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石川昂弥ノリ打法断念!問われる優秀な指導者の選択と一貫性

どうも。

中日ドラゴンズの石川昂弥選手が中村紀洋打撃コーチと取り組んできたノリ打法を断念したというニュースが先日入ってきました。


今回は打撃理論などについて細かく触れたりはしません。もっと本質的な部分を掘り下げていきます。

1.指導者の一貫性と質


近年、スポーツ会では外部の指導者や他競技などからコーチングを受ける選手が増えてきています。
野球界だけを見ても元メジャーリーガーのイチローさんがアマチュアを指導したのをはじめ、キャンプ期間では日本ハムファイターズが室伏広治さん武井壮さん谷繁元信さん赤星憲広さんなど各ジャンルのスペシャリストを臨時コーチに呼んでいたのは記憶に新しいです。またオフシーズンになれば選手自身が外部のアマチュアやプロの素人と呼ばれるプロウトに指導を仰ぎに行く姿も珍しくなくなりました。また首脳陣が変われば求められるスタイルもかわるかもしれません。
またOBもキャンプのみならずYouTubeや各媒体で色々な活動を行っています。当然選手たちの耳にも届きます。情報が簡単に手に入る時代になった反面、選手個々の情報リテラシーおよび取捨選択する能力も問われはじめました。
そこで1つの疑問点が浮かび上がってくると思います。
"質は低いが一貫性のある指導と質が高いが一時的な指導"
どちらが効果あるのか?についてです。

その答えは"質が低いが一貫性のある指導"です。質が高い一時的な指導は選手の短所を一瞬で見抜き、その場で魔法にかかったように劇的にパフォーマンスを向上させ選手を満足させることができるかもしれません。ですがそこには致命的な欠陥があります。
一時的に改善されたところも時間が経過すれば必ず不具合が生じるからです。その時にどうすればよいか対処法がわからなくなります。また、改善された短所に見えていた部分が短所ではなく、その選手の特徴であった場合もあります。特徴がなくなったせいで本来出せるエネルギーが出せなくなる恐れもそこには潜んでいます。局所的に短所が改善されても全体を見てのバランスが悪くなる。そこから選手は自身で修正を重ねますが、その部分にばかり意識が向いてしまうと爆発的な力を出せなくなる、みたいなかんじに。

それに比べ"質が悪いが一貫性のある指導"は選手にとっては退屈であり、不満に思うときもあるかもしれません。しかし長く選手を見てきたコーチは選手の成長過程を理解しているため、選手があらぬ方向に行くことを未然に防ぐことができ、信頼できる存在です。

2.短所をなくすことは正しいのか


短所をなくすこと、新しい視点や技術を求めることは競技において必要不可欠ですが、注意することもあります。ここから元400mハードルで活躍した為末大さんのブログを引用させていただきます。


「指導者には本当にたくさんのタイプがあり、誰にとってもいい指導者というのは難しく、自分に合う指導者を探す必要がある。日本のような流動性の低い状況ではマッチングミスが起きた時に解消することが難しいので、たくさんの才能が潰れている可能性がある。私はシステムとしてもっと自分に合うものを探せるよう流動性を高めるべきだと思っている。
繰り返しになるが指導者も一つの手段である。あくまで主体は選手にあり、選手が指導者を選択する側でもある。指導者の力も限定的でそこに期待をしすぎてはならない。問題を解決するのも、ヴィジョンを描くのも自分であり、自分の競技人生の手綱を手放した瞬間にそれは自分の競技人生ではなくなる。」
引用元為末大ブログ


3.最後に


最後になりましたがノリ打法断念を決断した石川昂弥選手、そしてそれを尊重した中村紀洋打撃コーチは素晴らしい師弟関係だと思いました。終わり。

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