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武士と戦国/江戸

 本日6月4日は武士の日として登録されているそうです。
 私はノクターンノベルスでくノ一凌辱ものの小説(Link)を連載しているわけですが、あんまり時代劇の常識を知らないので舞台設定の際に悩みました。
 そんな話を少し書いてみます。

江戸時代の「田舎の領主」

 書き進めてから、江戸時代の土地支配ってどうなってんの、なんてことを調べました。まとまった情報が見つからなくて難しかったですが、戦国時代と江戸時代ではちょっと雰囲気が違うようです。
 江戸時代は幕府の支配体制がしっかりしています。土地支配は大きく言えば幕府の直轄地と大名の所領(知行)とがあります。天領・旗本領・寺社領などは幕府の直轄ですね。

 作品は田舎の領主がおとなりの領主と婿入り政略結婚のいざこざになるわけですが、ここで言う「領主」って何者なんでしょうか。結局、作中ではほとんど説明なしで誤魔化したのですが。
 結論的には「田舎の小藩で大名から知行地を与えられた重臣」という設定にしています。大名だと規模が大きすぎるし、旗本だと幕府直属で身分的に面倒な感じなので。

 時代劇では、お代官様が女性の帯を解いて「あ~れ~」ってやるシーンがありますね。……ありますよね?
 あの代官という役職は、大名から任命された役人のようです。年貢の徴収と治安維持が仕事だったので、農民から年貢を絞り取る嫌われ者だったんですね。しかし身分的には低くて、各地に派遣されて仕事をしているだけなので、土地に密着した権力者ではないようです。

 さて、土地に密着した武家が大名から知行地を与えられているとして、その「土地」は、石高として表されるように基本的には農地です。城下町などの藩の中心地では商人も活躍していますが、武士と商人は直接的な支配関係ではなかったようです。実際にはいろいろ関係があったと思いますし、換金作物での年貢の支払いや商人への税金などもあったようで、いろいろ複雑ですけれど……。
 ともあれ、悪い領主がその辺で娘を見つけてきて手籠めにしてしまう、という陳腐なエロ展開の場合、農家の娘は非常に手を出しやすいだけれども、商人の娘はちょっとハードルが高いところを強引にやってる印象になる気がしました。そんなわけで、物語のプロローグでは名もなき商人の娘に餌食になってもらいました。

好きな時代小説

 小説家になろうの投稿ページで作品の時代設定として選択できるキーワードを見ると、「戦国」や「幕末」はあるんですが「江戸」はありませんでした。暴れん坊将軍みたいなのはあまり多くないんでしょう。しかし、読者としては戦国も江戸中期もそんなにイメージ変わらないと思うので、戦国を選択してみました。

 自分の創作活動のヒントになるかもしれないということで、私がこれまで読んだ時代小説の中から、印象に残っている作品を2つ振り返ってみます。

 1つめは、和田竜『のぼうの城』です。これは本当に素晴らしいと思いました。主人公が珍しいタイプのヒーローになっていて非常に魅力的ですし、官能作家の目線としては、甲斐姫のNTRエンドみたいな面があるのでそれがとても印象的でした。権力などでどうにもならない感じで「奪われる」という展開は「寝取られる」とはまた別の魅力がありますね。

 もう1つは、古い作品ですが五味康祐『先意流「浦波」』。文庫本としては徳間文庫の『剣法奥儀』や『娘秘剣』に収録されている作品です。手元に本が無くて詳しいことを書きにくいのですが、女流の剣術家(本作では薙刀ですが)の強さと弱さは、非常に魅力的だと感じました。

 私は今後、時代小説を書きたいと思っているわけではありませんが、たとえファンタジー作品を書くとしても、しがらみの多い世界観のもとで発揮されるキャラクターの魅力というのをうまく取り入れたいところです。

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