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第8回ジャパンCダート(2007年) [競馬ヒストリー研究(22)]

今回は2007年のジャパンCダートをご紹介する。ジャパンCの前日に国際招待競走として東京競馬場で行われた最後の同レースは、1番人気の5歳馬ヴァーミリアンが優勝した。

2歳時にラジオたんぱ杯2歳Sを勝利したものの、翌年のクラシック戦線では二桁着順が続いた同馬。菊花賞へ進まずに出走した初ダート戦を勝利すると、返す刀で浦和記念を制してダートグレード競走を初勝利。その後芝のレースに出走することはなく、4歳シーズン終了までにダート重賞を更に2勝した。

前年はGIで入着止まりであったが、5歳となったこの年に入り遂に本格化。1月に川崎記念を6馬身差で圧勝してGI初勝利を挙げると、ドバイワールドCへ遠征し4着。そして休養を挟み帰国初戦となったJBCクラシックを4馬身差で勝利。同世代で前年から長期休養中のカネヒキリに代わり、砂界の王者に君臨しようとしていた。

 次走に選んだのはもちろんダート最高峰競走のジャパンCダート。前走JBCを圧勝するも、単勝オッズは2.3倍とまだ絶対的な評価には至らなかったヴァーミリアン。4連勝で前走シリウスSを制した3歳馬ドラゴンファイヤーや、エルムSで同年重賞3勝目を挙げたメイショウトウコンが10倍を切る単勝オッズで続き、他にも同年のフェブラリーS勝ち馬サンライズバッカスらが相手と目された。

更に、同年は2年ぶりに外国調教馬が出走。その2年前に当レースにも出走した後GIを6勝した米国西海岸最強馬のLava Manを下して前々走のパシフィッククラシックSを制し、時計のかかる馬場を求めて遠征してきた米国馬スチューデントカウンシルはその中でも目玉と言え、3番人気に支持された。

 前走武蔵野Sを逃げ切ったエイシンロンバードがHペースで逃げ、中団から進んだヴァーミリアン。3角から余裕の手応えで先行集団に襲い掛かり、直線は横山典鞍上のフィールドルージュが鋭い脚で内を割って食い下がるも全く問題にせず、豪快な差し切り勝ちを収めた。

 その後はご存知の通り、東京大賞典も制して秋の三大競走を制覇。翌年はマイルのフェブラリーSも勝利し、連覇となったJBCクラシックで国内GI級競走6連勝を果たした同馬。8歳で引退するまでに最終的にはGI級のタイトルを9勝まで積み重ね、現在でもダート競走での獲得賞金額は最多を誇る。

また、このジャパンCダートではヴァーミリアン以下5着までを5歳馬が独占。翌年もカネヒキリが優勝し4着までを2002年生世代の馬が占めた。この2頭と先述のサンライズバッカスでJRAのダートGIを6勝しているが、これは世代別の勝利数では現在まで最多である。

 先日のブリーダーズCディスタフでマルシュロレーヌが日本調教馬として初めて海外ダートGI勝利を挙げ、右肩上がりの上昇を続けている日本のダート競馬。ヴァーミリアンの後にも何頭もの新たな最強馬が現れ、GI級競走の勝利記録を更新。ダートの世界最高峰競走の一つであるドバイワールドCでも今年チュウワウィザードが2着に好走した。

だが、その土台には本馬とその世代の活躍によってレベルが一段階も二段階も向上したということや、その中でヴァーミリアンという最強馬が君臨したこの時代を改めて記憶に刻んでおきたい。

チャンピオンズCが行われる中京ダート1800mは上り坂の途中からスタートし、最後の直線も長いため前半はゆったり入って上がりが速いというダート競馬としては異質なコース。

芝血統で速い上がりや長距離の遅いペースも経験していたチュウワウィザードにはぴったりと言えるコース形態。2着したドバイワールドCでもやはり前半600m通過が37秒0の緩い流れでした。

中京コース3戦3勝のオーヴェルニュ。産駒が近4年のうち3回で連対したゴールドアリュールの血を引き、母は芝向きの血統背景。帝王賞で敗れたテーオーケインズもスローに流れた6走前では下しています。

それではー

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