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1人暮らし事件簿②助けて

何を守るか
自分の身体か
財布か
換気扇か?
いや、私ひとりじゃ何も守れないわ
どうしよ

あ!
持ってる!
携帯持ってるわ!

この瞬間まで
全く頭に無かったけど
お尻のポケットに携帯入れてたの
忘れてた!

とは言え
今この人達の前で
携帯出して電話しようもんなら
邪魔されるか
取り押さえられるか
110番するなんて言ったら
それこそ口封じされかねない

一か八か
バレない様に
後ろ手に携帯触った
ボタン押した
リダイヤル→通話

マスク無しが煽って来る
“他の住民みんな契約してるよ”
“点検無料でやってあげてるのに”
“契約しなかったら困るのあなただよ”

最後に通話したの誰だっけ?
ガス屋さん?
違うな
友達だっけ?
会社だっけ?
とにかく誰かに繋がってて
お願い!

私はとても腹が立って来て
マスク無しと言い合いになっていた
女1人に男4人掛かりで
弱い立場につけ込んで
やり方汚いでしょ
“脅しでしょそれ”
そう言った瞬間
私の腕を掴もうとして来たので
男を押しのけて
玄関まで走った
玄関から階段降りて
1階の駐車場の裏まで全速力で

携帯見た
通話繋がってる

助けて!
こわい!
早く来て!

30秒くらい後だったと思う
表の駐車場の方で
タイヤが鳴く音とドアが閉まる音がした
声が聞こえる
ドスの利いた声が響いてる

来た!
彼氏が来た


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