元想細片/150313

●つきぬけの突風(風)

 とある街で年に数回あるといわれる、東から西へと吹きぬける強い風。この突風は不思議な事に、路地裏のいりくんだ狭い道や、あるいは高い塀のすぐ側といった普通の風の流れであれば遮られるであろう場所にいるときでも西へと吹く風を感じるのだという。
 さらに不思議な事に、この突風が吹く範囲は非常に狭く、街のある区画では非常に強い風が吹いた時でも、少し南や北に離れた区画ではほとんど風を感じない場合もあるのだという。
 これらのことから、これは自然の風ではなく何者かが凄まじい速さで東から西へ移動しており、その余波として風が吹いているのではないのかと考える者もいるのだが、その原因となる何かを見たものもおらず、理由は謎のままとなっている。

※この「 #元想細片 」は、架空の品物を扱った百科事典風の読み物です。
 詳しい説明はこちらのページをご覧ください。

次回の更新は「て」で始まる花です。

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