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Come Gravel With Me

フランクシナトラの”Come Fly With Me”が鼓膜を揺らす雲海を丸形の窓から目下に見下ろし、北の大地は流れていく。

降り立った地は北海道は新千歳、日本を代表する箱形バンに自転車を積み込み向かった先は、小学生の頃に地図帳で初めて見たカタカナの地名ニセコ。

40が目前に迫った私は何度かこの地に立ったことはあるが、この甘美な響きと広大な土地に毎回ドキドキする、この気持ちだけは何時までも変わらない。
そう、ここには唯一無二のグラベル(不整地路)が待っている。

アスファルトじゃないかって?つまらない質問だ。

ニセコグラベルに参加してきました。

去年のイベントは所謂プレイベント的な様相を呈していたが、今年はスプリングライドを経て実質3回目の開催となるニセコグラベルだけに期待値も高い。

悩む間もなくエントリーを行いエアチケットを早割で確保するぐらいには意識高めで臨んだ。今回は去年のLCCジェットスターではなくフルキャリアであるANAにより千葉NRT第3ターミナルという千葉最後の秘境からの脱内地ではなく、日本の中枢、HNDからの脱内地である。

門仲から大江戸線で大門へ、そして浜松町からはモノレールで速攻羽田であるが、この道のり我が家から門仲の駅までが一番つらかったのは言うまでもない。輪行袋に入れた自転車を担いで歩くのは何時の時代も苦痛である。

さてニセコ前日は倶知安で昨年と同じ宿に泊まり当日は30分ハイエースを走らせてスタート会場へin。ゆるーい雰囲気(後方スタートの我々だから)の中ニセコの道へ放り出される。

いつもの面々

昨年と同じ道も交えながらRapha Prestige NISEKOのコースも一部トレースしているルートを115km2300mUPする道のりは魅力そのもの。
昨年汗と涙を流しながら登ったグラベルは今年は下りに設定され、叫び声と共にカッとんで下っていくその様は、史上最高レベルのグラベル下りを味合わせてくれる。

昨今レースでの勝った負けたの勝負ごとに若干の疲れを感じてしまっている自分にとって完走を目標に置き、その過程を楽しむスタイルがどんどんフィットしてきている事は紛れもない事実だし自認もしている。
未舗装路は好き、そして自分に挑戦する的なスタイルも好き、そりゃ私も心の中ではライバルだったり競い合うことに達成感を見出すことはあるが、自分が敵、もしくはマネジメントをしっかりと行い自身のプランで、それを完遂していくことも同等の達成感があるのだ。
この辺りはブルべにも通づる物がありそうだ。

試される大地にしかない道がある。

そんな私にとってグラベルイベントというものは非日常であり、自身のスキルやマネジメントに挑戦してくる良い湯加減なのだ。

ニセコにはそれがあったし、いつぞやのRapha Gravel challengeにも同じものを感じた。ダーティカンザ的に200mileを走りきる体力はまだないかもしれない。だけど今の私にとってグラベルは可能性を、新しい自転車との付き合い方を見せてくれる「可能性の獣」なのだ。

そんな事を考えながら貧脚に鞭打ってC1・M1ライダーの後ろを腰をかばいながら走ったニセコの地、本当に良かった。

意図しないモノを意図通りに工夫する楽しみ

来年来るかは来年の自分に聞いてみないとわからない、しかし今年の自分はニセコにやってきた、来年はどの道を走っているのだろうか今から楽しみである。

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