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関わって下さる皆さんへ、お願いがあります。

高次脳機能障害の相談に行くと「色んなところに繋がって。」と言われるけれど、例えば医療、高次脳機能センター、役所などに繋がったとして、社会的行動障害の酷い人はどうしようもありませんでした。

本人と家族と関わるのは、支援していくのは難しいと感じられていても、正直に「社会的行動障害の酷い人は数値で表すこともできないので、関わるのも支援するのも難しいのです。」とはっきりと告げられることはありません。傾聴し、ケア会議も望めば開いてはもらえる。けれど、答えのある会議にはならなかったり、または、会議を開く連絡が遅く開けなかったりでした。そして、ああ、どこに行っても仕方がないのかと孤独になるばかりでした。
あの時まで。

「あなたは高次脳機能障害になったことで社会的行動障害、例えば、あなたのその言動がですね。少し以前と変わってしまった部分がありますよ。」そんな事を夫にストレート言ってくれる医師がいるわけでもなかった。
あの時まで。

最悪な状況になって、やっと夫の主治医から夫に、はっきりと言わないといけないと理解してもらえたのか、はっきりと伝えてもらえました。でも、たどり着くまでに10年以上の月日がかかりました。その間、夫の主治医からは「奥さんが悪者になればいい。」そう言われたりしました。夫の主治医は夫の味方になり、妻から夫に伝えるようにとされました。その結果、私は夫から憎まれてしまいました。夫の主治医がいわれた通り私は本当に「悪者」になってしまいました。

もっと早く、夫の主治医が夫の高次脳機能障害に対して対応を変えて下さっていたら、もっと早くに夫にはっきりと伝えてくださっていたらなと思わない日はありません。もし、もっと以前のあの診察の時に、夫と義妹がいたあの診察の時に夫の主治医が夫と義妹に向かってはっきりと伝えて下さっていたら、私は夫からこれほど憎まれなくても済んだのではないのかなと、そう思うと本当にやりきれません。

もう過去には戻ることもできないし、今更何を言ってもどうしようもない事なのですが・・・私は、これからもずっと夫から憎まれたままなんだろうなぁと思います。夫から憎まれたくてしたのではなくて、「私が兄に言うから。」と言った義妹は途中でいなくなって、私の代わりに夫に言い聞かせてくれる人がいなくて、仕方なく私が夫に言い続けただけなのに・・・。夫の主治医は夫から慕われて、義妹は私の悪口を夫に言うことで兄妹の絆を強め、私は夫から憎まれて・・・。どうして私だけが夫からこんなに憎まれないといけないのだろうかと毎日涙が出ない日はありません。

夫の主治医が今回のように家族に任せずに、はっきりと夫に「高次脳は治らないんだよ。損傷した部分は元には戻らないんだよ。運転に関しては、高齢者と同じと思わないといけないよ。自分が若くないと自覚して運転しないといけないよ。高速道路は運転しない、夜は運転を控えて、狭い道も控えて。疲れ易いから長時間の運転は避けて、そして睡眠も十分に取って。」そうはっきりと夫と義妹が診察室にいたあの時に言って下さっていたら、夫も義妹も認識違いをすることはなかったのに。夫と義妹が弁護士を家に呼び調停を起こすこともなかったのにと思います。

夫に弁護士がついた時、夫の主治医は「家族が負ける事はない。」と家族に向かって言われました。でも、あの時どうして夫の主治医は今回のようにきちんとはっきりと夫に説明をしてくれなかったのだろうか。あの時どうして夫の主治医は私に向かって「この人もう治っている!」「この人、弁護士ともやりとりできるんだから高次脳じゃない!」とそんな風に言われたのか。夫の主治医がそう言った事で、夫は「妻は自分の主治医から怒られた。自分は治っている。」と認識し、「俺は治っている。お前がおかしい。」となりました。結果、私は夫から治っているのにいちいちうるさいやつだと思われて、自分を否定する人だ離れたいと思われるようになりました。

そして、夫は自分の障害に目を向けることが出来なくて、夫も、私も娘たちも、家族はみんなそれぞれに苦しみました。

私たち家族のように悲しい思いをする人がないように、高次脳機能障害の人に対する対応をたくさんの医師の方々に知っていただきたいです。対応を間違えられたことで、医療の理解不足のせいで、こんなに辛い目に遭わされてしまった家族がいるのですよ。と知ってもらい、高次脳機能障害の方への対応の改善をしてもらいたいです。

医療だけではありません。高次脳機能障害に関わってくださている機関の方々にも知っていただきたいです。もしも、もっと早く会議を開いて下さって、夫の主治医に「家族だけに夫の障害を伝えさせていたら大変なことにる可能性があります。家族にだけに任せるのではなく、医師から本人に伝えてもらわないと大変なことになる可能性が高いです。」そう伝えて下さって、主治医からはっきりと夫に自分の状態を伝えて下さっていたら・・・。金銭に関しても、浪費して借金を繰り返しお金が底を尽きる前に、医療から「今のお小遣いでは、少し多すぎると思いますよ。」ともっと早く関わっていただけていたら・・・。もっと早く夫に伝えてもらえていたら、夫は自分の障害と向き合えて、運転に関しても、金銭のことも、その他のことも解決していけたのではないかと思うのです。

そして、関わって下さる機関の方々から家族にも「家族が本人に伝えると被害的になるしかないので、家族以外が伝えていける環境を整えましょう。運転に関して心配な部分も改善できるか分かりませんが、運転を継続する以上安全に運転してもらえるように働きかけていきますね。金銭の管理も、お仕事も、環境を整えてあげれるように関わる機関みんなでそれぞれの役割を考えていきましょうね。」と支援する側から提案していただいて、家族にも話しをしてもらえていたらなと思いました。
もっと早い段階で。

こんなに最悪な状態になる、もっと早い段階で。

傾聴して、そうですよね。困りますよね。心配ですよね。危ないですよね。それだけで終わりにならないで欲しいかったです。私は困っている愚痴を聞いてもらいたかったのではありません。困り事を聞いていただいて、どうやってその困り事を解決していけるのかを一緒に考えてもらい、そして解決していける方向に環境を整えていってもらいたかったのです。運転に関して皆さん危険だと感じられていても、このままでは仕事復帰が難しいという時でも、どんな時も夫の主治医には全くと言っていいほど伝わっていなかったのですから。

家族がどれほど訴えていたとしても。

医療はもちろんですが、医療以外の関係する機関のいろんな方々にも、もっと夫の高次脳機能障害と向き合って、関わってもらいたかったです。過去には戻れないので、これからは関わっていってもらいたいです。私たち家族のように悲しい目にあう人がいなくなるように。

本人が被害的にならないように、本人が病識を持てるように。
家族が本人から憎まれたり、家族が孤独にならないように。

高次脳機能障害の当事者、家族が前に進んでいけますように
関係する機関の皆様、どうかよろしくお願いいたします。

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最後に

我が家に起こった出来事を書いていますが、忘れないでいただきたいのが、誰かを責めたいから書きたいということではありません。我が家に起こった出来事を書くことで医師や支援職の方々や、その他、高次脳機能障害の方々を支援してくださっている方々に、高次脳機能障害を理解してもらう一助になれば幸です。夫や家族を含め、登場する人物の方がなるべく特定されないように気をつけて書こうと思っています。ですので、読んでいただくみなさんも登場する人物の特定などなさらないでくださいね。どうかよろしくお願い申し上げます。

私の拙い文章で伝わるかどうか心配ですが、読んでくださった方がなにかしら感じていただき、我が家のように苦しむ家族が少しでも少なくなってくれたら幸です。

高次脳機能障害は目に見えない障害と言われています。知能が低下しておらず、高次脳のご専門でなければ分かりにくい障害です。脳を損傷した事でこんな風になるのかとご理解いただきたく存じます。特に、患者さんで脳を損傷された方がいらっしゃる医師の方には知っていただきたいです。
 
夫の高次脳機能障害による社会的行動障害を医療になかなか理解してもらえませんでした。(高次脳機能障害を専門とする医師はこちらか言わなくても理解して下さいました。)夫は、自分を優位に立たせるためなら私の悪口を陰で言い、自分は悪くない、悪いのは私だと言いふらすけれど、私の前ではそんなこと何一つ言っていないという顔をして私に頼ってきます。そんな夫の特性をご理解いただき対応して下さる日が来る事を望んでいます。脳に損傷を負うと妻を自分の都合の良いように利用して、自分を守る為に嘘をつく人がいる事を知ってください。でもそれは本人が悪いわけでもなく、脳を損傷したからです。
 
だからどうかこの障害に関わってくださる医療機関、行政、支援職の方々、士業の方々にこの障害の大変さをご理解いただきお力をお貸しいただきたく存じます。決して、話せるから高次脳機能障害はないとかそんな風に思わないでください。

日々悩み苦しむ私たち家族を、支えてくださってありがとうございます。感謝しています。高次脳機能障害の当事者の夫と夫を支える私たち家族が少しでも前に進んでいけるようにこれからもよろしくお願いします。高次脳機能障害の事を一人でも多くの方に知っていただきたいです。よろしくお願いいたします。

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