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日本財団さんの4月4日は養子の日、イベントで感じたこと、知ってもらいたいこと。

こんにちは、RACの千葉です。

少し前になりますが日本財団さんの「4月4日は養子の日」イベントに参加してきました。

動画は約4時間半あるので、特に全く知らない方に知ってもらいたい部分と、私の感想を少し書いていきたいと思います。

\ちなみに/

アーカイブ配信は5月上旬まであるのでまだ申し込めますのでぜひ日本財団さんのURLから動画を見ていただければと思います^^


1.特別養子縁組とは

「特別養子縁組」とは、子どもの福祉の増進を図るために、養子となるお子さんの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、実の子と同じ親子関係を結ぶ制度です。
「特別養子縁組」は、養親になることを望むご夫婦の請求に対し、下記の要件を満たす場合に、家庭裁判所の決定を受けることで成立します。(厚生労働省のHPよりhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169158.html)


RACでは主に養育里親という部分をお話しているのですが、今回は法律上でも親になるので、

下の図でいうとステップファミリーと同じく「遺伝上の親ではないが、養育上の親であり、法律上の親である」という立ち位置になります。

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(この部分はあのあやのさんの無料公開されている里親制度の説明を一部参考に書かせていただきました。漫画はもっとストーリがついていてとてもわかりやすいです↓)



2.養子縁組は民間団体ばかりだと思っていませんか?〜児童相談所を通して養子縁組が成立する人が半分以上〜


皆さんは「養子縁組成立する子どもの、5分の3が児童相談所のあっせんで成立する」という事実をご存知ですか?

2016年から495人⇒次年度が616人⇒624人⇒711人⇒693人と

2020年で693人の養子縁組が成立しています。

(ちなみに厚生労働省は目標を年間1000人にしようとしています)


民間団体だと、妊娠期からにんしんSOSなどを通じて養子縁組を進めていく場合も多いのですが

児童相談所経由だと子どもが生まれてから里親や乳児院に一度入り、相談を重ねていく場合も多いです。(簡単に言うと生まれたあとで、やっぱり育てられない状況であることがわかった、という場合が多いかも知れません。)

いろんな状況はあれど、最終的に養子縁組が成立する場合はその見立てが早めにできればと感じました。

3.養親であり、不妊治療経験者・実子の子育て経験者の佐々木りえさんの体験談


りえさんの当事者としてのお話は、とてもわかり易かった。(議員さんなのでお話がとても上手で引き寄せられました。)

特に理解しやすかった部分は「不妊治療の経験あり/研修も途中で色々会って断念した/実子もいるので子育ての話も交えられる」という点を交えてくれたところです。

不妊治療⇒里親制度を知る⇒研修を途中まで受ける⇒仕事の関係で断念

⇒結果第1子出産⇒再度里親研修を再開⇒実親さんとも話をして養子縁組が成立。

(ちなみにりえさんが議員、夫さんはボートレーサーで土日が仕事だそう。)

議員さんなのでご自身の後援会で「里親になります」というと大反対!!!!

実の子どもがいるのに、別の家から子どもが来たら「愛情が半分になる!」と毎日のように言われたと・・・(想像するだけでもうめげそうなのですが・・・!すごいなぁ。)


正直、これはどの実子がいる里親さんも問いかけられていると思うのだが、次に子どもが来たら前の子どもへの愛情は半分になるのか?問題は根深い。

《皆さんはどう答えますか?》

実際には、何度も話をかさね、今は後援会のメンバーも応援してくださっているとのことで理解を得られていて素晴らしいなと思うのですが、

子どもが増えても2分の1にはならないと私は思っている人です。(やはり最初の葛藤や思春期、おとなになってから思うことは何度もあるでしょう。)



佐々木さんの場合は、夫さんのほうが「今後実子の娘と、委託されている子どもとの愛情の差ができてしまうから、養子縁組を検討したい」と言ったことなど、ご夫婦で色々な話をされて子どもさんを受け入れられていることがよくわかった時間でした。


4.養子当事者 近藤愛さんのお話


・0歳でへその緒が付いた状態で乳児院の前でおいて置かれた

・親は未だにわかっていない

・真実告知は(覚えているだけで)4回以上あった、その時期の年齢に合わせて。

・思春期の中学生の時にそう言われて葛藤がとてもあった

・親も実子が4人いる上で、体調も悪いときに母親が受け入れた

・あれた後に友人が「どんな状態でも愛は愛だよね」と言われたことに感謝している

これ以上のお話は、愛さんご自身が顔出しをしてご自身でお話をされているので、ぜひそこを見ていただきたいと思います。


5.誰一人として ”ふつうの養子縁組” は無い。


「私はイレギュラーなのですが・・・」という言葉が養親のりえさんからも、養子当事者の愛さんからも何度も出てきた。

確かに。実親とも何度も連絡をとっている今回の養親さんは珍しいと思うが、海外ではオープン・アダプションといいその関係性に名前がつけられている。

生みの親に関する情報を子どもに伝えることは,養子縁組をすることで法律上の実親子関係を修了することとは,矛盾することではないという。2組の親が,それぞれの立場で,子どものために,その役割を果たそうとする時(果たせる時),法律的関係を切ることと精神的関係を継続することに矛盾がない(菊池, 1998:106)と捉えられる。このような育ての親と生みの親と関係を持つことを養子縁組におけるオープンアダプション(Open Adoption)という。(https://www.u-bunkyo.ac.jp/center/library/image/KENKYU021-051.pdfより)


今回登壇された養親さんは、このようにオープンアダプションで育てられているケースで子どもから実親にメールもできるし、長期休暇のときにはお泊りにも行くらしい。

そういう意味では日本ではかなりレアなケースですが、今後も増えていけばいいなとおもうチーム養育の形だなと思っています。


(それでも子育てにも里子育て、養子育てにもすべて「平均的」「普通」というものはないから。こうやって一例として動画に出るということは、「代表して出ている事例」になるのでそこへの最大の配慮なのだろうと思う。)


6.養子縁組への個人的な葛藤について


個人的には養親が「赤ちゃんが来て、本当に幸せです」という情報ばかりをSNSで投稿されるのに、少し抵抗がありました。

0歳の子どもは本当にそれを願っているのか?という問いが自分としては消えないし、結局「子どもという”モノ”が欲しいのか?」という気持ちが拭えないからだ。

子育てだけしたいのであれば、養育里親でなぜだめなのか?と思っていましたが、この動画を見て特に、実子がいる場合は「実子との差をつけないためにも、法律的にも永続的な家族になることが重要な場合がある」というのがよく分かったイベントでした。


日本財団の皆さん、取材で登壇された皆様、本当に貴重な配信をありがとうございました。