アカウンティング(企業会計)の基本⑧:「経営指標の全体像」を、さくっと理解する

前回は、「キャッシュフロー計算書」についての補足事項を書きました。
今回から「指標分析」について、書いていきたいと思います。
(今回の内容は、指標分析の中身に入る前の「前置き」となります)

指標分析とは?

細かいことはこの後に書きますが、まず、指標分析のイメージとしては、下記のように捉えていただければと思います。

指標
企業の財務状況を客観的に捉える健康診断の数値
分析
その数値を比較/分解したりして、意思決定に繋がるような示唆を導き出すこと

以下、「指標分析」の位置づけを、より俯瞰的に捉えてみたいと思います。

経営分析と指標分析

企業の収益を生み出す力や支払能力などを評価することで、企業の実態を明らかにすることを「経営分析」といいます。企業の実態は、財務諸表などに数値という形で表されています。

外部環境(市場環境、顧客動向、競合の状況、規制や新技術の動向など)と内部環境(組織、戦略、経営ビジョン、経営者の資質など)がそれらの数値にどのように影響しているかについて、仮説を立てながら検証していくことが「経営分析」です。「経営分析」は、企業の経営者だけでなく、ステークホルダーがさまざまな意思決定をする際に、重要な材料となります。

経営分析の目的は、「誰が分析するか」によって、下記のようになります。

経営者
企業活動の状況を明らかにし、その後の経営戦略を構築するために行います。
数字の計算が目的ではなく、計算された指標を分析し、その結果をうけて適切な戦略を立案し、実行することが目的です。

投資家・株主
投資の意思決定をするための材料とします。数値からその企業の活動状況、戦略等について仮説を立て、その仮説を検証します。併せて、キャッシュフロ ーを予測することで企業価値を評価し、投資判断を行います。

取引先・債権者
信用度を把握するための材料とします。数値からその企業の活動状況、戦略等について仮説を立て、その仮説を検証します。

財務諸表上の数値を加工して経営上の指標として捉え、経営分析を行うことを「指標分析」と言います。指標分析とは?を丁寧に説明すると、このように、若干くどい形となります・・・

指標分析の位置づけ

指標分析の方法

指標分析では、目的に応じて適切な対象と比較することが大切です。

何と比較するのか
[1] 時系列による比較

過去数年の指標を時系列にとって比較することにより、どういう傾向にあるのかがわかります。データが入手しやすいため、個人的には、この比較はやりやすい印象です。

[2] 平均値との比較
業界平均値と比較することにより、自社の優れている点、劣っている点がわかります。「比較対象として、どの平均値が適切か?」は、議論になることが多い印象です。

[3] 同業他社との比較
ライバルである同業他社と比較することにより、その会社の優れている点や劣っている点がわかります。「比較対象として、どの企業が適切か?」は、議論になることが多い印象です。

[4] 理想・目標との比較
短期/中期/長期的な視点から、それぞれ理想とする経営状況・目標を描きます。
そして、その目標と実績を比較し、ギャップがある場合はその原因を分析するとともに、新たな目標を設定します。「課題 = あるべき姿と現状とのギャップ」という、よく使う考え方です。

何が見たいのか
指標分析は、その目的によって、いくつかに分類することができます。
ここでは、大きく5つの観点にわけて、みていきます。(中身については、次回から書いていきます)

指標分析5つの観点

今回は、ここまでにします。
次回、「指標分析の中身」について、書いていきたいと思います。

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