My favorite100#1ハクメイとミコチ
はじめまして、こんにちは。なぁこと申します。
「はじめに」のエントリーにも書いたのですが、2021年はなにかを継続していくということをひとつ、今年のテーマとして掲げたので、ただただすきなものを100個紹介していく連載をします。
順位をつけているわけではないので、記念すべき一回目はなににしようかと悩んだのですが、新刊も出たばかりなのと(1/15発売)やはり書店員ですので、すきなコミックにします。
#1 ハクメイとミコチ/樫木祐人
(エンターブレイン/ハルタコミックス)
https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_EB06000006010000_68/
嗜好は多種多様なので、個人的には「全人類読んでください」というような言い方を用いることはあまりしないのですが、この作品に関してはついそうやって大きく出てしまいたくなってしまうことを禁じえません。
9センチのこびと、ハクメイさんとミコチさんの日々の暮らしを中心に、ふたりをとりまくさまざまなできごとやヒト(もちろんこびとさん)、動物や昆虫たちの世界が描かれています。アニメもあるよ!
お仕事や衣食住(とくに食と酒!)をとおして「生活」「暮らし」が
ていねいに綴られていく様は、いつもわたしの五感を揺さぶり、ああこんなふうに暮らしてみたい…!という憧憬が胸に浮かびあがります。その憧憬は、自然の中で自給自足的な生活をしたいというよりも、朝が来て一日がはじまり、暮れて夜がやってくる、その一日のなかで、いまの自分は「豊かさ」というものをどれだけ発見できているのだろうと考えるところから派生しているように思います。
利便性とスピードを重視する現代で、瞬間的に選択して消費し、できるだけ近道を探しつづける必要に迫られているうちに、いつか世界からこぼれおちていってしまうのではないかと不安すら感じる毎日のなかで、たとえばごはんがおいしいとか、変わっていく空の色とか、だれかとの何気ない会話とか、ちょっとした遠回りやすこしめんどうなこともふくめて、実感として感じることのたいせつさをあらためて教えられる気がします。
森の景色や、店が立ち並ぶ市場や町、道具などの作画もとても素晴らしく、
そこに添えられる描写もすてきなんですよ!!彼女たちが使うものは彼女たちのサイズで描かれているので、読んでいるときにあまり意識することはないのですが、わたしたちの世界に存在していて、大きさを変えられないものが登場したときの描き方がまたたまらん。
ひとかけらの柘榴を裏から木づちで叩いて実をはがし、もちろん食べるときは一粒ずつ、その一粒がわれわれで言うところの焼き芋くらいの大きさをしているところや鳥やハクビシンに乗ることもできるところ、切り残された竹の根本を使いたいときに、切り倒すのがけっこう重労働なところ…また、たくさん買い物をしたときは、動物たちに背中に乗っけてもらって運搬していました。
物語の舞台である「マキナタ」という場所は、大きさに制限があるため、あまりに大きな動物は暮らすことができませんが、イタチやアナグマはいます。ハクメイとミコチをはじめ、9センチのヒトから見るとかなり大きな動物たちもみんな、仕事仲間として、ともだちとして、おなじ場所で生きているんですよね。できることできないことはそれぞれあります。けれどそれをしぜんに補いあい、当然のように連帯していくすがたは、やさしさと愛に満ちている世界で、やわらかな火を灯してくれるような気持ちになるのです。
ほんとうにこの作品に出会えてよかった。声を大にして言います。
全人類読んでください!!
ちなみに、わたしは竹で露天風呂と作る回(第24話)と夜汽車に乗る回(第26話)をとくにあいしております。どちらも4巻収録です。ステイホームのおともにぜひいかがでしょうか(商魂)
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