峰不二子の身体が持つパワー

最近「ルパン三世TVSP」シリーズを見ることが多くなってきた。
特にお気に入りなのは「ルパン三世　お宝返却大作戦！」である。
物を盗むのではなく、返していくというコンセプトがすでに魅力的だが、この作はとにかく不二子が魅力的だ。

まずキャラクターデザイン。この作品では不二子の髪色に若干暗めのブルネットが採用されている。個人的に茶髪、オレンジ、金髪に比べより賢さが増したように見えて美しい。

行動。ルパンがお宝を返すのは最終的にはトリックダイヤを盗むため。不二子はいつも通りそのあと横取りする気なのだ。ルパンが全てのお宝を盗み終わったあと、どこかの高級ホテルで過ごしている彼女のシーンがある。ほとんど服は着ていないようで、シーツだけを体に纏っている。そのまま窓に向かうとシーツは滑り落ちて、全裸になった彼女は「ルパン、これであなたは用無しよ。」と呟く。

不二子とルパンの関係性は、とても魅力的だ。ルパンは不二子に惚れているし、不二子を可愛がるが、決して弱い女子供扱いをしないのである。「危ないからお前は下がってろ。」とかは聞いたことがない。

不二子の放漫な体つきが作中でお色気要素として使われるのは、ルパン三世シリーズを見れば明白である。ただここで、「峰不二子の身体は性的に消費されている。峰不二子は性的な被害を受けている。」と締め括ってしまうのはちょっともったいない。もちろん彼女の体は彼女が知らないところで、物体化され、セクハラを受けているのは事実だが、もう少し踏み込んでみたい。

こういう文章を見つけた。

”胸の大きさばかり強調されるけど（それも母性の表れだけども）
不二子のモデルは欧米女性のようなダイナマイトボディ
胸も尻も、腕も太もも大きい豊満な体”

”それが不二子の強さ、豊かな女性性と女としての強さの象徴でもある
そしてそんな豊かな体を持つ不二子を細身のルパンが不敵な笑みで支える時
ルパンの男性としての力強さ、たくましさ、器の大きさも強調されている”

全くその通りだと思った。峰不二子の身体は、いつでも100%発達している。大して次元、ルパン、五ヱ門、銭形はガリガリで筋肉があるように見えない。男性として身体が充実しているようには見えない。

十分に発達した健康体としての不二子のpresenceはとても大きい。
その体を使って情報を仕入れたり、銃弾戦、肉弾戦をする。体そのものが鎧ではないか。決して男性より力が強いわけではないため、（男性モブキャラを倒すシーンなどはある。）物理的な鎧でありつつも、男性を性的を屈服させるための精神的な鎧でもある。不二子は性的に消費されるが、同時に相手を支配下に置けるのである。それを可能にするのが豊かな体。

峰不二子の女性性がパワーとして現れている。彼女の身体そのものが「力」の表明なのだ。