見出し画像

友達(麦茶を2.55ℓ買う方の)

前、友達が麦茶を買っていた。
それを見て俺は爆笑した。
爆笑は大勢で笑う事らしいけど
その時の俺は
大勢の笑いに匹敵するくらい笑っていた。

俺たちは3人で
俺の家でご飯パーティをする事になった。
パーティ用の飲み物が無かったので
友達(ヒロさん)に
「飲み物を買ってから家に来て」と言ったら、
ヒロさんは2Lの大きなボトルの麦茶を
1本買ってきた。
「ありがとう」と言い、
(ご飯代の代わり的な部分もある)

もう1人の友達(貫)が来たのを
見計らってご飯パーティが始まった。



ご飯パーティも終わり、2Lの麦茶も飲み干し、
俺たちは腹ごなしも兼ねて、
散歩に行く事にした。

喋りながら歩いていると
ポツンと自販機があり、
そこに入っていた
ホットのおしるこを見つけて
俺と貫は少しテンションが上がった。

「なんか、おしるこ良いじゃん」

そんなに寒くは無かったが
何となくおしるこがあるなら
飲もうという気持ちになり、
俺と貫はホットおしるこのボタンを押した。

その後、ヒロさんも自販機に近付き
アイスミルクティーの
350ml缶のボタンを押した。


俺は少し気になったが、
そんなに話題にする事でもないかと思い、
何となく「冷たいの飲むんだ」的な事を
言いつつ、散歩とお喋りを再開した。 


近くの普段行かない駅辺りで
気が付けば1時間近く歩いてる事に気付き、
俺の家に戻る事にした。

戻る道中、
コンビニで各々が買いたい物を買う事にした。

その時は家で暖房効かせて、
アイス食おうぜ的な話で盛り上がっていた。

俺と貫は床に置くタイプの
大きな冷凍庫の中にある売り物のアイスを
眺めながら、どれが良いか、
新発売のアイス美味しかったのような話を
しながら、各々が今暖房の効いた部屋で
食べたいアイスを選んだ。


良い感じに見繕ったアイスを持って
レジに並ぶと
そこには先に商品を選んだ
ヒロさんが並んでいた。




ヒロさんの手を見ると
先程のご飯パーティの時、
ヒロさんが買ってきてくれた
麦茶の小さい版、550mlの麦茶だけが
握られていた。




俺はかなり驚いた。




マジか?




そのまま当たり前のように列は進み、
ヒロさんは550mlの麦茶だけ買い、
俺はホットスナックを見つめながら
悩んだ挙句辞めて、アイスだけを買った。


その時おれは
めちゃくちゃ面白いと感じていた。

貫が
俺が笑っているのを不思議そうにしていたので
説明したが、その時はうまく行かず
「遊びの途中で麦茶2L飲んだ後に550mlの麦茶をまた買うのはイカれてる」という
中途半端なイジりをしていると
思われてしまった。



今考えると
俺はヒロさんが
完全に今の今を認識しているのが
面白かったんだと思う。

俺は無意識の内に
アイスを食べた過去やレッテル、
遊びの途中ならアイスみたいな
楽しいものを食べたほうがいいという
常識に囚われていた。
また、夕食後であるのにも関わらず
ホットスナックを買おうかとも
俺は悩んでいた。



でもヒロさんは
完全に今の今を認識しているから
既に2Lも飲んだ同じ麦茶を買うことが
出来たのだと思う。



確かに考えてみれば
俺の家にはお茶は無いし
今ここで買っておくのは
全く間違いじゃないんだけど
そんな冷静になって
判断出来るか?という驚きと

冷静に自分の今欲しいモノ(今、瞬間の欲)を
認識出来るから
麦茶をみんなで2L飲んだ後に

(しかもその2Lの麦茶も
そいつが買ってきた物!!!!!!)


自分用に550mlの同じ麦茶を
買えたんだと思う。

(別の種類のお茶を買う訳でもなく!!!)


これは俺にとっては
めちゃくちゃ面白くて
ヒロさんという友達を紹介するのに
ピッタリのエピソードだと思った。
(あと、遊びが終盤に差し掛かってるのも考えて自分の飲み物しか買ってないのも面白い)
(あと、おしるこも飲んでなかった)

ヒロさんはその後、転職に成功し、
俺らの家から遠く
職場に近い場所に引っ越した。

こんなに自分の人生を生きている人。

こいつはすごい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?