今日の読了:ステーキを下町で

読書記録の一発目がコレかい。
 ……いや、失礼。なんといいますか、気がつくと買ったきり読みきれていない本がどんどん溜まりつつありまして、これはもったいない。溜まりつつある本を新旧問わず読んで、その感想を書き付けていこうと考えたわけです。
 そして、その一冊目(というか今日読んだ本)が、これ。

ステーキを下町で (著:平松洋子/画:谷口ジロー/文春文庫)

 いわゆるグルメエッセイとでも言えばいいんでしょうか。あっちこっちに行っておいしいものを食べてきました、様子を書き連ねた一冊です。とはいえ、その食べ歩きっぷりはとんでもなく広範囲。
 北は帯広の豚丼から、南は沖縄の沖縄すばまで、いろんなものを食べつくしていく様子が、実に幸せそうな文章でつづられていきます。
 そしてその文章に添えられるのは、『孤独のグルメ』でご存知の方も多いであろう谷口ジロー氏の挿絵……というよりも、漫画。店の雰囲気や料理の様子、そして何より料理に対峙して黙々と食べる姿が、独特の世界観になっていきます。

 グルメエッセイにありがちな薀蓄はひかえめ。食べる側のこだわりよりも、地元の伝統や料理人に敬意を払うような、しかし食べる喜びを存分に感じるこの文章の雰囲気は、著者である平松さんと、食の旅の同行者でおあるK田青年の飾らない会話が生み出しているのかもしれません。
 そして、だからこそエッセイで触れられた食べ物の数々、店の数々を、その場に出かけて食べたくなります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?