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第85回 オークスのみどころ


東京11R オークス


今年のこのレースに関しては、前走のレースレベル比較、展開の読み、各馬の距離適性評価のすべてがビシッと噛み合わない限り、狙って当て切るのが非常に難しいという印象を抱いています。

特に展開面については、ヴィントシュティレが前走のような大逃げを打つと後続の各馬はレースが難しくなりますので、単にペースがどうこうにとどまらず、鞍上のメンタルが強く問われる部分も出てくるでしょう。

その一方で、こういったレースでは自分のレースに徹した馬に最後はハマるということもよくありますから、そのあたりのところをどう考えるか。その意味で、非常に面白くもあり、悩ましくもある一戦となりました。


さて、レースレベルの比較という意味では、シンプルに桜花賞組が他路線組を一歩リードしているとは言えそうですね。もちろん、距離適性の部分は抜きにして……ですが、、、

その上で、ここに出ていないニシノティアモをパラメータに据えると、フラワーC組、フローラS組、スイートピーS組がほぼ互角でその後を追うという形になっているように見受けられます。

ということは、ニシノティアモ比較でエセルフリーダもトライアル組と大きな差はないと評価できますので、忘れな草賞組のタガノエルピーダと併せ、この第2勢力が桜花賞組にどこまで肉薄できるのか。ここの部分の読みが、成否を分ける分水嶺になることはほぼ間違いないでしょう。


展開面では、パレハ、ヴィントシュティレ、ショウナンマヌエラの3頭が逃げ候補ですが、前走のラップ比較からはショウナンマヌエラが、鞍上の性格からはパレハが、前走の成功体験を再現するという意味ではヴィントシュティレが、それぞれ個性を生かすべくゲートから積極的に出して行きそうなんですよね。

だとすれば、1コーナーの入りまではそこそこ速いラップを刻むことになりそうですので、問題は2コーナー過ぎに極端にペースが緩むのかそれとも淡々とハイラップを刻み続けるのか。

ここで極端にラップが緩むと、折り合い面に課題を抱える馬には難しいレースになりますので、前が残るかどうかという観点からだけではなく、いろんな意味で前に行く3頭のレースメイクが着順に大きな影響を及ぼしそうな予感はしています。


なお、距離適性に関しては、仮に東京の2,400mがベストでなかったとしても、基本ポテンシャルが高く終いに脚を残せる馬であれば、問題なくこなしてくることが過去のレースでもしばしば証明されています。

よって、イメージとしては、ベースとなるポテンシャル面での比較に距離適性というスパイスでアクセント加えるくらいがちょうどいい。そんなスタンスで臨むのがこのレースに関してはいいのかな、と。


あとは、トラックバイアスですが、、、

基本、今週はフラットの想定で良さそうですし、締切ギリギリまで馬場把握を引っ張れる方なら、直前のレースの傾向を加味して微調整すれば、大きく見誤ることはないでしょう。


ということで、ここは思い切って⑧ホーエリートを中心視することにしました。

この馬は、昨秋の百日草特別で完敗を喫していたアドマイヤベルに対し、年明けのフリージア賞であわやリベンジかという好内容で成長を示していたわけですが、それを証明するように、前走のフラワーCでも内容のある2着と好走。地味ながら着実に力をつけていることを示す走りを、ここ2戦でしっかりと見せているのですよね。

しかも、フリージア賞は直線でドン詰まって完全に脚を余していましたし、フラワーCは2コーナーで外に膨れ気味になって少なくないロスをつくっていた中での好走。つまり、字面以上に中身の濃いレースをしているという点を評価すれば、第2勢力の中ではこの馬が筆頭の位置にいると見ていいのではないか、と。

桜花賞組との比較では、はっきり比較上位と言えるほどの根拠はありませんが、距離適性ではステレンボッシュよりもこちらが上と思えますし、レースセンスではライトバックよりもこちらに分があるように見えますので、ならば桜花賞組の上位2頭に肉薄するシーンがあっても驚けないのではないか。そんな判断から、今年はこの馬の激走に賭けてみることにした次第です。


2番手は、⑭ライトバック

この馬にとって、東京の2,400mというレース条件はむしろ歓迎でしょうから、あとは一般的にも注目されているとおり、道中の位置取りと折り合いがポイントになってくるのでしょう。素材面で比較上位であることは、桜花賞の走りですでに証明済ですので。

その上で、理想はある程度の位置を取ってピタッと折り合えることですが、リスクを回避するなら前走同様の極端な待機策がベターともいえ、鞍上がどんな作戦で挑んでくるのかによって、結果が大きく左右される面はあるのかな、と。

ただ、坂井瑠星Jの性格からして、ここで消極的なレースをするイメージはまったく湧いてきませんので、位置を取りに行った中で脚が溜まれば勝ち負け、そうならなかった時は惨敗も……となるのは致し方ありません。


3番手は、⑦ステレンボッシュ

この馬に関しては、この世代でトップを争う存在であることをすでにこれでもかと示していますし、レースぶりが素直で暴発のリスクが少なそうな点からも、堅実に走るという意味では信頼を置いていい存在なのかな、と。

ただ、桜花賞が100点満点のレースぶりで勝ち切った印象でしたので、伸びしろという面においては、他馬に一歩譲るところがありそうなんですよね。

よって、もちろん軽視はできないけれど、最後の追い比べで見劣るシーンは一応頭に入れておきたい。そんなスタンスで評価はこの位置にしました。


4番手は、⑩アドマイヤベル。

この馬は一瞬の速い脚こそないものの、長くいい脚を使えるタイプの馬ですので、東京の2,400mという条件で出し切る競馬ができれば、おそらく大きく崩れることはないのだろうと考えています。

力関係的にも、形上は対ホーエリート2戦2勝ではありますし、桜花賞上位組の除いた第2勢力の中では最上位にランクされる馬ではありますので、普通に考えて上位争いを期待していいのかな、と。

ただし、厩舎的にクラシックディスタンスで過去に好成績が残っていない点は何とも気がかりで、そこが最後まで引っ掛かった分、評価はこの位置となりました。


その他、クイーンズウォークは、桜花賞のVTRを改めて見直してみても、思った以上に動けていなかったこともありますし、中間の気配もそこまでいい印象を受けなかったので、本来であれば上位に評価すべき存在ではありますが、コンディション面が整っていないとみて今回は評価を下げました。アドマイヤベルとの比較で、最後のひと枠にどちらを採るかずいぶんと悩んだのですが、、、

ミアネーロは、距離面がどうなのか、と。当研究所的には、桜花賞に出走していれば高い評価をする予定でしたが、オークスで積極的に狙うイメージがどうしても湧いてこなかったので、こちらも評価を下げた格好になります。

コガネノソラが勝った今年のスイトピーS組に関しては、例年以上に侮り難い部分があると思うのですが、クラシックディスタンスでのガチンコ勝負になると、この馬ではやや役不足のなのかな、と。

チェルヴィニアは、どうでしょう、まだ本調子を取り戻すところまで行っていないのではないか、と。距離はこなせていい馬ですけど、今の状態でいきなりの巻き返しを期待するのはさすがに酷なのではないかと思うのですよね。しかもどうせ鞍上人気するのは目に見えていますし、ならばあえて拾う理由はないと判断しました。

スウィープフィートは、気性的にマイラーと考えていいように思います。

サフィラとタガノエルピーダは、どちらも距離延長が味方になりそうですけど、前者はクイーンCの内容が目を覆いたくなるレベルでしたし、後者は前走で完勝したと言っても時計が平凡で展開がハマっただけという雰囲気もありましたので、2頭ともこの相手にはやや分が悪いのではないか、と。


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