競馬場の概念が覆る:ニューマーケット(イギリス、Newmarket)

「競馬場」の要素

私が競馬を好きになったのは小学校高学年の頃。なかでも、競馬場のコース形態には強く魅かれるものがあります。

当時のゲームソフト、たしかウイニングポストの説明書にはJRAのすべての競馬場の略図がありました。また、渋谷にあったプラザエクウスで、NARが作った全国の地方競馬場のガイド冊子も手に入れて熱心に読みふけっていました。

「競馬場」といえば左回りか右回りで、コーナーが4つ、手前と奥に直線がある−これが共通項でした。

ニューマーケットを知るまでは。


進化した門別競馬場

イギリス3冠(死語)の初戦、2000ギニーや牝馬限定の1000ギニーが行われるニューマーケット競馬場は、イギリス競馬の中心地にあります。

ニューマーケットはサラブレッドの一大生産地であり、大規模なセリが行われ、街にトレセンがあり、おまけに競馬場があります。

分かりにくく例えると、門別競馬場と美浦・栗東トレセンが併設してる感じです。

…分かりにくいですね、はい。


豊富な「シバ」資源

街中に馬が歩いていて、ダービー馬とすれ違うなんてことも日常的。そんな競馬産業が盛んな理由の1つが、ニューマーケットヒースと呼ばれる広大な草原です。つまり、土地が広く、適度に草が生え、勾配がなだらかな環境が広がっているからです。

象徴的なのがトレセンにある芝の追い切りコース。実は、コースはあたり一面の芝生広場です。

目を凝らすと白いカップが点々と置かれており、その間が「本日の追い切りコース」なのです!
(つまり毎日通る場所が変わる)


ニューマーケット競馬場は2つ?

そんなシバ資源あふれるニューマーケットの競馬場。そのコース形態もユニークそのものです。

コースは大きく分けて2種類。春のギニーなどが行われる「ロウリーマイル」と、アグネスワールドも勝ったジュライカップで使われる「ジュライコース」です。

実はこの2コース、全く被っていません。しかも周回すらしていません。

2つの別々なコース、2つのゴール、2つのスタンド。競馬場が2つあるといっても過言ではないのです。


奥が深すぎるイギリス競馬

あの有名なニューマーケット競馬場が、「競馬場」の形すらしていないなんて…

高校生だった私が、レーシングポストのウェブサイトで知ったこの事実は衝撃的でした。

短距離なら直線競馬だし、コーナーといってもお情け程度の角度の大きいものが1つあるだけ。

イギリス競馬の奥深さ…って本当に奥が深すぎて混乱するほどです!


最近ではフェスも開催

実は同じような趣きは、アイルランドのカラ競馬場でも見られます。こちらもトレセンのある地で、シバ資源が豊かな場所です。

また、ニューマーケット競馬場の所有者は競馬発祥の原動力となったジョッキークラブ。最近はビジネスにも熱心で、ジュライカップ開催ではレースの後にミュージシャンを呼んでフェスをやったりしてます(モエシャンドンがスポンサーしてる!)。

門別競馬場でも夏の開催時に、夕方からレキシのライヴしてくれないかなあ。

絶対、行くのに。

いただいたサポートを励みに、これからも世界各地の競馬場に足を運びたいと思います!