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ウマノススメ

こんにちは、マンダロリアンを観ようとDisney+に登録したものの毎日ボージャック・ホースマンばかり見てるらはぶです。今日もフォロワーたちはTLでアニメアニメアニメアニメと元気なようで何よりなのですが僕はアニメはアニメでも馬アニメに心底ハマっているので紹介します。

ボージャック・ホースマン』は、2014年から配信されているNetflixオリジナル作品の大人向けアニメで2020年に最終シーズンのシーズン6を迎え物語の幕を閉じました。馬が主人公ということやこの大人向けアニメという言葉からブラックジョークを絡めつつ動物たちがドッタンバッタン大騒ぎするんだろうなと正直舐めた態度で見始めたのですがこれが予想の斜め上をいく内容でめちゃくちゃ面白かった

作品との出会い

ぼくがこの作品を知るきっかけになったのはこのツイートです。

Netflix Japanが何か面白そうな作品紹介しているぞ!とかではなくこのツイートを読んだボージャック・ホースマン・ファンユニオンのひとたちが「絶対担当者ちゃんと作品見てない。」「いやいや全く逆のメッセージ性含んだ作品なんだが。」などと怒り狂っていてプチ炎上していたのを偶然見かけたんですよね。ちょうど海外ドラマ『グッド・プレイス』を観終わったばかりだったので軽く覗いてみるかくらいの気持ちで1話を再生し始めたのを覚えてます。

あらすじ

ボージャックは、90年代に大ヒットしたシットコム「馬か騒ぎ」(現実で例えるならフルハウス)の主演として一時は人気タレントでしたが、今では仕事も干され、すっかり落ちぶれた中年の冴えない元TV俳優と成り果ててしまいました。再起を誓い、自叙伝を書こうとするがなかなか進まず、ゴーストライターを雇うことに...  という具合にシーズン1は始まるのですが、このアニメはボージャックだけの物語じゃなくて周囲のキャラクターも問題をそれぞれ抱えていてそっちのストーリーもかなり濃いんですよね。というわけで、簡単なキャラ紹介をしていきます。


ボージャック・ホースマン

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本作の主人公、ハリウッドの豪邸で酒浸りの生活を送る鬱気味の馬。

ボージャックは、過去の栄光にすがって昼間から酒を飲み、自身の出世作「馬か騒ぎ」を何度もDVDで見て過ごす毎日。今の人気はないのですが、腐っても元人気TV番組の主演なので街に出ると勝手に写真を撮られたりするのでバーでゆっくり酒を飲むことすらできません。ボージャックは、そういった状況に嫌気がさしているのですが、かといって誰からも無視され孤独にはなりたくないし、誰よりも愛されたいと思っています。それなのに人との距離を詰めることは苦手で、友人が成功しそうになると邪魔をしたり、昔好きだった女友達の娘に手を出しそうになったりとにかく作中でやらかし、自己嫌悪に陥ります。両親から愛されなかったボージャックの過去などボージャックを知れば知るほど彼に同情したくなる要素も出てくるのですが、それ以上に嫌な奴な部分があり、とにかく複雑な人物です。 自己陶酔・自己嫌悪など彼を表現するにはまだまだ言葉が足りませんが、変わりたい、現状から抜け出したいともがくこの孤独な馬から段々と目が離せなくなります。

トッド

トッド

ボージャックの家に住みついてる居候のニート。声優を担当しているのがブレイキング・バッドのジェシー・ピンクマンで有名なアーロン・ポール!!彼は、このアニメの製作総指揮者も務めてます。

ジェシー

トッドとアーロン・ポール、見た目もそれとなく似ていますね。

トッドは、いつも能天気でバカバカしいアイデアを思いついてビジネスをやったり、救いがほぼないこの作品の数少ない癒し要素です。シリアスな話が進んでいる裏でトッドがアホな騒ぎを起こしているのが楽しい。個人的にトッドの好きなエピソードは、撮影現場にたまたまいたトッドのぶっとんだ発言をタランティーノならぬタランチュリーノ監督が気に入って撮ってた映画がめちゃめちゃな内容になる回。(S1E10) 現実世界でタランティーノ監督がボージャック・ホースマンを参考に製作したのが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウー』らしいね(適当)

プリンセス・キャロライン

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ボージャックの元カノで長年エージェントもしてきた猫の女性。仕事をバリバリこなしキャリアでは成功している一方、結婚や子供を望んでいるのにプライベートが上手くいってない。 キャロライン萌えという感想を見たがまったくもって萌えキャラではない。オタク諸君が大好きなレム・ガレウちゃんのようなブヒ要素は何もない。キャロライン回は、結婚、出産など孤独なキャリアウーマンを巡る問題に触れることが多いイメージ。

誰よりもボージャックといる時間は長いキャロラインですが彼に愛想を尽かさず、なんだかんだ見捨てられないで物語は進みます。

ダイアン

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ベトナム系アメリカ人で、シーズン1では、ボージャックの自伝のゴーストライターを引き受けた女性。ベトナムといえば、2020年秋アニメ覇権と騒がれているアサルトリリィにもベトナム出身 吉村・Thi・梅ちゃんがいましたね。お慕いしております...

話を戻しましょう。ダイアンは、自分が正しいと思ったら口を絶対出さないと気が済まない性格でフェミニストでもあります。メインキャラのなかだったら、多分一番まともな人物。最初は、ボージャックに自分の欠点をさらけ出すことが人から愛されることに繋がるなどと良い方向に導いたりしてました。ダイアン回で好きなのが女性が権力者に対する告発をすることをテーマにした回。(S2E7) テンポ良くコミカルに描いてますがこの社会風刺のきいた回はとくに鋭いです。しかもこの回、#MeToo運動より前に製作&配信されてるんですよね。他にも中絶や銃規制などダイアンの周りで起こる問題はとにかく考えさせられることが多い。

ボージャックから想いを寄せられて、そのことを薄々気づいているのですが、ダイアンはミスター・ピーナツバターの彼女。

ミスター・ピーナッツバター

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ボージャックのことを一方的に親友だと思い込んでる底抜けに明るい犬。

ミスター・ピーナッツバターは、ボージャックと真逆の性格で陽気で皆んなから好かれるタイプ。外見がラブラドール・レトリバーなのも可愛い。誰からもミスター・ピーナッツバターってなんで呼ばれてるのかなと思ったら名前がミスターで名字がピーナッツバターって判明したときは笑ってしまった。(甥っ子から"Uncle Mister"と呼ばれてる)兄の名前は、キャプテン・ピーナッツバター。

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車に乗ったら窓から顔出しちゃうミスター・ピーナッツバターも可愛い。暑苦しく裏表がないのでシーズン1の頃はバカでちょっとウザいやつくらいにしか思ってなかったのですが、シリアスな話が増えていくといつしかミスター・ピーナッツバターが画面に登場しただけでほっこりしちゃうようになる。

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てな感じで基本ボージャックを取り巻くこの5人のメインキャラを中心に物語は展開されていくのだけど、カメオ出演してるセレブたちも豪華すぎるので少しだけ紹介

ゲストのセレブリティたち

マーゴ・マーティンデイル

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これは私だけじゃない…… J・キャロル・リンチやCCH・パウンダー、それに無名でも結構いい生活できてる全ての個性派俳優のための戦いよ!私が流す血は皆のため!!私は個性派俳優のマーゴ・マーチンデール!!!

準レギュラーかよっていうくらい出てきます。この人が出る回は全部神回。

アンドリュー・ガーフィールド

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ポール・マッカートニー

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この他にもハリー・ポッターのダニエル・ラドクリフ、最近海外ドラマ『バリー』に出演してたヘンリー・ウィンクラー、ジャスティン・ティンバーレイクの妻で女優のジェシカ・ビールナオミ・ワッツウォーレス・ショーンキーファー・サザーランドなど思いつくだけでもこれだけ出ています。まだまだ多くのセレブたちが出てくるので洋画・海外ドラマ・洋楽などを嗜む方だったら絶対楽しめると思います。

ここまで長々とキャラクター紹介ばかりしてきましたが、結局ウマ『ボージャック・ホースマン』とくに何をススメたいのかということについて言及してませんでしたね。もうちょっと踏み込んだ感想を最後に出来るだけネタバレなしで書きたい。ぼくが一番言いたいのは、

ボージャック・ホースマンは人生


ということなのだ。ボージャックに自分を重ねているとまでは言わないが、彼の負の感情はあまりにも理解しやすく、人生での失敗や後悔などをボージャック・ホースマンの物語を通してどうしても想起してしまう。人生なんて語り出したらそれこそポエムになってしまうのでそんなことはしないがひとつ自らのネガティブ小話をしたい。(DCユニバース出身かよ...って言われそうだけど)

実はブログを書きたいという思いは少なからず前々からあったのだが、どうしても初めの一歩を踏み出しにくいもうひとつの理由があった。フォロワーのブログがめちゃくちゃ面白いのである。いくらフォロワーが知らない海外ドラマをぼくが見ていたとしても、映画・海外ドラマ・アニメをミックスし壮大な世界観を毎週作り上げているあのフォロワーさんのような面白さは到底生み出せないし、最も個人的なことこそ最もクリエイティブなことと銘打って実生活での出来事や本や海外ドラマを紹介してるあのフォロワーさんのような独自性も出せない。書きたいならただ書けばいいのにやるからには称讃が欲しいのだ。(嫉妬・強欲)

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嫉妬深く、承認欲求が強いボージャックの姿は、自分自身の触れてほしくないところを映し出しているようで、いたたまれない気持ちになる。それにこのアニメ、とにかく苦いのである。こちらが想像した安易な結末などには毎回してくれず見終わったあとの苦い余韻が胸に残るのだ。1話完結ではなく、登場人物同士の軋轢が生じたら回を跨いでもしっかり残っている。ハリウッドの"D"が盗まれたハリウーに人と動物が一緒に住んでいる、ぶっ飛んだアニメの世界なのに感情の描き方はまさに人生。シリアスを中和するためのコメディ要素も勿論大量に挿入されていてかなり笑えるがメインキャラの人生を考えると決して嗤えないのだ。鬱アニメ?そう問われたら答えはYESだ。でも「魔法少女まどか☆マギカ」、「結城友奈は勇者である」のような鬱展開とはちょっと違い、変わろうとするけど変われない人間の絶望をまざまざと見せつけられる。死後の世界を舞台として、"人は良い人間に変わることができるのか"をテーマにした『グッド・プレイス』のあとにこの作品と出会えたのはちょっとした運命なのかもしれない。

『ボージャック・ホースマン』は、日本の一部ではすでにかなり盛り上がっているがその界隈を見る限り、洋画や海外ドラマを日頃から摂取している人たちっぽい。そこでこのnoteを書き、ひとりでも多くの萌豚たちにこの馬アニメを布教したくここまで長々綴らせてもらった。正直、マイリトルポニーのような愛くるしさもウマ娘のようなブヒリティもけものフレンズのようなゆるくて優しい世界観もないしズートピアのように夢を実現する物語でもない。ただただ人生

「俺は良い人じゃない。これは俺がはじめてした良いことで、しかも偶然なんだ。俺が言いたいのは人生ってのは………とにかく生きるのって難しい。みんな朝起きるとこう言うだろ…"今日も一日がんばるぞい!"って。でも俺にはその気持ちが分からない」(シーズン2 エピソード12「海へ」)

刺さる人には刺さるという表現をあまり使いたくなかったが、ボージャックの生き様は刺さる人にはとんでもない刺さり方をするだろう。CLANNADは人生かもしれないが、ボージャック・ホースマンも紛れもなく人生なので気になったら是非チェックしていただきたい。

タイトルが主人公の名前のアニメは名作...

『ボージャック・ホースマン』
原案:ラファエル・ボブ=ワクスバーグ  
Netflixオリジナルシリーズ 
シーズン1~6独占配信中


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