さくらび

基本的にSSを投げてます。むしろそれしか投げない可能性はある。

さくらび

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最近の記事

SK....白桜かのんという女の話

SS 少しだけ貧困気味の両親のもとに生まれたわたし。でも両親は、愛情を持ってわたしを育ててくれた。 自分がボロボロになってまで育ててきた両親を見て、わたしはなんとなくだが、わがままを言う気がなくなった。 わたしがきっと、これがほしいと言えば両親は身を削ってまでやると思ったから。わたしとてそんな両親は見たくなかった。 だからその分、わたしは甘えるようになった。頭を撫でてほしいと、抱きしめてほしいと、よくせがんだ。 そのたびにママは、「かのんは甘えん坊ね」なんて言いながら、やっ

    • SK_SS:みなーみーのーしーまー

      「んんー・・・今日もいい日じゃの」 のんびりと体を伸ばしながら軒先で茶をすする。 太陽が結構強いが、日向ぼっこには最適なレベルの気温。 ゆったりと流れる時間は楽しいものだ――。 「お?」 ぴこん、と”すまほ”が鳴って画面を明るくする。内容は・・・ 「おめでとう、ございます?ふむ・・・わて、なにか応募したかの?」 むーと唸りながら、過去のことを思い出す。されど出てくることはない。 特に”きゃんぺーん”なるものに応募した記憶もない。 こういう時は・・・ 「旋花

      • SK_SS:サンルイス柳沢

        あの自己紹介の後、楽しげに笑う彼女は俺を見てから口を開いて― 「おもろ、どしたん?」 ……。あ、なるほど。こいつは根からの厨ニではないということか。 即座に理解した俺は、少しだけ後悔しながらも「まあいいか」の気持ちで咳払いを一つ。 「……ああ、いや。前にお世話になったから、お礼も込めてやろうと思ったんだけれど、何か申し訳ないことしたな」 そう俺が伝えると、また笑い出す彼女。どこに刺さったのかはよくわからないが、少なくとも悪いイメージは持たれなかったらしい。 ひとしきり

        • SN... かつて喪ったひとりの物語。

          ――世界は今、大変なことになっているらしい。 左手の薬指についている証をぼうっと見つめながら、外の喧騒を聞いている。 やれ世界の危機だ、やれこの世の終わりだ――そんな声すらも遠くに感じてしまう。 僕はかつて、願ったことがある。一度目は”彼女の笑顔”。 そして二度目も――彼女のこと。彼女と同じ世界に導けと、願った。 されどそれは叶わなかった。なぜかは僕が知るよしもないし、知っているのは女神だけ。 まあ、当たり前だろう。”死者”と同じ世界など、世の理を捻じ曲げるようなもの

        SK....白桜かのんという女の話

          SN...

          ぽこ、ぽこ―― 手を伸ばしてみる。そうするとそれは弾けて、水を揺らす。 それが楽しくて、たくさん伸ばしてみる。そうするとたくさん弾けていく。 そして思い出が溢れて、溢れて、楽しくて笑ってしまう。 それで―― 「ぅ?」 アラームに起こされる。まだ少しだけ日が昇ってなくて、寒い―そんな春の日。 ベッドから降りて、支度をして。ちょっとだけ分厚いコートを羽織って― 「行ってきます。新しい場所へ」 海に憧れ、海と共に生き、夢と共に旅立ったその人の前で呟いて、わたしは家を飛び出し

          望月のSSまとめ

          色々とまとめているものです。随時編集していくやつ。 卓前卓(テスト前)/過去/婚約if キャラシとか 初演の卓前SSとか あるお題をもらったので書いたやつ 「―――?」 部屋の整理をしていると、あるものが出てきた。 それは水色。そして肌に当たる面積は少なめで、特徴のある形をしていて――。 "5-3 かりん"と書いてある、なにか。 「・・・。こんなのあったんだっけ」 それを持ち上げ、ぼうっと見る。今からでもサイズとしては入りそうなそれを、どう処理しようかと考

          望月のSSまとめ

          SN/アルカ

          ボクにとっての世界。 それは、ただ「ボクだけが悪い」世界。 ―周りの人はよく心配してくれた。 「大丈夫?」「手伝ってあげるよ」「そんなこともあるよ」 嬉しかった。申し訳なかった。自分が嫌だった。 でも周りの人はボクに優しくしてくれた。 ―くれていた、はずだった。 ある時、ボクは聞いてしまった。 「俺らとは変わった子」「あの子は違う」「面白いよね、なんであんなに失敗するんだろう」 その言葉は、ボクに優しくしてくれていた周りの人たちからだった。 ―ああ、やっぱり。ボクはな

          SN/アルカ

          おつねび おつくろ - after the only event

          こんらび!まずは皆様お疲れさまでした! ということで、12/5に開催された「おつねび おつくろ」にサークルで参加しました。 弾丸みたいなレベルのイベント設立、そこからのサークル、合同誌・・・色々なことが書けるなって思いながら今noteに全部書き込もうとしています。 いろんな文章でかき乱す予定なので、まあなんというか、楽しかったんだなっていうことがわかれば嬉しいです。 さあ行こうか。 -イベントの設立のとき 10/4に告知を見たとき、「お前正気か?」って思ってしまったんです

          おつねび おつくろ - after the only event

          SN...

          息を吐く。自分の口から出た、白く染まった息は空に解けていく。 私の思い出も共に、解けていく。 ……すべて、あの日から。衛さんが初めてステラバトルをして、私に負荷をかけてしまったから。 あの日自体はよかったんだ。でも、翌日になってからは、 「エデルさん、ワタシが全部守ってあげますから」 …私も私だった。そう言ってくれる衛さんに、どこかで安心してしまっていたから。 最初は軽いこと。「バック、持ちますね」なんて言って持ってくれたりとかで。だから私も何も思わなかった。 そんな軽いこ

          SN...

          僕は本が好きだ。過去というものを残した本も、摩訶不思議な物語を書いた本も、未来を描くような本も、自己啓発をするような本も。 その全てが好きだ。物語というものが好きだから。 僕を囲う本棚達は、僕なりの小さな世界。緩やかに、穏やかに、僕の世界を作り、描いていく。 だからこそ僕はこうして、古本屋でバイトをしている。 ――それはとある昼下がりだった。オーナーが買取依頼があったと僕に話してきて、どうにもその場所に行ってほしいということらしい。 僕はすぐに承諾して、件の屋敷へと向かった

          SN...

          「……」 時計を見る。今は……何時だろう? いつから動いてないか分からないようなアナログ時計を視界から外し、パソコンの時計を見る。 「GT…13:15…まだお昼、かあ……ふわぁ」 そう思ったが、よく見ればそれはゲーム内時間だった。めんどくさ、なんて思いながらデスクトップ画面に戻り、時間を確認する。 「…AM6:16…朝ぁ……?」 わたしの部屋には陽が入ってこない。だから時間の感覚というものは最初からないし、あってほしくもない。 「今日は、何にしよーかなー…」 そんな事を言いな

          SN-008/009

          ――うーん、これはどうしようかなあ・・・。 今私は、とても困惑している。・・・というよりかは、ある意味助けてほしいと思っている。 なぜか?それは、いたたまれなさそうな感じの子と共に道を歩いているから。 それは少し前のお話で―― 「~♪あっこれ安い・・・!今日は野菜多めのラーメンとかにでもしようかなー」 ひとりごちながら、スーパーを回る。カゴには既に色んなものが詰まっており、だいたい三日分ぐらいの量を買い込んでいた。 時計技師をやってる以上、あまり外に出る機会が少ない。なの

          SN-007 Road...Four Two Three

          Road For...To Me. これは昔、そう―もう10年以上も前の話。ある本を拾った俺は、"兄さん"に読んでくれとせびったのだ。 その本の題名は、「新約聖書」。 ・・・のはずだったが、表紙は真っ黒だし、内容に至っては全然違うものだった。 あの本の内容を幾つかかいつまんで書くのなら、 「我はある結社の一員である。どうにもこの世界は書き残さねば、アイデンティティを維持できないらしい」だとか、 「世界を希望で満ち溢れさせるために、我らはこのジャスティスを貫いている」だとか

          SN-007 Road...Four Two Three

          SN-...「僕の罪」

          ―それは福音だった。 幼い時、迷っていた僕を送り届けてくれた二人がいた。 子供のときに見たあのヒーロー番組は、嘘じゃないんだって、知った。 ――だからこそ僕は望んだ。 あの二人のような、あのヒーロー番組のような―世界を、人を救うヒーローになりたいと。 あの人たちの言動を真似してみたりした。でも幼いときの僕には理解ができなくて、諦めた。 だから次は手の届く所からヒーローごっこをしてみた。何時しか彼らのようにと憧れながら。 ―でも、それが良くなかった。 他の階層へ来てからしば

          SN-...「僕の罪」

          卓後の雑感 #21フォステ0504

          はい。らびです。まずはお疲れさまでした! オルトリヴートという世界観をやってみて思ったりしたことを書き連ねようと思います。 意外となんとかなるんだな、って感じでしたしね。 1.エネミーのおはなし エネミーはアランくん。これは、「感情を持ってしまった機械」と「物だと思ってた機械に恋する人」というテーマでキャラを練ってたら出来たやつですね。 オルトリヴートの世界観を知ってからは割と行けそうだな……と思ってました。 なので「量産型」というプロジェクトを独自に作り上げ、人とはまた

          卓後の雑感 #21フォステ0504

          SN-005 "出会いの物語" 恋に落ちたその瞬間。

          ――あの出会いはいつだっただろうか。 雛月という家は結構な名家らしい。でも正直わたしはそんなことを思っていない。少し、本当にちょっと毛が生えた程度にお金がある家という認識でしかなかった。 例えば、わたしが「これほしい!」と言っても、ダメってよく言われたし―贅沢と思えるようなことはほとんどなかった。 両親いわく、「普通の価値観」というものを身に着けてほしかったらしい。そのおかげで普通の価値観というものは身についた。―ただ、周りはどうしても”お金持ち”という目線をやめることはなか

          SN-005 "出会いの物語" 恋に落ちたその瞬間。