水没する競馬場:ウォスター(イギリス、Worcester)

ウスターソース

ウスターソースと中濃ソース、どちらが好きですか?

実は、ウスターソースのウスターはイギリスの地名で、現地ではWorcestershire sauceと呼ばれています。

Worcestershireは、イギリスのあるブリテン島のちょうど真ん中らへん。「-shire」は、日本の都道府県みたいな行政区分のことで、Worcestershireの中心にある街がウォスター(Worcester)です。

この街にあるウォスター競馬場は、障害競馬専用のトラックです。


夏の障害競馬

イギリス競馬の番組は、春から秋が平地競馬、秋から春が障害競馬という区別があります。

ただし、実際には平地も障害も通年開催されています。冬でもオールウェザーコースの平地競馬はあるし、夏にも障害競馬はあります。

さらに、夏「しか」障害競馬をやらない競馬場があって、ウォスターもその1つです。


冬は凍結する

なぜ、ウォスターは冬に競馬ができないか。それは、川沿いにあるから。冬の寒さで馬場が凍結してしまうんです。

特別寒い場所にあるわけではありません。しかし、川を「またいで」コースが作られているため、馬場に含まれる水分が多いのです。

(反対に、冬に芝の競馬ができるところは、丘陵地など水はけのいい場所です)


馬場状態が変わる

川をまたいでいるウォスター競馬場の特徴は、馬場状態が場所によって異なることです。

学校の授業で、川が曲がってる内側は土砂が堆積し、外側は岸が削られると習いませんでしたか?そうなることで、川のあちらとこちらでは土の質が変わるのです。

ウォスター競馬場の馬場状態を見ると、"Good to Firm (Good in places)"など複数種類書かれることも多いです。

日本的に言えば、「稍重(場所により重)」といった感じです。

同じような競馬場は他にもいくつかあるみたいで、例えばマーケットレイズン(Market Rasen)競馬場もそうです。


水没する競馬場

私は何度もウォスター開催に厩舎の馬を連れて行きました。

そんな競馬場があるとき「水没」によって競馬が開催中止になりました。

ウォスターの街を流れる川が降り続く雨で水かさを増し、競馬場の敷地が冠水してしまったのです。

そうなると大変。その年に予定されていた開催がすべて中止になり、水が引いてまた競馬ができる状態に戻るのをひたすら待つのみでした。

イギリス競馬が本当に自然と寄り添ってるなと感じられる出来事でした。


夏の障害競馬の魅力

夏の障害競馬にはスターホースは出てきません。

しかし、日が長いので夜9時くらいまで明るい中レースが行われ、観戦するのはとても楽しいです。

また、冬と違っていい馬場状態(たびたびFirmと表示されるくらい)なので、高速馬場が向いている馬にはおあつらえ向きです。

さらに、川沿いの競馬場は平坦なので、スタンドから全周が見られるのもいいです。ニューマーケット競馬場とか、壮大すぎてスタートしても分からないですからね。

6-7月くらい、そんなに暑くないイギリスに行った際には、訪れてみるといい場所だと思います。

いただいたサポートを励みに、これからも世界各地の競馬場に足を運びたいと思います!