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イリヤ クーリック - Faust -

思わずうきゃーっと叫びたくなるほどかっこいい。。
シニア2年目、タラソワさんコーチ1年目。このSPのファウスト、LPのロミオとジュリエットともに恐ろしいほどの美ハードプログラムでした。

これ、もっと評価されてほしい‼️
これこそ評価されるべきプログラムですー。25年前だけれども。
全く色褪せない衝撃的なプロ。イリヤのプログラムの中で一番好きかも。もし、オリンピックのプログラムしか見たこと無いなら、彼の印象更に爆上がりすること必至。金メダル取って、さらっとやめちゃった人ではありません!少年の頃からとんでもないことをしれっと涼しい顔してやってのける凄い人だったの!!
まぁ、これはオリンピックの1年前なんですけれども。

この頃は男子シングルもSPで4回転は認められていませんでした。
何なら2Aが必須でした。
そんなことどうでもよくなる、あ〜この頃は良かったなの筆頭プログラムです。
余裕のジャンプって凄くいいよね?2A、必須にしていいと思う。その分、高さや幅を見るんだよ。

最初の立ち姿は敢えていうなら仁王立ち??
イリヤ王子、なんと美しい顔(…カンバセ)
中盤で手を顔の下の辺りからふぅっと差し出す動作…。
これ、人を選ぶでしょう…というポージング。
タラソワさんがコーチになったのはこのシーズンからだと思いますが、1年目もコレオはタラソワさんが担当していたんですよね。それがコーチもすることになって、おそらくはタラソワさんが表現したいイリヤがそのまま存分に反映されてきたように思います。
なんだかんだタラソワさんの芸術性に対して最も高い親和性と再現性を示したスケーターは、始めてシングルのスケーターとしてコーチした、イリヤクーリックでした。性格は合わなかったけど、才能というか、お互いのセンスがまるでパズルのピースのようにこれ以上なくぴったりとはまった2人だった。

彼にしかできない、あるいは彼しかフィットしない、衣装も含めてそんな箇所が垣間見られました。コレオグラファー冥利に尽きるのでは。何やってもハマっちゃうんだもの。
いやー、こんな美少年、好きにプロデュースしてみたいわー。楽しいだろうなぁ…。あれ着せて、この曲にして、ここにイーグル+3A入れて…って、なんちゃって愛の夢ができそうね。。
一方、フィギュアとしては前コーチのヴィクトールさんのセンスも好きでした。The 正統派って感じで。イリヤの素晴らしさがダイレクトに伝わるものでした。

最初から最後までもの凄いスピードで、ほんとに本当に凄いスピードで、要素を難なくこなしていき、力強いのに淡々としていて、必須要素である中盤の2Aなんかジャンプ準備動作がほぼありません…。ただのステップのように過ぎていきます。流れのままに…。完璧だわ。

キンキンするようなストリングスの旋律の上を全く音を外さず捉えた演技です。これ、バレエやってても思ったのですが、音取りって得意な人は本当に得意だし、苦手な人は頑張ってもなかなか難しいことがある。ちょっとの差だったりもするのですが、やっぱり見てる方も音と演技がピタッと合うと爽快ですね。イリヤの場合はちょっとステップアウトして乱れた時も次の瞬間ズバッと合わせてくる。。。何なんでしょう、あれ。音に取り憑かれてるのかと、いや、取り憑いてるの?と思っちゃう。…というか、音がついてくるのか?氷上を舞うイリヤにピッタリくっついて。美しいから音の方からくっついてきちゃう…みたいな。意味わからんけど。
こういった音取りはロシア人に得意な人が多いと感じています。逆にアメリカンや日本人は少ないかな…。いなくはないし、プログラムによるかもですね。とにかく音を点で捉えて捕まえてくるあれは凄い。滑りながら調整するのでなくて、もう次の動作でバッチリはめてくるんですねー。

特にジャパンオープンの演技は圧巻でした。
猛スピードなのにノーミス!そして凄まじい美しさ。とんでもない迫力です。実際会場で観覧された人はビックリするしかなかったんじゃないだろうか。。前シーズンから体躯が一回り大きくなっているようにも感じます。イリヤはフィギュアスケート選手としては大柄なんですよね。
この時、確か179cmの70kg前後ではなかったかな。オリンピックの時のバイオでは179の74だったはず。結局最終的に身長は180になってたかも。(訂正:この次年、オリンピックシーズンの初戦のカナダ大会で178cm,66kgと紹介されていました。その後179cm、180cmと更新されています。まぁ結構バイオって適当だとも聞きますが)
体重、そんなにあるように見えません。ほぼ筋肉なんでしょうが、着痩せするのかな(これは後から見たAlwaysでなんとなくわかってくる)何だかんだ「フィギュア」ですから、見た目って重要なんですよね。大柄だとジャンプに不利だと言われていますが、イリヤにはそれが当てはまらなかった。いや、物理的に不利は間違いないんだろうけど、それを補って余りあるバネとか筋力とかセンスとかあるんでしょうね。むしろジャンプはとても得意だったと思います。そして大柄といってもそれは背が高いという意味で、基本細い。だから断然スタイルの見映えが違う。。美しいって大切だなぁ…と。それも才能なのか。まぁ、絶対的な基準があるわけがないので工夫次第か…。

多分アマチュア時代で最も躍動感があって、男性的なプログラムだったと思うのです。時代が時代だけに動画が少ないのが口惜しくてならない!!このシーズンも本当に魅力的なプログラムだったので。大会ごとにないかなぁ。
彼の場合、毎年毎年違った型で攻めてきますからね。毎年毎年ってほど現役やってないですけどね。3シーズン(…と半)でしたね。濃厚で短かった。。

それまで超絶美少年という感じであったのが、このシーズンで精悍な美青年になりました。男性的な美しさも備えてきたというか…。なんだかギリシャ神話とかにでてきそうなくらい。。イリヤ・クーリックという美とジャンプの神が。力強さと美しさの融合。正統な佇まいに陰がちらついて何ともロマンティック。そして決してオラオラしてなくて(ここ重要)やっぱり優雅。
なんと次のシーズンはまた少し雰囲気を変えてきます。
本当に稀有なスケーターです。

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