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アカウンティング(企業会計)の基本⑩:「ROE」の理解は、こんなに簡単だった

前回は、「指標分析の中身」として、成長性、収益性、効率性、安全性について書きました。今回は、「指標分析の中身」の続きで、総合力について書いていきたいと思います。

指標分析の5つの観点(前回のおさらい)

指標分析では、以下の5つの観点でみていきます。

  • 成長性

  • 収益性

  • 効率性

  • 安全性

  • 総合力

以下、「総合力」についてみていきたいと思います。

総合力

総合力を表す代表的な具体指標はROE(Return On Equity)ROA(Return On Asset)です。自分は、会社のおカネに関して学ぼうと思ったとき、はじめて出会った言葉が「ROE」と「ROA」でした。ただその時は、「こういうのがあるんだなー」と暗記するくらいしかできず、正直、あまりよくわかりませんでした。ここでは、自分が試行錯誤して「納得できた理解」を中心に、ご紹介します。

ROE(自己資本利益率)
ROEは、投資家(株主など)から預かったお金(自己資本)に対して、どれだけ利益を出すことができるか?を表します。 そのため、投資家や経営者にとって、ROEはとても大切です。
ROEの計算式は、下記のようになります。

ROEの計算式

上の計算式をみてわかるように、ROEは「収益性」「効率性」「安全性」に分解できます(これを「デュポン分解」というそうです。分解については、自分のよく使う例を、後ほど記載します)。そのため、最終的な企業の「総合力」は、ROEとして表されます。

また、日本企業(日本市場)のROEの目安は、約8%程度だそうです。
これは「伊藤レポート」という報告書に記載があり、日本の投資家に何%くらいのリターンがほしいですか?と聞いた結果、約8%だったそうです。

一方、米国企業(米国市場)のROEの目安は、約10%だそうです。
一見、日本と比べると高いと感じますが、米国はリスクフリーレートが約2%(日本は、リスクフリーレートが約0%)であるため、ベースラインのリターンが、そもそも高いそうです。そのため、「ベースラインからの差分」で考えると、日本と米国のROE目安は共に約8%であり、同等となります。
このあたりの話は、後に「ファイナンス」について書く際に、触れていきます。今の段階では「へぇー」くらいに思っていただければと思います。

ROA(総資産利益率)
ROAは、手持ちのリソース(資産)に対して、どれだけ成果(利益)を出すことができるか?を表します。

ROEは、投資家など「社外の関係者」にとって大切な指標でした。
一方、ROAは「社内の関係者」にとって大切な指標です。ROAは、社内の「部門長評価」などに使われることが多いそうです。

ROAの計算式は、下記のようになります。

ROAの計算式

○○には、営業利益、経常利益、当期純利益など、「測りたい成果」が入ります。

ROEに紐付いた「総合力」の分析例

最後に「ROEの分解」について、自分のよく使う例を記載します。

ROEの分解

上のようにROEを分解することで「現場レベルのアクション」まで、数値を紐づけることができます。これができると、ROE(をはじめとした指標)を「ただの数値の話」で終わらせることなく、「手触り感のある企業活動」を表現するツールとして、使うことができます

今回は、ここまでにします。
次回、「指標分析」について、補足事項を書いていきたいと思います。

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