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スカーレットブルーの夜空

紫の煙が頭蓋骨を駆け抜けていく
それはときとして短絡的な結論に過ぎないのかもしれないと
羽の折れた白い馬が言った
オイルサーディンの入っていた缶に
煙草を捨てる
そのときすべてを感じた気がした
つまり

マグカップにインスタントコーヒーをたっぷりと入れて
この世の終わりを憂いながら湯を注ぐ
多少ダマのできたコーヒーは生活の味がした
それでもいい
あれはもう20年前のことだった
つまり

黒い旗を振りながらジャンヌ・ダルクに似た少女が
俺に言った
”ひょっとしてまた自分に期待しているの?”
その言葉は割れたフラスコのように
なんの役にも立たない
俺はそれを知っている
つまり

誰かの為を思うなら死ぬしかないと
老子か誰かが言っていた気がする
あるいはそんなこと誰も言っていない
どちらでもいい
夜明けの空はスカーレットブルー
この空の下で
きっと泣いている人もいるんだろう
つまり

平和の為には戦争は必要なんだと
最終兵器のボタンを前に偉い人が言った
無邪気なくらいに愛すべきその人は
後ろに立つ軍人にピストルを向けられていることに気づかない
やるしかないんだ
そう言って
ボタンに手を伸ばした
そのとき

夜になれば幸せになれる
それは答えの無い遠近法
誰にも邪魔させやしない
さよならの声が届かない
それでも人は生きていく

スカーレットブルーの夜空に
最後の抱擁を

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