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第20回中山牝馬S(2002年) [競馬ヒストリー研究(35)]

3月12日土曜日には中山競馬場で中山牝馬Sが行われる。同レースと言えば、一昨年は3月半ばとは思えない雪の中で、昨年は大雨の中で行われ、2年連続不良馬場での施行となったことは記憶に新しい。この時期の中山は悪天候に見舞われることが多く、1986年以降に芝の重賞が2年連続不良馬場となった4例中3例が3月の中山開催に集中している。

今回はそんな気分も晴らすようなパンパンの良馬場で行われ、ステークスレコードも記録した一戦を振り返りたい。

 

2002年の中山牝馬Sはこの路線のハンデ重賞としては珍しくGI馬が複数出走し、上位拮抗の好カードと言える顔合わせとなった。

まずは単勝オッズ2.9倍のオークス馬レディパステル。トニービン産駒らしい強烈な末脚を武器としていたが、中山コースでもここまで5戦し連を外したのは1度のみ。前年の秋は同コース(当時)の紫苑Sを勝利し、その後は秋華賞で3着、エリザベス女王杯で4着して休養に入り、4歳シーズンの始動戦として出走してきた。

もう1頭のGI馬は1歳年上の秋華賞馬ティコティコタック。上位4頭が横一線の争いとなったエリザベス女王杯ではレディパステルに先着する3着となり、その後2戦を挟んで当レースへ駒を進めた。前走のAJCCで8着に敗れていることもあり、単勝オッズは6.9倍と少し差が付いていた。

 

そして、そのGI馬2頭を抑えて単勝2.6倍の1番人気に推されたのがレディパステルと同世代の4歳馬ダイヤモンドビコーであった。

当歳時に創設第1回開催であったセレクトセールにおいて1億7500万円という、当歳牝馬の市場取引価格における当時の最高額を記録した同馬。

藤沢和雄厩舎らしく無理使いしてクラシックを目指すことはせず、レディパステルがオークスを制した前後に東京で500万下、900万下を勝ち上がり、古馬相手の重賞クイーンSを2着と徐々に成長を見せ、秋華賞トライアルのローズSで初重賞制覇を飾る。

しかし、本番の秋華賞は輸送続きとなってしまうため負担を嫌い、やはり藤沢ならではの判断で回避。その後阪神牝馬Sで6着、京都牝馬Sで2着した後ここへ駒を進めた。

 

ハナを切ったメジロバーバラをハッピーマキシマムが向正面で外から交わし、そのままハイラップで飛ばしたため馬群はかなり縦長に伸びる。

自分のペースを守り中団馬群の先頭5番手で追走したダイヤモンドビコー。直線を迎え、失速する先行勢と入れ替わるように脚を伸ばし、坂上で先頭に立つとそのまま勢いが衰えることなくゴールへ飛び込んだ。

すぐ後ろに位置していたティコティコタックやレディパステルも2,3着は死守したものの、ダイヤモンドビコーには勝負どころであっという間に置き去りにされてしまい、最後は5馬身もの差を付けられた。

 

その後ダイヤモンドビコーは秋にエリザベス女王杯の前哨戦として出走した府中牝馬Sを勝利。本番のエリザベス女王杯ではファインモーションに離されての2着に敗れたものの、続く阪神牝馬Sを単勝1.3倍の断然人気に応えて逃げ切り勝ち。同年に出走した牝馬限定戦6戦全て連対し、重賞を3勝したこと等が評価され、スプリンターズSを勝ったビリーヴを抑えて最優秀4歳以上牝馬を受賞した。

ヴィクトリアマイルの前哨戦として出走する馬が増えている近年の当レース。昨年の優勝馬ランブリングアレーも本番のGIで2着しているが、やはりダイヤモンドビコー同様トップホースの高い壁に阻まれる結果となった。

小回りコースのハンデ戦というレースの性質上、なかなかGIへ直結することが難しいレースではあるが、牝馬の層が厚みを増した今の時代にあって、またこのレースからダイヤモンドビコーのような強い競馬を見せてくれる馬が現れることを期待しながら見届けてみたいと思っている。


馬齢重量の55kg以上を課された馬が7頭と、なかなか粒揃いのメンバー構成となった今年の中山牝馬S。前走重賞勝ちの2頭は共にハマった感もありますが、ハンデも上がり切っておらず条件的にも問題はなさそう。

ですが、牝馬限定のハンデ戦だけに軽量馬への警戒も必須。ボトムが53kgだけに例年のような大穴は期待しづらいですが、2走前に同コース勝ちがありその前にはルビーカサブランカにも先着しているシングフォーユーは狙いたいです。

金鯱賞は2000mに戻るポタジェと前走速い流れを経験しているアラタを、フィリーズレビューは実績で頭一つ抜けるナムラクレアから狙いたいと思っています。


それではー

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