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【耳の男】過去作品


少女は本を読んでいた

知らない間に眠ってしまっていたようだ


眼が覚めると砂漠にいた

遠くに山が見える

目の前にはサボテンと巨大な蟻塚

そして金属でできた円筒形のもの

それらがそこかしこに


何処なのかしら

立ち上がり散策してみた

すると向こうから

大きな耳の男がやってきた


なんでしょう

あれは

近付いて来たので円筒形のものの陰に隠れた

耳の男はロボットだった

ガシガシ歩いて来て

そのまま

ガシガシ歩いて行った


少女は耳の男の後をつけた

気付かれないように

の筈だったのだが

突然砂漠が割れて少女は下に落ちた


真っ暗闇

何も見えない

物凄く長い間落下したので

落下しているのか

そこでそのまま止まっているのか

分からなくなった


そんな折

これまた突然

今度は目の前が開いた


海岸だ

出ると後ろの扉が閉まり

扉が消えた

誰か居るかしら?

海岸沿いを少し歩いてみた

海を見ると遠くに船が数隻

もっとよく見たかったので海とは反対側の丘に登った

丘に登ってはじめて

丘の向う側が見えた


沢山の戦車や兵隊が戦っていた

爆弾の破裂音

すると空からは飛行機が

怖くなってその場にうずくまり目をつむって耳を塞いだ


そうしたら少女は巨大化した

目の前にはオモチャの戦車や飛行機が

まるで男の子の部屋だ

だから少女は部屋を出た

そしたら森に出た


森にはクジラくらいの芋虫さんが水パイプを燻らせていた

大きなクセに顔は少女と同じくらいだった
きみが悪い

でもこれはきっと夢の世界なのだわ

そう思い少女は少しためらいながら
芋虫に話しかけた



「ここは何処ですか?」


「さぁ」


「ここが何処だかご存じないのですか?」


「まぁ」


「困ったわぁ
分かりました
ありがとう」


「ふぅ」



どうしたら良いのか


歩いてみた

途中

耳の男を見た気がしたが

それはきっと幻想だろう

少女は適当に歩き続けた

すると
ちょっとした広場に出た

広場の真ん中には

大きな枯れ木が

当然ながら

少女はそれに近づく


大きな枯れ木は大きな教会ほどの大きさだった

扉が三つあった

ドアノブをガチャガチャしてみた


一つ目は開かなかった
二つ目も開かなかった
三つ目は開いた

中に入ろうとしたら

逆に扉の向う側へ吸い込まれた

そのまま吸われ続けた

着地したらそこには大きな宇宙船とこれまた大きなピラミッドと動くスフィンクスが
宇宙船とピラミッドの間で変な生き物が行き来している


体は人間なのに顔は皆んな獣だ

気持ちが悪い

ピラミッドの奥にはネオン管の灯りがギラギラする街が見えた

顔が獣の中に耳の男が居た

でも今度のはロボットではなく
生だ

ちゃんとした生き物だ


ピラミッドの間を通り抜け

ネオン管ギラギラの街へと入っていった

色んな皮膚の色の人たちが沢山の居た

活気がある

車は旧式のものから

タイヤも無く浮いて走るのまであった

昼間だったのでそれ程怖く無かったが
夜はあまり出歩かない方がいい感じの雰囲気だ

ギラギラした
街は意外と奥行きに欠けた

その向こうは至って普通の街だ

開発が追いついていないのだろう


お腹が空いたので適当なお店に入ってみた

少女はなんとも言えない食べ物を出された

出した人が凄い勢いでお辞儀をしてくるので怖い

後で知ったのだがそれは
寿司という食べ物だった

美味しかった

食べ終わった後で気付いた


そういえばここのお金なんて持っていないわ

ポケットに手を入れたらトランプしか無かった

恐る恐るレジへ会計を聞くと
ハートの六とクローバーの八を請求されたのでホッとした


店を出たらそこはサボテンの砂漠だった

振り返るとロボットの耳の男に捕まった


ロボットは


「でくの坊
でくの坊」





薄らぐ意識

次に目を覚ますとそれは

いつもの風景だった




ほな!

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