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格ゲーのランクマでイライラする人へ

ストリートファイター5(以下スト5)をプレイしているRAIと言います。シルバー帯ですが、毎日楽しく格ゲーしてます。

最近、色んな人のスト5実況配信やTwitterを見てると、意外とたくさんの人がランクマッチ(以下ランクマ)でイライラしたり、モチベーションを下げていたりするのを目にして「自分もそうだった」「イライラが原因で格ゲーやめないで欲しいな」と思って文章にまとめることにしました。

読んで欲しい方としては、スト5のランクマをやっていてイライラしてしまったり、LPとモチベーションを一緒に下げてしまう人です。格ゲーで勝ったら嬉しいのは当たり前ですが、負けて「イライラ」してしまう人に読んでもらえたらな、と思います。

ウル4の頃、自分はイライラ勢でした

ウルトラストリートファイター4(以下ウル4)を家庭用でプレイしていた頃、自分はランクマで超イライラする人でした。PP、BP(=スト5のLP)を毎日記録をつけてグラフ化して「今日はこれだけ減った」「昨日の負け分を取り戻していない」とイライラし、PPやBPが自分より下の人に負けることでも「サブアカウントめ!」「ゲーセンでは熟練者なのだろう」とイライラしていました。

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そしてウル4をやるのをやめてしまいました。飽きたのではなく、せっかく貯めたポイントを減らさないために「ランクマしなければポイントも減らない」という最悪な選択をしました。それからしばらくしてスト5が発売され、ウル4を全くやらなくなってしまうわけですが、今思うと「ポイントなんてどうでもいいから、もっとたくさん対戦しておけばよかった」と後悔しています。格ゲーは新作が出たら基本的に旧作は見向きもされません。その格ゲーが最高に楽しめる時間、実力が近い対戦相手がいっぱいいる時間は思いのほか短いのです。そんな貴重な時間を「ランクマをしない」という選択をしたのは本当にもったいなかったと思います。

それからスト5を始めて、オフライン対戦会や大会などに参加する機会があり、対戦していても不思議とランクマのような重度のイライラがないことに気づきました。対戦相手が隣にいるから…という理由だけではなさそうな「自分の中にある根本的な違い」を意識し始めました。

昔のゲーセンでの対人戦やオフライン対戦では発生しないイライラがランクマには確かにある。これはいったい何だろう?やっていること自体は同じなのに、負けた事実は同じなのに、なぜランクマだけイライラするんだろう?その原因をずっと考えていました。

ランクマのイライラ原因は何?

自分の場合は「対戦前の格付け」でした。自分が圧倒的にポイントが上だから「強い自分が負けるわけがない」と勝手に予想。勝ちを確信しているから負けた時の精神的ダメージが増加。相手のポイントが下だから「こんな弱い相手に負けるわけがない」と見下していた相手にボコボコにされるから精神的ダメージが増加。対戦相手に全く責任はなく、自分が勝手に格付けして、勝手に精神的ダメージを生み出しているだけでした。

強さの表示がなかった頃のゲーセン対戦や、オフ対戦、オフ大会では試合前の格付けがありません。自分が負ければそれは相手が強かっただけ、自分が弱かっただけです。相手の強さは数字ではなく試合内容や攻防で入手していく情報です。そこには自分の強さへの過剰な自信や、相手への見下しもありません。純粋な対人戦があるのみ。そもそもLPが相手が下だから「この連携は返せないでしょ」「絶対食らうでしょ」「二択はほとんど通るでしょ」と試合前に決めつけていたのは、格ゲーとして変な思考なんですよね。自分で勝手に決めつけて、その通りにならなくてイライラする。不毛なイライラのセルフサービスでした。

LPとは何なのか?

数字を比較して試合前に相手を弱いだろうと思い込むのは、格ゲーにおいて非常に危険な行為です。たとえ自分よりLPが低くとも、自分の使用キャラの友人がいて日ごろから対戦しまくっているとか、自分の使用キャラを以前使っていて、キャラの理解度が高い、たまたま自分の使用キャラの対策をすごくしている人だった、なんていうケースがあるわけです。

たとえLP 5000でも「新しい戦術を試していたり、苦手キャラに連敗しまくって下がってきたLP 5000」と「運良く得意キャラに当たり続けて上がってしまったLP 5000」がいるわけです。ある程度の強さの目安となるLPですが、実際のところざっくりと強さは分かるけど正確性は疑問だと思います。同じポイントでも強い人と弱い人の差は相当ありますし、キャラ相性の激しいスト5だと、LPは低いけど、自分のキャラに有利なキャラだったのでボコボコになった、という場合もあります。そもそもLPで試合前に相手を格付けすることなんて、イライラの原因になったり、自分の攻防選択肢が少なくなるだけで戦略上は無意味でした。

確かにLPを増やすことを目標に頑張るのは分かりやすい目標ですし、モチベーション維持にも効果があります。でも、LPが減ることでゲームを続けられないぐらいのストレスになっているようならゲームプレイとして健全とは言えません。スト5を楽しむという目的が、LPを上げるという手段に置き換わっている自分に気づきました。

LPの意味や価値を考えていき、自分は何が楽しくて格闘ゲームをやっていたんだっけ?と、格ゲーに出会ったころの初期衝動を思い返してみました。「自分は友達と格ゲーでワイワイやっていた時間が好きだった。あんな時間をもっとすごしたい」それを思い出してから、LPは強さの指標ではなく実力が近い相手とマッチングしやすくする「仕組み」としてとらえるようになりました。それなら自分でLPを確認する必要がないな、自分や相手の強さは数値じゃなくて対戦中の攻防で知ればいい、という考えになっていきます。

LPの呪縛から逃れるために

そこで自分がとった行動は「ランクマにおいて相手と自分のLPを見ない」でした。オプションで試合中のランクや世界順位も消しています。試合前に相手のキャラを確認したら、書き溜めているキャラ対策メモを読んだり、フレーム表を確認して確定反撃できる相手の技を復習してLP表示は見ていません。試合と試合の間は、直前の試合を思い返しながら「次はどうする?」「あそこで切り返されたから注意しなくちゃ」「あの攻撃のあとは手癖があったな、暴れてみよう」「自分の択が偏りすぎてないか?」と思考をフル回転させています。色々やってるとLP表示を見ている余裕がないです。

これをやってみたらすごく効果がありました。相手の強さをLPで勝手に決めつけるのではなく、この攻撃に対してこうやって返してきたから、この連携を防ぎ切ったから強いと、相手の行動で強さを感じるようになりました。でもこれって、オフ対戦では当たり前にやっていることですよね?自分は大会で勝ってみたい人なので、よりその環境に近い状態にしようとすると、LPは完全に邪魔な存在でした。何よりも「サブキャラめ!」とか「LP詐欺!」と勝手にイライラして思考停止し、負けた原因も探さず対策もせず、負けたのを相手の責任にしていた頃は成長がありませんでした。自分が負けたらそれは相手がうまかった、まだまだ知らない攻めでやられてしまう、対処できなかったところをメモして練習しよう。という思考になったのは、格ゲーの上達につながる重要なことでした。

負けたくない vs 負けを受け入れる

格闘ゲームは対人戦なので、勝てば嬉しいですし、負ければくやしい。勝負事にはどうしてもつきまとう感情です。負けた悔しさを前進する力にできますが、常に勝ち続けるのは不可能です。誰しも負ける時がある。トッププレイヤーだから負けていないわけではないです。トッププレイヤーだからこそ数えきれないほどの敗北から学んで今があります。

格ゲーが常に勝ち続けられるゲームだったら楽なんですけど、どうしてもつきまとう敗北の二文字。負けたくない!とあまり強く思い続けると最終的にどうなるか?格ゲーをやらなければいいという結論に達します。簡単な話です、勝負の場に立たなければ負けることはありません。負けないための究極の方法はこれです。そして思いのほかこの結論に達して格ゲーをやめていってしまう人が多いです。

自分はこう思います。敗北も悪くないよ?と。

負けたということは、そこには理由があり、原因があり、それを克服すれば次は勝てるかもしれない。自分が強くなれるヒントが詰まっているのが敗北です。リプレイを見て、何がダメだったんだろう?何に対処できなかったのか?この攻撃はどうしていいのか分からない。それらを調べて対策練って練習していけば確実に強くなれます。負けたくない!という強い気持ちだけでは自分の負けたリプレイなんて見れません。格ゲーの上達には、負けを受け入れる姿勢が必要なんだと思います。

負けられない瞬間のために、今負けてもいい

大会に出るようになってから「取り返せる負けかどうか?」という意識も生まれました。ランクマの負けというのは、せいぜいLPが減る程度の話で、後から取り返せる敗北。大会や団体戦での負けは、取り返しがつかない敗北。ランクマで負けた時にふと思ってしまうのです、この相手と大会で当たったとしたら…、この相手と10先やることになったら…。そんな「負けられない瞬間」に比べたらランクマの負けはそこまで深刻にへこむ必要がないな、と。むしろ今の自分では通用しないということが分かって、色々と対策を練ることができるからラッキー。対策のためにもう一試合お願いします!と連戦する派。負けによってLPが減るから何かを失っているような感覚になりがちですけど、自分はLPを消費して経験や知識を相手から買っているという意識に変わりました。負けられない戦いになってから(大会や10先の相手が分かってから)あわててキャラ対策するんじゃなくて、常に準備しておきたい!と思ってからは【ランクマの敗北 < キャラ対策の経験】になりました。

格ゲーをする目的・楽しさ・モチベーションとは

自分は負けたくない、ポイントを減らしたくないから格ゲーをやらないという選択をしました。でもそれは間違いでした。格ゲーを楽しみたいのに「プレイしない」なんてのは意味がありません。その対策としてLPを見なくなり、それによって自分と相手の対戦中の力量をよく見るようになり、負けを受け入れられるようになりました。(負けてもいいや、ってことじゃないですよ)もちろん練習した成果を発揮して勝てたらこの上なく嬉しいですけど、勝利が目的じゃなくなっています。

今は結果(勝敗)のみを見るのではなく、たとえボコボコになったとしても練習していたあの連携ができた!とか、難しいヒット確認が実戦でできた!壁際の攻めを我慢してしのぎ切った!という【新しいことを知った、できなかったことができるようになった】成長の実感の方が格闘ゲームを続けていくエネルギーになっていて、楽しさの要因になっています。だから勝っても負けても、LP上がっても下がっても気にしない(そもそも見てない)から、ランクマでイライラしなくなりました。

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まとめ

楽しむためにやっていた格ゲーで、ポイントを増やすことに必死になって楽しさが分からなくなり、対戦での敗北=やっていた練習+自分のキャラ+自分の技術全否定みたいな状態におちいりました。負けを重く受け止めすぎていたのかもしれません。LPを見ないということを決めてからは、試合前に勝手に格付けして相手を見下していた頃よりも無駄な精神ダメージが減り、以前よりはるかに格闘ゲームが楽しくなりました。負けを受け入れるというのは「負けてもいいさ」とあきらめることではなく「敗北が自分の弱点を教えてくれた、そこをクリアすれば強くなれる!」と改善材料にしていくことだと思います。自分がたどりついたイライラしない方法、言うなれば格ゲーを楽しんでいくコツはこんな感じでしたが、これが全ての人に当てはまるとは思っていません。これを読んでくれたあなたが「勝利以外で格ゲーに感じる楽しさ」を再確認して、それを大切にして楽しく格闘ゲームをやっていってくれたら嬉しいです。


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