロマネスク』を聞いてみて?」

「はい……」

「あ!」

なんということでしょう!

「前奏がおわったあと、今度は低い太鼓の音で、ダン・ドン ダン・ドン いち・に いち・に と!」

「そう! ハチロクくんはいい耳をしているね!」

稀咲様がにっこり、お褒めくださいます。

「ワルツは3/4拍子。
四分音符3つが、るんたった、るんたったと3拍子を刻むものだよね?」

「はい――レイル・ロマネスクも
たんたんたん たんたんたん たんたんたんたん と、
同じ感じに聞こえたのですけれど」

「これは、八分音符が六つ並んでいるものなのさ。
で、八分音符3つの2セットで拍を取るから、
さっきのダン・ドン、の2拍子系になる」

「ワルツのように聞こえながらも、実は2拍子――マアチ系。
とても複雑なことをされているようにわたくし、感じてしまいます」

「確かにね。
けど、その複雑なことをするための意味はあるって思うけど?」

「意味――でございますか?」

「わからないかな」

ペンを取り、稀咲様が数字を2つ、お書きになります。

「8分音符が6個で1小節――つまりこの曲は6/8拍子で」

「あああ!!!!」

なんと、なんとすてきなことでしょう!

「ダブルミーニングで、ハチロクの曲なのさ」

;おしまい

///

いかがでしょうか?

音楽すごく詳しいレイルロオドとしては「はこ」が設定上存在するので、
いつかは登場させていきたいWEBTOON作品
『レヱル・ロマネスク』0。

無償でご確認いただける0~7話のネームはこちらとなります。

よろしければどうぞご笑覧ください。

(それ以降のまとめはメンバーシップ特典です)

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