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【JMoF2022】ケモノストーリーコンテストに応募した自分の小説を改めて読んだら反省点が色々見つかった話

大変遅くなってしまいましたが2022年初投稿です。明けましておめでとうございます。

今年も不定期且つ低頻度ながらこちらのnoteも更新していきたいと思っておりますので何卒宜しくお願い致します。

しかし、あまりに低頻度なのも如何なものかと思いまして、これまでの長々と語っている記事の他に短いブログ的なものも更新しければいいなと考えておりますので、ぜひご期待頂ければと思います。

さて閑話休題。今回のお話ですが、2022年1月8日~9日の2日間にかけて愛知県豊橋市で”JMoF”というイベントが開催されており、そのイベント内で”ケモノストーリーコンテスト”という企画が行われておりました。

ざっくり説明しますと、ケモノを主体とした小説のコンテスト!という感じです。

今回で2回目の開催となっている企画で、私も拙筆ながら2本の作品を応募させていただきました。

そこで今日は自分の書いた小説2本を改めて自分で読んで良かった点と反省点を書いていきたいと思います。

またこの記事は作品のネタバレを含みますので、読んでから記事を見たいという方は下記のリンクから読むことが出来ますのでまずはご一読頂けますと幸いです。

https://www.jmof.jp/event/story_contest

それでは参りましょう。


①『虹色の羽』(掌編部門 大賞候補作品)

掌編部門(原稿用紙10枚以下)に応募させて頂いた作品になります。
簡単にあらすじをご紹介します。

『大人気鳥獣人バンド”RAGE”、念願のライブを前日に控えたある日、男性俳優との熱愛報道が発覚する。
アイドルにあるまじきのゴシップ。しかも同性愛のスキャンダルにリーダーAKIRAが考えた策とは…?』

・良かった点
自己評価としては、割とよく書けてたかなと思います。

言葉の選び方とか表現の稚拙さとか細かい部分を見れば、まさに素人が書いた小説という感じですが、僕が一番やりたかった事が出来ていたので大満足でした。

ちょっと話は変わりますが、皆さんは綾辻行人さんの『十角館の殺人』という小説をご存知でしょうか。
綾辻先生のデビュー作であり、且つミステリー小説界に激震を与えたというミステリー好きなら知らない人はいないほどの名作です。

ネタバレはしませんが、この作品の凄い所は”一文で全てをひっくり返す衝撃”です。

プロローグから事件発生、推理とミステリーの王道バターンで話が続いていくのですが、終盤に差し掛かっても事件が解決する様相が全く見えてこないんです。

当時初めて読んだ僕も「え?あとこれだけしかページ数無いけど本当にこれ終わるの・・・?」となった辺りでその”ある一文”を読者に突きつけます。

もちろん何とは言えませんが、その一文でこの物語は全てが一気にひっくり返ります。全ての謎が1本に繋がるんです。

読後感の余韻が凄かったのを今でもハッキリ覚えています。

最後にどんでん返しが待っている作品は探せばいくらでもあります。
でもそのほとんどがジワジワとオチに持っていっているような気がします。例えるならボクシングでジャブやブローをジワジワ当てていって最後力尽きてにK.Oする感じ。

でもこの『十角館の殺人』という作品は読者が「???」となっているところから顔面ストレートパンチ1発でK.Oしてくるんです。それが前振りもなく急に叩き込まれるものですから読者は呆気に捕らわれます。

このジェットコースターのようなストーリーラインが本当に美しいんです。

余談が長くなりましたが、僕も作品を書くときはこの”一気に落とす”というのを目標にしています。
今回の作品ではそれが結構上手く決まったので非常に満足しています。


・悪かった点

ここは明らか。”エピローグが弱い”

エピローグとは簡単に言えば物語の結末部分。個人的には個々の良し悪しで読後感の与え方が変わってくるような気がしています。

第1回開催のストーリーコンテストでも作品を2本応募させて頂いたのですが、その時も数時間をかけたくらいには結末、締めの部分を大事にしています。

今回の作品ではあえて主人公が最終的にどうなったのかを明示せず、読者の想像に任せるようなエピローグにしたのですが、これがどうにも浅い。変な言い方をすれば美しくないんです。

具体的にどうすればよかったのかは分かりませんが、もうちょっと凝れただろ?と読み返して自分に疑問を投げかけています。


②『異端の言葉』(短編部門 佳作)

こちらは短編部門(原稿用紙50枚以下)に応募させていただいた作品になります。
あらすじは以下になります。

『クラウドソーシングでテープ起こしの仕事を受けて食い扶持を繋ぐ主人公、橘淳平。ある日、破格の高額報酬の仕事を引き受ける。内容はよくある1対1のインタビュー音声のテープ起こし…のはずだった。』


・良かった点

プロットに1か月強の時間をかけたため、設定はかなり組み込めたんじゃないかなと思います。

掌編の方と違ってエピローグもかなり時間をかけて考えた結果、結構良いものに仕上がったと個人的には思います。


・悪かった点

自分で書いといてこういう事言うのも何なのですが、これは駄作中の駄作だと思います。
そう感じるポイントは主に4つ。

まず1つは”設定が煩雑すぎる”

良い点でも書きましたが、設定の組み込みはかなりの時間をかけて行いました。しかし結果これが仇になりました。

矛盾点がかなり生まれた上、設定が複雑すぎて小説書き素人が手を出すにはあまりにレベルが高すぎました。
表現力が足りず、何が言いたかったのか意味不明。半ばこじつけな設定になってしまっているなと読み返して改めて思いました。

2つ目は”テーマに沿っていない”

今回のストーリーコンテストには『7』というテーマを用いるというルールがあり、そして主として”ケモノ”を表現した作品であることが求められていました。

今回の作品で私は『ヨハネの黙示録』に登場する”7つのラッパ”をテーマとして用いました。

しかしこれがあまりにも浅い。
このテーマを用いると決めてからネットや文献で自分なりに調べはしましたが、用い方があまりに稚拙。付け焼刃の知識ではどうにもならないことを改めて思い知らされました。

そしてメインテーマである”ケモノ”の要素に関してですが、”ケモノである必然性が感じられない作品”になってしまったと感じています。

ちょっと分かり辛いので例を挙げますと
「狼獣人の勇者が魔王に捕らわれた姫を救うためにトラ獣人、鳥獣人の仲間たちと繰り広げる大冒険!」というストーリーがあったとしましょう。

確かにたくさんの獣人が登場していることから”ケモノの小説”ということは出来るかもしれません。

しかし僕からしてみれば
「え?それって登場人物を人間に置き換えても成立する話だよね???」ってなるんです。人間でも成立する話をただ単純に”ケモノ”に置き換えただけの作品は”ケモノの小説”とは思えないんです。

第1回の開催でも僕はまず第一にココを考えていました。
しかし今回のこの作品は”ケモノを用いる必然性がどこにも感じられない”作品になってしまいました。僕がこの作品を駄作だと感じる一番の理由はここにあります。

最後に3つ目。たぶんこれが一番致命的だったかもしれません。
”書いてて全然楽しくない”

前回開催で応募させていただいた『忠犬の掟』という作品。
この時は書いてて凄く楽しかったです。

僕が一番好きなコメディを主とし、現代社会へのアンチテーゼ、急に始まるバトルシーン、そして最後の大オチ。

原稿用紙に換算しておよそ40枚分の文字数になるので執筆は大変でしたが、それでも自分の”好き”を詰め込めたのでとても満足に仕上がった作品になり、ありがたいことに大賞候補作品にまで選んで頂きました。

しかし今回は設定の組み込みに神経を使いすぎて書いててただただ辛かったです。
著者の気分は作品にも表れるとはよく言ったもので、結果的にそこまで面白みを感じられない作品になってしまいました。

次回開催があれば。初心に帰りまずは自分が書いていて楽しい作品になるよう心掛けようと思います。


③最後に

他の方々の作品も全て読ませていただきましたが、それぞれに個性があり独自の世界観を書かれていて素晴らしい作品ばかりでした。

「この作品の設定は面白い!」「テーマの使い方が斬新!」と勉強させられることが非常に多かったです。

改めまして執筆者の皆様、JMoF企画運営・審査に関わった方々。本当にお疲れ様でした。

ぜひ第3回の開催もお願い致します。

大賞受賞者に贈られるあのメダルほ゛し゛い゛よ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!


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