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「貼る毛利氏」自句独語 03

「貼る毛利氏」自句独語 02 の続き
ひき続き、テキスト 148、149ページです。よろしくお願いします。

9句目
20世紀末の日本も、大概オカルティックでした。
高等魔術の教理と祭儀』『ヴェールを脱いだカバラ』など19世紀後半に書かれた魔術書たち(?)が、紀伊國屋書店にズラリと並んでいました。
クリスチャン・ローゼンクロイツが僕等のアイドル(さすがにウソです)。
サティ:薔薇十字団の最初の思想  は、どことなく映画「スターウォー
」の音楽を連想させます。
そこで、まず「帝国」としました。
パトリック・コーエン盤の演奏は、神秘的というより、淋し気で私的。
そこで「ひっそり」を選択しました。
「ひっそり帝国」。何か社会詠というかNHKスペシャルにも似た趣きが。
すると脳裏に、テレビドラマで聴いた「ぼくたちの失敗」が流れてきました。
十五音。

「犬のためのぶよぶよとした本当の前奏曲」や「あらゆる意味で、でっちあげられた数章」など、いわゆる「おもしろタイトル・シリーズ」(サティ・ファンに怒られろ俺)は避けました。これも、句が難しくになりそうな予感があったからです。 

10句目
七・七・五の十九音。
ジュ・トゥ・ヴー 、ピカデリー  は、まだまだ現役のCM曲ですが、サティ:びっくり箱 前奏曲、こちらも、全盛期の天地真理 曲 ばりに能天気
度が過ぎて一寸引かれてしまうくらいにテンション急上昇。
「歓楽街」の語は、たぶんピカデリーのほうにも引っ張られていますか。
しかしですね、何度も聴くと、取って付けたようなわざとらしさ、チープさも感じられて、少し物悲しい。そう「トイピアノ」のように。(いや上手くないから)
「佐知恵」~!!

11句目
グノシエンヌ 第1番 は、曲中、どうしても  おまえが こころに つげえる と聴こえる箇所があることが、唯一、救いと言えば救いです。
サティが書いたことを前提に聴くと、狭いアパルトマンの情景が浮かびます。(無論、行ったことはありません。)
グノーシス主義は異端ですから、謂わば除け者。
そのあたりから「逆光」を充てました。
「覚えているよ」なんて言いながら、きっと今も、安いアパルトマンに住んでいるのでしょう。

12句目
サティ:ジムノペディ 第1番  は、サティといえば、という曲ですが、ただのオサレ曲ではないようです。
ギュムノパイディアは古代ギリシャの祭とのこと。
このあたりも神秘主義思想の影を感じたり。
作句に当たっては、親しい人を見送った後のようなイメージで書きました。
ここの「サクランボの木」は5句目の「桃のはな」に対応しています。


さあ「貼る毛利氏」自句独語 04 は あるのか。
パトラッシュ、僕はもう疲れたよ


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