地区選抜についてなぜ書くか?

2回目の投稿です。

これから地区選抜について書いていくのに先立ち、今回は「なぜ書くのか?」をテーマに書いていきます。

ごく少数の選手だけの体験に留めておくのはもったいない

昨年、関東地区オープン部門のコーチとして初めて地区選抜に関わるなかで、選考から対抗戦本番の約1ヶ月間で選手が大きく成長する姿を目の当たりにしました。

それは「将来の日本代表を育成」という地区選抜の趣旨に照らさずとも喜ばしいことですが、それと同時に、選抜された18名だけの体験とするのはもったいないとも感じました。

もちろん実際のところ、地区選抜は選ばれた選手に閉じた機会ではありません。

選考会だけでもきっと気付きや学びがあるなかで、そこに参加した多くの選手が得たものをチーム内外で伝承したり、体現したりしていくことで、周囲に影響を与えているものと思います。

また、全試合ではありませんが、対抗戦にはライブ配信があり、YouTubeであとから見返すこともできます。

ただ、それらに頼りっきりにならずに、監督としてもっと主体的にできることがあるのではないか?どのような考えのもと、どのような活動をしてきたかを残すことには意味があるはず!と考えました。

そのなかで発信にあたっては、参加できなかった人や、これから競技を始める将来世代にも広く届け得るという点で、書くという手段を選んだ次第です。

選考会だけでは伝え切れない

地区選抜は成長に繋がる経験と書きましたが、年に一度です。

U24やA代表の国際大会と比べれば高頻度ではあるものの、またすぐ次があるとは言い難い限られた貴重な機会であり、そこに参加できるか否かが決まる選考会は言うまでもなく極めて重要です。

選考結果に直結するものとして、期待する選手像や、選考を行う上でのメニューは選考会の場で説明しますが、全員が同じ認識を持てるほどに伝え切るには限界があると感じています。

そもそも私が上手く説明できない可能性もありますし、できたとしても理解して実践するスピードは当然一人一人異なるはずです。人数が多く時間も限られるなかでは、一人一人の理解度に応じて丁寧に双方向のコミュニケーションを行うことも望めません。

その限界を踏まえ、もちろん選考会のなかで伝えることを諦めるものではありませんが、選手像や選考メニューはここで事前に発信していくつもりです。

監督が何を考えているか?選考会で何をやるか?を事前にわかっていることで、選手は事前に準備ができますし、仮に選考で不合格になったとしても、納得感を持ちやすく、またどこが足りなかったかを考えやすくなるものと思います。

そして選手像や選考メニューはメッセージ性の強いものです。決して普遍的なものではありませんが、「将来の日本代表育成」という目的に対し、2023年の関東地区選抜オープン部門が何を大事にして選手を選ぼうとして、どのような選考メニューをどのような意図で行なったかを書き残すことにも意味があると捉えています。

待ちの姿勢ではいられない

最後は「待ちの姿勢ではいられない」という危機感です。

昨年の関東地区選抜オープン部門の選考には100名を超える多くの方々からの応募がありましたが、その背景には昨年特有の個別事情もあったと捉えています。

一つには埼玉県熊谷市とアクセスの良い関東地区内での開催であったこと、そしてそれ以上に大きな要素としては、U24の登竜門としての位置付けです。

コロナ禍の渦中で暫く国際大会の中止や延期、日本代表の派遣見送りが続き、代表経験を持つ選手が極めて少なかったなか、翌2023年に開催予定だったU24世界選手権に向けて、従来にも増して地区選抜が重要な意味を帯びたのは想像に難くありません。

実際に昨年の関東地区選抜オープン部門では、「U24に向けて選考会に慣れておきたい」という応募理由が少なからず聞かれました。

昨年は待っているだけで応募があったということですが、今年は違います。

開催地は熊本県水俣市と掛かる時間や費用は昨年からは段違いに増えますし、直後に世代別の国際大会があるわけでもありません。

更には、直近でU24の世界選手権で強豪国との戦いを経験した選手が多くいるなかで、「今更地区選抜は結構」と参加を見送る選手がいても全く不思議ではありません。


もちろん高い競技レベルを志向する上で、地区選抜が絶対に通らなければならないステップというわけではなく、あくまで数ある機会のなかの一つに過ぎません。ただ、そこに関わる身としては少しでも多くの方に参加いただきたいと願っています。

集まる選手が多様になるほど気付きや学びを得られるチャンスが増えるでしょうし、多くの選手が18名という限られた枠を争う激しい競争環境は自身の強みや選手像を考え直すきっかけにもなるはずです。

そしてそこに世界を知る選手が存在することにより、選考会やその後の活動のレベルが上がるという点も見逃せません。

昨年の関東地区選抜オープン部門を例にとれば、川合選手は選考会の段階からマンツーマンDFで強みを発揮していましたが、OFには辿々しさが残る面がありました。しかし、のちにU24代表でOFセットのハンドラーを務めることになる隥選手をはじめ、高いスキルを持つ上級生の選手と同じセットでプレーするなかで、2回の練習と対抗戦本番という限られた期間のなかでもOFの安定感やスムーズさに大きな伸長が見られました。

長々と書いてしまいましたが、量・質ともに充実した環境であることが、地区選抜を一人一人が成長でき、「将来の日本代表を育成」という目的に適う場とする上で重要ということです。

そして、自身を成長させられる機会は他にも様々あるなかで多くの方の参加を願うからには、地区選抜について発信していかなければと思い至ったというのが3つ目の理由です。


地区選抜について書く理由を書いてきましたが、ここまでは言わば前置きで、次回から具体的なテーマに入っていこうと思います。日があまり空かないよう気をつけます!

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