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指からでまかせ 雪国

昨日と今日の間の長いトンネルを抜けると雪国であった。
朝かと寝ぼけた夜明けの底が白くなった。目覚まし時計の針が止まった。
向側の部屋から出張中の同僚が起きて来て、自分の前のガラスの窓を落とした。
雪の冷気が流れ込んだ。同僚は窓いっぱいに乗り出して、心の底へ叫ぶように、
「仕事、休みにならないかな。仕事、休みにならないかな」
と、叫ぶ現代の雪国

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