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イリヤ クーリック - ロミオとジュリエット -

Too difficult !!!  信じられないほど難しいらしいです。
言わずと知れた伝説の鬼プロ。いや、竜プロ?
イリヤファンはこのプログラム好きな方、多いように思います。なんていったって美しいリアルロミオですからね。
つなぎも盛り盛りでとってもタフ!見応えのあるプログラムです。

自分のもとに来たイリヤクーリックに早速ロミオやらせるとか…、タラソワさん、もしかしてイリヤを知った時から愛の夢とともにあっためてたんじゃないかと思ってしまう…。ほんと、いいセンスしていらっしゃるわ。
1996-97シーズンはオリンピックの前シーズンということで、敢えて試練を持ってきた…気がしないでもないです。タラソワさんによる、とんでもない地獄の愛の特訓プログラム。。
SP、LPどちらも恐ろしいほどの運動量であることは一目瞭然でした。だれがこれだけのもの踊り切れるかいっ!! イリヤの場合、ここが見どころですって言うより、最初から最後まで目が離せないプログラムが多い。
いつもタラソワさんはリンクサイドから祈るようにイリヤを見てた。

前年のアラジンを見てる限りではそんなにスタミナに不安があるようには見えなかったのですが、明らかにスタミナ強化プログラムですよね、これー。
勝ちに行くのではなく、挑戦しに行ったプログラム。
スピードとスタミナの限界に…。
毎回解説が「とにかくタフすぎるプログラム、アンビリーバボー」…と饒舌になるプログラム。
イリヤがミスをするたびに「このプログラムが難しすぎるんです!」…とイリヤを責めないでと言わんばかりに解説者が毎度フォローするというプログラム…。

衣装は黒と白が用意されていて、黒だとイリヤ、スリムねー、いかにもイリヤね、かっこいいわねー…という印象ですが、白は何だか、なんというか肉感的でえもいわれぬ色香が…。なんで同一人物なのにこうも印象違うの?? あなた、やっぱり詩人なのですね(後述参照)
あと、わたしは襟足が長い髪型って苦手なのですが、このシーズンのファウストとロミジュリには雰囲気がとても合っていた‼️ そしてイリヤにとても似合っていた‼️ これはちょっとヴィクトールさんのところでは見られなかっただろうな…という、ちょっとアンニュイなイリヤ。アップになった時のその美しさに息がとまりましたよ。一瞬だけど。何だか「天は赤い河のほとり」のカイル王子っぽかったです。。やっぱり王子…。(あれは″皇子″か…)顔立ちに文句のつけようが無い。

世界選手権(白ロミオ)では切ってスッキリしてて実は色香の意味ではちょっと残念だった(注:美しいことに変わりはない)本来は短い方が好きなはずなんですけれども。短くすると清潔感アップ&なんだかやたらと可愛くなるので、それはそれでいいんですけどね。短いバージョンはほんと可愛いわ。ほんと。

プログラムは大会でそれぞれコレオを少しずつ変えていたかと思います。イーグルからの3Aが前半にあったり、中盤にあったりしましたね。…中盤派でした。うっとりするようなフルートの旋律にイーグル+3Aですよ。そして演じているのは本物の(ような)ロミオ!

究極技、イーグルからの3Aはグランプリシリーズのカナダ大会(黒ロミオ)が特に素敵かな。ズキュンと飛んでくる。イーグルの直後なのに…。陸上で大した助走もなく3A出来ちゃう人なんでね。楽々やってるね。しっかしまぁこれも高いこと。イリヤなら4A飛ぶだろうと思ったりした。まあ当時に戻ったとしても、彼の場合は性格的にやらないだろうな。なんとなく。

グランプリファイナル(白ロミオ)では初っ端に4Tを美しく決めて(極上)その後素晴らしく高い3A-3Tにつながります。3A-3Tでは解説の女性がもうとっても嬉しそうにキャッキャしてるし(めっちゃ同意!)、4Tも本当に絶品で、全く無理のない4回転なのです。実況の方の叫びにも近い歓声がめちゃくちゃ響きます。

ロシア選手権(白ロミオ)もなかなか良かったです。
4回転はステップアウト(オーバーターンか?)、イーグルからの3Aも少し乱れましたが、タラソワさんがリンクサイドで飛び跳ねてめっちゃ喜んだ出来です。あのNHKロミオ(黒ロミオ)のゼェゼェ感がちょっと薄れてる!スタミナついてきたんだね。結果優勝しました。

こうやってみると、シーズンの前半が黒ロミオで、中盤〜後半が白ロミオですね。2つ用意したというより、変えてきたのかな。

このプロで4回転を入れてきました。
私、4回転やったったぞ!っていう感じの4回転がすごく嫌で…。大げさっていうか、とにかくドヤって感じのジャンプのことです。そういうジャンプに限ってねぇ…。あと着地の時に何か腰を捻る感じとか。いや、バランス取ってるんですよね、仕方ないですよね。4回転が難しいものであることは誰でも承知してますし、無理でもしなきゃやってられないし、アピールする場であることも理解しているんですよ。でも無理くり4回転飛ばれても美しくないしなぁ…。エッジめちゃくちゃ、プレロテ&ぐり降り、着氷ガックン…。昨今のジャッジは全然仕事していないみたいですが、とりあえず4回転だったらGOE爆加点みたいなの本当にやめてほしい…。そう、ジャッジがダメなんです💢
きちんとジャッジしてもらえれば、4回転を無理してまで跳ぶメリットがなくなるでしょう? 美しい3回転を飛んでGOEもらって戦えばいいんです。フィギュアなのですから…。きちんと跳べる人は跳んだらいい、スポーツなのだから…。猫も杓子もはやめてください、体が崩壊するだけ。…これはジャッジに言ってるつもりです。

ま、イリヤは旧採点法のときの競技選手ですが。
その時だってジャッジ……、でしたが。
とにかく、何が言いたいかというと、4回転をこれまたしれっと飛ぶんですよね。完全な4回転を。あまりにしれっと飛ぶもんだから、逆に凄さが伝わらないんじゃないかと不安になっちゃうくらい。相変わらず着氷は綿毛か羽毛か?ってくらいだし。。もしかして重力も働いてないの?? イリヤ王子にはそういうの働かないの??
(つい最近のインスタでもジャンプを見ましたが、高さ、着氷、やっぱり素晴らしいですね。流石に回転の軸は取りづらくなっているんだろうけど、44歳でしょ??凄すぎるよ)
あれ、結局何が言いたかったんだろうね。

あと、鬼プロ…いや竜プロに相応しく激しいつなぎのステップがこれでもかと詰め込まれていますね。前半部分はまぁいいとして(何が?)、後半はあれ、死ぬでしょ。何だか2倍速で見てるみたいなんですけど…。ロミオだから死ぬほど動かされるってことですか??そういう設定ですか??
後半にも恐ろしいほどのつなぎのステップ…アンタまだそんなに動けるの?と驚きつつ、明らかにヘロヘロのイリヤも見られたりします。か、可愛い…(もう何をしても可愛い状態)珍しくジャンプもフラフラだったり…。前半、素晴らしい要素の連続で、後半スタミナ切れで…っていう後半の印象のせいでこの期は順位が抑えられた気がしてます、このプログラム。トータルで見ると全然悪くないのですが、前半があまりにも良いものですから、後半ミスすると目立っちゃうというのもありますよね。逆に前半ミスしても後半の印象が良ければ評価としては高くなる気が…。

イリヤのジャンプはパンクしがちだけど、着氷をミスることは少ないですね。でも、このプログラムに関しては、結構乱れることもあり…。でもやっぱり音ははめてくる。これは凄い。
中盤、申し訳なさ程度にゆったりめのコレオはあるけど、ほぼずーっと全力疾走ですぜ、これ。美しいイリヤクーリックの表現するロマンティックな世界に浸りたいんだけど、そんな暇は全然なくて、とにかくずーっとすんごいスピードでリンク中を駆け巡っている…。だ、大丈夫かしらと心配になるほどに…。そわそわしちゃうロミオとジュリエットです。いや、ロミオです。

タラソワさんのところに行くことを伝えにきたヤグディンに「…死ぬよ」と言ったのは有名な話。根拠はこのプログラムだと思う。タラソワさん振付の中でも屈指の難度。技術面だけじゃなくて、芸術性も求められるのはイリヤだからこそ。

珍しく余裕無さげ&でも優雅な美しいイリヤが確認できる貴重な素敵プログラム。このプロに関してはノーミスにお目にかかれていないのも完璧すぎなくてむしろ良い。チャイコのロミジュリってとこもまた良い。これを19歳で演じているというのもとても良い。

イリヤは銀盤の貴公子とか、王子とかよく言われてるけど、タラソワさんは彼を”詩人”と喩えたそうですね。チャンピオンにありがちな、してやったり感やギラギラ感が一切無いし(ここもイリヤの唯一無二な点だと思ってる…)あのつかみどころのない感じ、表現しようと力まなくても自然に芸術性が滲み出ちゃう…、詩人か。そうかもね。でも、詩人に思いっきり全力疾走させちゃうのね。。
実際よく詩を作って唄うらしいしね。そんなところも面白いね。イリヤ。

私はなんせイリヤを長野の表彰式で発見したので、アマチュア時代はほぼリアルで見てはいませーん。
戻れるものなら長野オリンピックの前年に戻りたい…。
リアルロミオに会いたかったわ〜。こっちは当時14歳です。何ならこれ、リアルジュリエットの年齢でーす。

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