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第46回クイーンC(2011年) [競馬ヒストリー研究(31)]

来たる2月28日をもって、7名の調教師が定年引退を迎える。今回は、今週開催される重賞の中から引退調教師の一人である美浦の田中清隆調教師が制した2011年のクイーンCを振り返りたい。

 

所謂「下乗り」として中山競馬場の野平省三調教師の下へ入門し、その次男で「ミスター競馬」こと野平祐二厩舎所属で騎手として1975年にデビューした田中。

騎手としては15年で通算132勝、重賞1勝に留まるも、90年に調教師に転身すると年々着実に成績を伸ばし、95年には関東リーディング2位の33勝を挙げ優秀調教師賞を受賞。ホッカイルソーでクラシック戦線を賑わせた。

翌96年にそのホッカイルソーで日経賞を勝利し重賞初制覇。97年にはGI昇格初年度であったフェブラリーSをシンコウウインディで制してGI初制覇を挙げ、翌年も同馬と同じ岡部幸雄騎乗のグルメフロンティアで連覇を達成した。

 

2000年代後半には暫く重賞タイトルから遠ざかっていたが、そんな田中の下に2010年に1頭の牝馬が入厩した。田中の出身地千葉県銚子市で病院を経営する嶋田賢が所有する芦毛のクロフネ産駒ホエールキャプチャである。

7月に函館でデビューし2戦目で初勝利を挙げ、秋は牡馬相手の特別戦芙蓉Sを勝利。暮れの阪神JFでは勝ったレーヴディソールから半馬身差の2着に入り、翌年のクラシックが視界に入ってきた。

そして2011年の始動戦に選んだのが2月の東京で行われる芝1600m戦クイーンC。前走フェアリーSを制していた良血馬ダンスファンタジアが1.7倍の1番人気に支持され、阪神JFで同馬に先着しているホエールキャプチャも3.6倍の2番人気に続いた。

稍重馬場の中レースは淡々と流れ、ホエールキャプチャは中団の前目に位置。直線に向いて外に出すと鋭い脚で抜け出し、内から差し込んだマイネイサベルなどの追撃を凌ぎ切って1着。前走からコンビを組んだ鞍上の池添謙一は「レーヴディソールと対戦するまでは負けられないと思った」と語り、クラシック本番へ向けて待望の重賞タイトルを手にした。

 

そのレーヴディソールが戦線離脱したことから本番の桜花賞では1番人気に推されるも、追い込み届かず2着。オークスと秋華賞、エリザベス女王杯も3,3,4着と、3歳牝馬戦線で唯一年間を通した活躍を見せるも、GIに中々手が届かなかった。

その後は4歳になりクイーンC以来7戦ぶりに東京芝1600mに戻ったヴィクトリアマイルで悲願のGI制覇を果たし、翌年も僅差の2着。6歳となった2014年にはやはり東京芝1600mの東京新聞杯で牡馬相手に重賞勝利を挙げるなど長きにわたり活躍し、田中清隆厩舎を支えた。

 

ここでもう一度田中の調教師成績を振り返ってみると、90年10月の開業後初勝利が東京競馬場で、ホエールキャプチャ以外のGI制覇もフェブラリーSの2勝とレディパステルのオークスと全て東京。マイネルアムンゼンではエプソムCを連覇、現時点で最後の重賞勝利であるマイネルメダリストの目黒記念も東京と、東京競馬場にかなり縁深いものがあった田中の調教師人生。

古馬となってからはそれまでの堅実さは失われたものの、得意の東京コースに戻れば能力を全開し勝ち切るという成績に変わっていったホエールキャプチャ。ヴィクトリアマイルを勝った後5走連続二桁着順が続きながら翌年の同レースで別馬のように激走するなど若駒の時代とは驚くような変貌ぶりであったが、そんな同馬こそ東京競馬場に愛された田中清隆調教師のキャリアを代表するに相応しい最高傑作と言えるのではないだろうか。


昨年共同通信杯に出走したレフトゥバーズと同じようにクイーンCとダブル登録していたプレサージュリフト。どちらに出走しても注目したいと思っていましたが、やはりクイーンCの方が与しやすい相手でしょうか。クラシックへの道を開いてほしいです。

共同通信杯も少し先物買いして1戦1勝のダノンベルーガ、京都記念は少し穴っぽいところでエヒトに注目しています。


それではー

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