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「貼る毛利氏」自句独語 04

『川柳EXPO 2024』 amazon 句集:3位、おめでとうございます。
P148,149「貼る毛利氏」自句独語 03 の続きです。 

13句目
ラヴェル:水の戯れ  より
「水円」などという言葉は日常使われませんので、採用するかどうか、かなり悩みました。いわゆる波紋をイメージしたものです。
結局、伝わってくれ、えいや!と強行しました。
次に、「羽衣」は、水の戯れ から天の羽衣伝説を連想しました。
帰れなくなって、アメンボに変化してしまった、というリチャード説です。
「反射」は、曲中の音数だったりリフレインから水の乱反射をイメージしました。また、15句目への繋ぎの役割も有ります。
「手酌」は、曲に漂う東洋的な雰囲気や、「水円」「羽衣」「反射」と、ここまで漢字を多用してきたことなどから、獨酌還獨嘗といった漢詩の世界を想定しました。 
ある程度の飛躍を出すと同時に、酒の(さんずい)で水との関わりを残しています。

Alexandre Tharaud

14句目
スティーヴン・オズボーンの弾く ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ  を聴いて 、この連作の最初の句を書き始めました。
てっきり亡くなった王女様に捧げられた曲だと思って、句を書いてしまいました。だって、あの曲調ですから。
「モミジ」は、ディエゴ・ベラスケの描いた  王女マルガリータの肖像   などの影響もあって、幼児-モミジのような手、との連想です。
モミジだと在原業平の  からくれなゐにくくるとは  にも繋げられますし。
「餡」はもみじ饅頭からですが、内臓全般の見立て、言い換えでもあります。
十八音。

Steven Osborne

なお、この自句独語に提示していることは、切っ掛けや断片の詰め合わせではありますが、秘話秘儀の類ではありません。深淵でもなければ真実でもありません。これもまた口から出まかせ創造物なのであります。

15句目
ラヴェル:悲しい鳥たち  は、タイトルから美空ひばり:悲しい酒  を絡めるか、曲調から  仮面ライダークウガみ を強調するか、と考えていました。
そのときです、エマニュエル・ヨナーソン:かっこうワルツ  が右耳に流れ込んできたのは。(ホントか?)
かっこうも鳥です。これだ!と「郭公が」を上五にしました。
さて次は、郭公を何とかしてに繋げます。
悲しい鳥たち、悲しい鳥たち、そうだ!「樹海」に迷い込んだことにしましょう。海だから(さんずい)がありますし。
うん、そうだそうだ。
そうしたら今度は、ラヴェルを句のなかに練り込みます。
鳥たち、と複数ですから、選べたり、比べたり、並べたり、も出来たでしょう。で「ならべる」を採用しました。
十八音。

16句目
ラヴェル:オンディーヌ より。
参考文献として『夜のガスパール』アロイジウス・ベルトラン/及川茂 訳   を読んでいて、断り方が冷たいのではないか、と憤慨しました。
水の精霊にプロポーズされて二つ返事でOKすることはないとしても、どこか嘘をついているような。
でも、そういう私だって今も、もっともらしいことを書いているわけです。
善人の振りをして、水に映った自分の姿に吠えている。
もう1回、アルゲリッチさんと話してきます。

Martha Argerich



をりゃあ、あと4句ぅ!

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