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フィンランド遠征記
4/27-5/12の日程でフィンランドに遠征しました。プレビューはこちらから。
今回の遠征の結果と模様を報告します。
FinSpring Relay
ヘルシンキ空港に到着すると、今回いろいろとアテンドをしてくれたイーキスが迎えに来てくれました。彼の車に乗り、30分ちょっとで今回滞在する町・Espooに到着しました。
イーキスの案内で早速テレインでトレーニング。曰く、明日のリレー大会のテレインにとても似ているから連れてきてくれたとのこと。
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この地域のテレインは露岩が特徴的で、むき出しの岩の上を走ってる感覚は今までにないものでした。そして、とにかくフラット。
その後、お気に入りの場所に案内したいとのことで、一望できる丘に連れて行ってくれました。湖かと思いきや、見えているのはバルト海で、漕いでいけば日本にも行けるねと言ってくれました。
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次の日、FinSpringのテレインまでイーキスの運転で向かいました。3時間ありましたが、上述の感じで彼がジョーク交じりに話してくれるのですぐでした。
FinSpringはフィンランド春の風物詩的大会で、1日目はロング、2日目はリレーの2日間大会です。今回はリレーにのみ出場しました。現地に既に到着していた今回お世話になるクラブEspoon Suuntaのメンバーとちょっと緊張しながら合流し、会場レイアウトや次走者へのチェンジオーバーの方法を確認しました。この辺りは日本と異なることが多いので結構大事です。
私は男子の第6チームの1走としてエントリー。この大会はフィンランドのリレーリーグの1つになっているため、強豪チームが多く参加しておりレベルも当然高いことが予想されました。また、世界選手権と異なりチーム数も多く(100チーム以上)、今までに経験したことがないシチュエーションになります。とにかく頑張ってついていくこと、また複雑なエリアのアタックには気を付けようと思って出走しました。
結果
43:10 (+4:19) 56位
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反省点はまずはスタート。まっすぐ行くルートがよさそうかなと思いつつ、それを選んだランナーが2-3人しかいなかったので躊躇して右回りを選んでしまいました。おかげで全てのパターンの1番を回る羽目になり、出遅れました。1走のスタートでは独自のルートは取るべきではないですが、数人であっても有力なルートを走っているランナーがいれば自信をもって選ぶべきでした。
その後は、小さいミスやアタックがはまりきらない感じはありつつもうまく集団を使って頑張って走れたと思います。第3集団くらいには食らいつくことができ、順位的にはいまいちですが悪くないタイム差で帰還できました。
この走りができたことで、クラブのメンバーも「意外とやるじゃん」と私を受け入れてくれたように感じれました。その後のコミュニケーションを考えても、重要な大会になったと思います。
クラブハウスでトレーニング
多くの北欧クラブと同じく、Espoon Suuntaもテレインの隣にクラブハウスを持っています。テレインへのアクセスは10秒です。このクラブハウスの屋根裏部屋に寝泊まりしながら、トレーニングを行いました。クラブに落ちている地図を使って自分でコースを組み、自由にトレーニングができました。レースも近かったため追い込むほどはできませんでしたが、十分いいオリエンテーリング機会を毎日持つことができました。結局飽きるくらいクラブハウスの裏山には入りました。
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東京に住んでいるんだとチームメイトに話した時、一番近い森にはどのくらいかかるの?と聞かれました。東京は森は少ないけどアクセスが良くて、いくつかのいいテレインに3時間くらいで行けるんだ、普通のテレインなら2時間くらいだよ、と私が答えると彼らは言葉を失っていました。。(その後「それは往復で?」と念押しで聞かれました。再度彼らが言葉を失ったのは言うまでもありません)
それくらい、北欧の人たちにとってオリエンテーリングは身近で、ランニングの延長のような捉え方なのだと思います。平日夕方定例のトレーニングイベントは週に1回以上あり、周辺の他クラブのイベントにも参加すれば、ヘルシンキ近郊の人はほとんど毎日オリエンテーリングができます。子供たち向けのイベントと地域の方向けのエクササイズイベントもEspoon Suunta主催で週1回行っていました。さらに、スプリントシーズンだったためEspoo市内でスプリントの計時イベントが毎週行われていました。
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10-mila 2024
息をつく暇もなく、チームの10-milaキャンプに参加しました。10-mila(ティオミラ)は男子は10人、女子は5人でつなぐ世界最大級のリレー大会で、北欧の多くのクラブがターゲットにしているレースです。僕はEspoon Suuntaのセカンドチームの1走を任されました。今回クラブでは3日ほど前から入り、近隣テレインでトレーニングを行いました。
スウェーデンまでは船で行きます。船の中では多くのメンバーと合流し、顔と名前を必死で覚えました。50人以上いたのでとても全員は無理でしたが。
船旅はとても快適で、海に無数の島々が浮かぶ美しい風景を楽しむことができ、今回の遠征の一つのハイライトでした。コーチ陣は「どの島も最高のオリエンテーリングテレインだね!」とロマンチックの欠片もないことを話しており、どの国でも道中で話すことは変わらないものです。
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フォレストのトレーニング機会は3-4回ほどありましたが、基本的にはイージーエフォートで、早く走るよりテレインと地図に慣れることを優先する内容でした。とはいえ、全員6-7kmのコースを軽々1時間くらいで帰ってきてしまうので緊張感がありました。
1度だけマススタートをするトレーニングがあり、特にファーストチームの選手のフィジカルやナビゲーションのレベルの高さを直で感じることができ、いい機会でした。ただ、一緒に走れる程度のペースではあり、話を聞くと考え方や見ている特徴物も大きくは変わらないようでした。
結果
1走137位 (トップ+9:10)
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事前のチームミーティングやファーストチームの1走Anssiと話した内容を踏まえると、このテレインは北欧では珍しく、「なるべく丘を避けて進む」ことが重要だと理解しました。そうなるとルートチョイスが重要になってきます。
300人以上のマススタートの後、予想通り1番はロングレッグ。丘を東に避けるルートを選択。このチョイス自体はよかったようです。最初の1kmはな4min/kmを切るハイペースな集団に乗ることに成功しました。
しかし2番で別のコントロールに行ってしまい、後ろの集団に飲み込まれます。こうなると集団は「1列」になって走るため、スピードが上がりきらずずるずるタイム差が開くのがビッグ・リレーの特徴のようです。抜かすためには踏み場のない足場の悪いところを走り、押しのけていかないといけないため無駄に体力を使います。
その後、5番で集団ロストを経験した後、6番へ。ここまでは1軍のAnssiと同着。正直6番周りは全くどこにいるか分からなくなってしまいましたが、集団を使って通過しました。
その後8番でアタックミスを犯した間に完全にペースの遅い集団に飲み込まれてしまいました。そこからは一人のオリエンテーリングに集中しましたが、1走137位 (トップ+9:10)という微妙な結果でフィニッシュ。最低限確実に繋ぐことができたのはよかったものの、やや消化不良でした。
ただ、最終的にセカンドチームとしては上々の結果(100位以内)を達成でき、貢献できたことはホッとしました。
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特に私たち日本選手は海外の選手とのマススタート機会がかなり限られています。大きなリレー大会、しかもマススタートを2回経験できたことは非常に貴重で、他の選手の動きやルートを直に見ることができ、今後のフォレストに向けて良いイメージが掴めました。
ノックアウトスプリント選手権
フィンランドに戻り、クラブハウスに別れを告げてヘルシンキに移動し、今回同じ大会に出場する尾崎さんと小山くんに合流しました。ここからスプリントのフィンランド国内選手権を2戦戦います。
ノックアウトスプリントはまずは個人レースの予選にフォーカスします。個人スプリントより少ない36人(各ヒートでは12人)までしかノックアウトステージに進めないため、かなりタイトな勝負が予想されます。
予選
予選8位 通過 (トップ+40”)
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予想通り難しくないシンプルなコースでしたが、不整地が多く見通しが悪いところもあり、スピードが出しにくく方向をやや失う場面もありました。コース自体は短いので、ルートを決めたらとにかく全力で走ることの繰り返しで、最後まで集中できていたと思います。
2,3小さなミスやルートチョイスミスがあり、通過は厳しいかと思っていましたが、ヒート分けの運もあり8位で通過。エントリー前から正直なところ通過は難しいと予想していたので、望外の結果がかなり嬉しかったです。
準々決勝
4位 (トップ+15秒) 敗退
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6人が同時スタートする本格的なノックアウトステージを体験するのは初めてで、期待が高まるとともにいったいどうすればいいんだと不安に襲われましたが、この競技についてEspoon Suuntaのハンナがいろいろと教えてくれました。フォーキングの方法(マップチョイス、バタフライループ、フォーク無し)で戦術が異なること、選手が別れたら他のグループに負けないよう全力で走ること、最後のレッグのルートチョイスを読み切っておくことなどなど、貴重な話を聞きました。ヨーロッパのエリート選手の間ではセオリーがある程度確立されつつあるようです。
レースが始まると、同ヒートのフィンランド代表Oksanenが飛び出します。彼についていくのは無理だと判断。3番手でフォーキングエリアに入り、アドバイス通りかなりスピードを出して走りました。すると、3番手をキープしたまま4番を通過。しかし5番に入る手前で誤った場所に2,3歩入ってしまい一気に5番手まで落ちてしまいました。
7-8のロングレッグで前を追いかけ、一人を抜き返すことに成功。3番手の選手の背中をとらえ、10-11のルートチョイスで彼と異なる南ルートを選択して勝負をかけました。
すると、11番でわずかに先行。しかし、フィニッシュまでの間のダッシュで完全においていかれてしまい、結果的に2秒差で敗退になりました。
最後のスピードももちろん足りませんでしたが、ナビゲーションも落ち着きがなく、細かいルートも読めていなかったです。そんな中でも、レース中盤のスピードでは中堅選手たちに引きを取らなかった点、レース前の戦略をある程度実行できた点はよかったと思います。
予選突破と合わせ、確かな自信を手にすることができました。
スプリント選手権
2日後に行われたフィンランドスプリント選手権。こちらはEspoon Suuntaがホストしての開催ということもあり、ぜひいい結果を出したいと力が入ります。
予選
6位 +55'
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ノックアウトの疲れが残っていたうえ、標高差もありスピードを出し切れないレースになりました。ルートチョイスも多く、シンプルではありながらなかなか休ませてもらえない印象でした。それでもミスは抑え、トップと55秒差の6位という予想外の高順位で予選を通過できました。
決勝
48位 +3:03
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決勝は8までは小さな切り返しとリズムを求めるような回し。→9のロングレッグもシンプルで、あれ、大したことないなと思い始めたところで屋上庭園を使ったロングレッグ(→14)。当初全くルートが見えず、庭園に入ってからも右往左往してしまいロスを重ねます。最終的にこのエリアのこなしの悪さが大きく響き、3分も差がついてしまい、久しぶりに大失敗というレースをしてしまいました。特に複雑なロングレックのルートチョイスや実行力といったところに大きな課題を感じたレースでした。
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2つの大会からー世界選手権に向けて
今回の2つのスプリント大会から世界選手権に向けてどんな示唆が得られるでしょうか。私の予選のタイムのトップ比はそれぞれ107%、108%でした。これは、世界選手権の予選通過ボーダータイムとして想定されるトップ比とおおむね一致します。世界選手権ではより速い選手が走ること、国内選手権の予選では力を抜いていた可能性は想定しなければいけませんが、少なくとも勝負できる土俵には立っていることが自覚できました。どういった走りをすれば予選を通過できるのか、具体的にイメージすることができました。
突破したその先の戦いは、厳しいものになるということもまた身をもって実感しました。しかし決勝に向けて準備が至らなかったのもまた事実で、今回の経験を生かして走ることでよりよいパフォーマンスが発揮できると思います。
強豪国フィンランドの選手たちと争った経験は世界選手権を目指すうえで大きな財産になりました。また確かな自信をもって日々のトレーニングを行うことができています。
終わりに
今回の遠征では前述の通り、非常に貴重な体験と確かな自信を得ることができました。また、特に前半は日本人が誰もいない、コミュニケーションも難しい環境でチームメイトと行動を共にしました。正直楽ではなかったですが、アウェーな環境の中でも目的に向かって行動する、目標とするアスリート像に少し近づけた気がします。
私を快く受け入れてくれたEspoon Suuntaの皆さん、スプリント遠征をともにした尾崎さん小山くんありがとうございました。さらに、今回は非常に多くの方より支援をいただき遠征が実施できました。かなり厳しい状況を救っていただいた皆様、本当に感謝しております。
最後に所属先であるアークコミュニケーションズの皆様には安心してトレーニングを行えるようサポートいただきました。御礼を申し上げ、今回の報告を締めたいと思います。
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