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【新しい観光のかたち】レスポンシブルツーリズムとは?意味やメリット、具体的な事例を解説

レスポンシブルツーリズムとは?

観光業界の新たな考え方として提唱されている『レスポンシブルツーリズム』をご存知でしょうか?現代の観光地や観光客が持つさまざまな問題や課題を解決し、より良い観光地をつくるための動きを指します。

しかし、まだまだ日本で浸透している言葉ではないので「詳しい内容はよくわからない」という人は多いでしょう。そこで今回は、レスポンシブルツーリズムの意味やメリット、具体的な事例などを解説します。

レスポンシブルツーリズムの意味は?

レスポンシブルツーリズムの意味は、「責任ある観光」です。

具体的に解説すると、“観光に関わる全ての人”がその地域の環境・文化などに与える影響に責任を持ち、より良い観光地づくりを目指そうということです。“観光に関わる全ての人”には、観光地の人々だけでなく観光客も含まれています。

今までの観光業界は、
◯観光客側は、観光する地域・文化に与える影響や責任を深く考えない
◯観光地側は、「誰でも来てください」という姿勢
などが一般的でした。

しかしレスポンシブルツーリズムでは、
◯観光客側は、訪れる地域・文化に対して悪影響を与えないように責任を持って観光する
◯観光地側は、「ルール・マナーが守れる人だけ来てください」という姿勢
などの考えを意識することが重要になります。

レスポンシブルツーリズムが注目される理由は?

なぜレスポンシブルツーリズムが注目されているのでしょうか?ここからは、その理由を2つご紹介します。

①観光地に悪影響を与える観光客が多いから

観光地に訪れる観光客が多くなると、さまざまな悪影響が生じます。例えば、
◯地域住民への迷惑行為
◯ゴミのポイ捨てや騒音問題
◯マナー違反による環境破壊
などが挙げられます。

観光地で自分勝手な行動をする人や、マナー・ルールを守らない観光客は多いです。そのせいで地域住民が迷惑をかけられたり、観光地の環境破壊に繋がったりします。

このような事態を防ぐために、観光客側にレスポンシブルツーリズムの考え方を持つように求めているのです。

②新型コロナウイルスの影響

2020年に流行り始めた新型コロナウイルスの影響で、観光地を訪れる人の数や経済状況が大きく変わりましたよね。そこで、観光地側は感染リスクを抑えながら経済を回すために、観光客側に「責任ある観光」を求めるようになりました。

観光地側は今までの「誰でも来てください」の姿勢から、「自分の行動に責任を持ち、マナー・ルールが守れる人だけを迎え入れる」というスタンスに変えて、より良い観光地づくりを目指しています。

レスポンシブルツーリズムのメリットは?

レスポンシブルツーリズムがもたらすメリットは、何があるのでしょうか?ここでは、観光地・観光客それぞれのメリットを解説します。

観光地側のメリット

観光地側のメリットは、
◯安定した経済効果を期待できる
◯地域の環境・文化への悪影響を減らせる
◯観光客へ質の高い観光体験を提供できる
などがあります。

観光客の人数を絞り、「責任ある観光」を意識してもらうことで、地域への悪影響を減らせます。その他に、観光客一人ひとりと深く接することができるため、質の高い観光体験を提供できたり、リピーターにつなげられたりなどの良い効果が期待できるでしょう。

観光客側のメリット

観光客側のメリットは、
◯観光地の魅力をじっくりと味わえる
◯満足度の高い観光体験ができる
などがあります。

観光客がマナーやルールを守って「責任ある観光」を心がけることで、美しい観光地の魅力をじっくりと味わえるでしょう。そして、人数が絞られて人混みが軽減するおかげで観光地をゆっくり回れるので、満足度の高い観光体験ができると考えられます。

レスポンシブルツーリズムの具体的な事例は?

レスポンシブルツーリズムの具体的な事例を日本・海外から1つずつご紹介します。

日本(白川郷)の事例

岐阜県にある有名な観光地『白川郷』をご存知でしょうか?

白川郷は例年多くの観光客が訪れ、イベントが開催される時期には1日に8000人以上が来ることもありました。訪れる観光客が増えたことで、道路が渋滞したり住民とトラブルになったりなどの問題が起こりました。

そこで白川郷は、2019年から完全予約制のシャトルバスを導入し、観光客の人数を制限しました。来場者は減少しましたが、落ち着いて食事をしたりお土産屋に立ち寄ったりする観光客が多数いたため、経済効果は以前と変わらなかったようです。

海外(ハワイ)の事例

ハワイといえば、世界的に人気の観光地の一つですよね。しかし、人気が高い場所ほど迷惑行為や環境破壊につながる行動をする観光客はたくさんいるでしょう。

そこでハワイでは、観光局の公式ウェブサイトからレスポンシブルツーリズムの実践の呼びかけを行いました。具体的には、
◯成分が強い日焼け止めの使用禁止(サンゴ礁やウミガメを守るため)
◯野生動物にはエサを与えず、そっと見守る
などがあります。

こうした取り組みを行い、ハワイの自然の美しさや動物の保護の重要性を伝えています。

まとめ

ここまでレスポンシブルツーリズムの意味やメリット、具体的な事例などを解説いたしました。

観光の新たな考え方として提唱されているレスポンシブルツーリズムは、観光地側と観光客側の両方にとって良い効果をもたらします。責任ある観光を意識することで観光地の魅力が保たれ、質の高い観光体験ができます。

今後どこかの観光地に行くときは、この考えを意識して観光を楽しみましょう。

それでは、ここまで読んでくださってありがとうございました。


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