「心臓破り」の坂:トウスター競馬場(イギリス、Towcester)

マキバオーと中山競馬場

小学生の頃、学校の近くの科学実験教室に通っていました。

実験だけでなく、先生と競馬の話をすることと、待ち時間にジャンプの「みどりのマキバオー」を読むことが楽しみでした。


マキバオーの1シーンに、中山競馬場の直線が出てきました。

ここは「心臓破りの坂」と呼ばれていて、登り切るのには相当なスタミナを要するという描写でした。


1.6%

中学生になり、「優駿」という月刊誌を読み始めました。

JRAが発行している競馬雑誌で、レース結果やインタビューやコラムなど、馬券オヤジ向けとは一線を画した知的な雑誌でした。

巻末にはその月に開催する競馬場のデータがあり、中山競馬場の記述の中にはこうありました。

1.6%

これが直線の坂の勾配です(なんなら、この数字自体の記憶も曖昧です笑)。

それから先、1.6%イコール心臓破りであると私は信じ続けていました。


イギリスでいちばん通った競馬場

前置きが長くなりましたが、イギリスのトウスター(Towcester)競馬場は、私が最も通った競馬場です。

なぜなら、働いてた厩舎の馬がよく出走したから。


ヘスケス(Hesketh)卿が所有し、イギリスでは珍しい「入場料無料」の競馬場でした。

※12/26とイースター開催を除く

障害競馬専用のコースで、土はかなりの粘土質。

そのため、雨が降ると長靴の底に土がくっついて、歩きにくくて大変でした。

https://towcester-racecourse.co.uk/wp-content/uploads/2017/11/424859_Course-Overview-Map-V1-INDESIGN-PR.pdf
なんかドッグレースのコースもできてるんですけど!知らなかった!


トウスターの坂

トウスターに来て、スタンド前に立てば一目でこのコースの特徴が分かります。

1コーナーを頂点に、向正面が谷底になっていて、つまりゴールに向けては延々と上り坂が続きます。

しかも!その上り坂が半端なく急なんです!

3000mや4000m走ってきて、さらにこの急坂にある障害を飛ばなきゃいけないので、ほとんどの馬はのろのろゴールします(ギャロップしてますけどね)。

この競馬場に会ってから、私の中の「心臓破り」の定義はあっけなく更新されました。


日本の競馬しか知らない方々へ

熱心に毎週末、あるいは平日も日本の競馬を楽しみにしているみなさん。

中山の直線に「急坂」があると思ってませんか?

または、私のように「心臓破り」だとつの丸先生に騙されてませんか?笑


世界には、日本では考えられないような競馬がたくさんあります。

日本の競馬は極端に人工的で、これが競馬の魅力のすべてでは到底あり得ません。

私のnoteを読んで、少しでも競馬の持つ無限の可能性を知っていただければと思います。

いただいたサポートを励みに、これからも世界各地の競馬場に足を運びたいと思います!