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ステマネ童貞、捨て身のステマネ奮闘記

初手からふざけ倒したタイトルで失礼します。日曜打楽器プレイヤーのマナセと申します。

先日、「PWE × ポケすい 夏の演奏発表会」にてステージマネージャーとしてお手伝いをさせていただきました。企画強度高く、コンセプト・演奏面ともに大変素晴らしい演奏会でしたね。

本記事は、上記演奏会のスタッフとしての経験を学びとして言語化し、(意外にも?)世の中に出ることが少ないバックステージでの知見を広くアマチュア音楽家たちに還元しようと試みるものです。

私自身はプロの興行屋ではなく、ステージマネージャーの経験も今回が初となります。拙い発信となることをご容赦いただきつつ、あくまで一つの事例として受け取っていただければ幸いです。自身の見解やベストプラクティスを押し付けるようなものではありませんので、そのつもりで読んでね。


ステマネ童貞、一歩踏みだす

私自身、演奏オフ会・ジャムセッションを企画したり、演奏会運営に携わったりと、こういう「イベントごと」は好きなタチです。ある時、主催のいつきさん(https://x.com/ltsuki_trp)からご縁をいただいて、ステージマネージャーとしてお手伝いさせていただくことになりました。

はじめのやりとり

ステマネ童貞、ちょっとビビる

主催曰く、コンセプトは「企画ものの演奏会では珍しい、少ない人数編成での練習、演奏して発表をすることで、個々の演奏面のレベルアップに繋がる企画を作りたい」「演奏面以外でも、関わっている人全員が今以上にスキルアップ出来たり、企画を通じて様々な繋がりをつくり、また次に繋がっていくような企画を作っていきたい」とのことでした。謳われる「関わっている人全員」に私のようなスタッフも含んでもらっている雰囲気がありがたかったですね。

詳細を伺った時、ステージマネージャーとして念頭におくべきポイントはやはり、2団体(Prequel Wind Ensemble, ポケすいわくわくアンサンブルチーム)の合同演奏会であることでした。ステークホルダーが多いため、ステージの上のことでも、それ以外でも、意思決定においては常に両団体の不利益にならないよう配慮する必要が出てきます。

例えば。かなり極端な例ですが、一方の団体が公演時間を大きくタイムオーバーしたとか、転換が予定以上に押してしまったとか、なんだかんだで終演時間が施設を借りてる時間超えそう、結果、後半の団体がプログラム変更を余儀なくされる、そんな事態が発生したとするとどうでしょう?キレますよね。この機会が次に繋がる、どころか、次なんて二度と無いレベルで軋轢を生むでしょう。考えうる最悪の事態の一つですし、万が一そんなことが起きたとしたら、それは間違いなくステージマネージャーの責任です。

考えただけで寒気がする

ざっくり言うと、未経験の素人が初手で引き受けるにはやや荷が重いか?と頭によぎったのも正直なところです。が、幸いなことにして、照明をバシバシ使った派手な演出は予定しておらず、ひな壇組み替えるレベルの転換も無い、というところで、ステージ作りの難易度は必ずしも高すぎるわけではないように見えました。また、運営体制の面でも、演奏オフ会や演奏会を幾度となく運営し、成功させてきた面々が連なっており、このメンツなら私の不足を補って余りある腕力もあるだろうな、とも考えました。最終的には、胸を借りる意識でお引き受けするに至りました。

個人的には、いつきさんとのDMにある通り、コンセプトに照らして一緒に頑張ろうぜ、と背中を押してもらえたことが大きかったと今でも思います。

DMで詳細をいただいた中でのやり取り。こう言っていただけるのはありがたいことです(本記事にこのDMの内容を公開することはご本人許可済み)

ステマネ童貞、先人から学ぶ

さて、引き受けたはいいものの、ステージマネージャーとは一体何に責任を持つのか、事前準備、ゲネプロ、本番と、どのように自分が動いていけば良いのか。解像度高く認識できてるわけではありませんでした。

今まで私はアマチュア音楽家たちの公演において、バックステージの照明操作支援やフロントスタッフとしての受付対応などは経験がありましたし、運営の立場で外部にステージマネージャーをお願いしたこともありましたが、自分がステージマネージャーをやったことは無かったのです。

どこから始めようかとぼんやり考えはじめたところで、一冊の本の存在を思い出しました。数年前に購入して、パラっと読みかけのまま「積読」していた同人誌です。その名も「捨て身のステマネ読本」(以下、ステマネ読本と呼びます)

ネタバラシ。本記事のタイトルは、こちらの本の筆者、尾﨑さんへリスペクトを込めてのパロディです。

スペシャルサンクス!

こんな記事を書いておいてなんですが、ぶっちゃけ私が語るのを読むより、こちらの本を読んでいただくほうが何百倍も勉強になります。それくらいまとまった素晴らしい本です。貴重な実体験に根ざしたリアルでコミカルで密度の高い一冊、ぜひお買い求めください。もちろん私には一円も入りませんのでご安心ください(?)。

私が一番気に入っている一節をご紹介してみます。

ステージマネージャーをやろうというあなたに対して、おそらく、だれも「努力」を求めません。求められるのは成功、つまり公演の無事の完了だけです。百歩譲って控えめに言うなれば、求められているのは「重大事故につながるような失敗をしないこと」でしょうか。期待に応えて結果を出す。これだけです。泣いても笑っても、苦労はビールの泡(打ち上げの最初の一杯の)より先に消えてしまいます。ステージマネージャーは「成果」をだしましょう。

捨て身のステマネ読本(尾﨑 和行)[はじめに]「ステージマネジメントは減点方式で評価されます」より

ステマネに仕事を依頼する団体運営の立場にある人からステージの裏側に興味ある人まで、誰が読んでも楽しめると思います。特に、私のように「ステマネ挑戦するぜ!やったことねぇけどな!ガハハ!(震え声)」みたいなノリでやってる強がりな迷える子羊には特におすすめします。

筆者の尾﨑さんとは以前から仲良くさせてもらっており、以前私が運営としてステージマネージャーをご依頼した際に快くお引き受けいただいた方でもあります。半年前くらいには、リアルで久々にお会いして日本酒を飲みながら「今度はじめてステマネやるんすよ」なんて話したのが懐かしいです。

また飲みたい

ということで。私がいまさら体系的な話をしても件のステマネ読本の劣化コピーにしかならないように感じていますので、本記事ではあえて体系的な整理は放棄し、私が感じたこと、学んだことにフォーカスしてお届けしちゃいます。

閑話休題。必要に迫られてステマネ読本を真剣に読み始めた私ですが、読み終わったあたりで今回のミッションを言語化することができました。まずもって、ステージマネージャーの責務とは?というところについて、ステマネ読本では以下のように定義しています。

ステージマネジメントの目的とは、公演当日の進行をスムーズに行い、公演をつつがなく終演させ、時間内に撤収完了まで至ることです。

捨て身のステマネ読本(尾﨑 和行)[第1部 第3章] 「ステージマネジメントの目的」より

時間の経過に沿って、起こるべきことを適切に起こし、起きてはいけないことは阻止する」ということが進行です。

捨て身のステマネ読本(尾﨑 和行)[第1部 第2章] 「進行とは何か」より

これらを大目的として、準備から当日に至るまでに私が決めたミッションは以下の二つとしました。

  • 奏者、指揮者、客席まで含めて、みなが演奏に集中できる環境を用意すること

    • 奏者にステージの心配事をかけたり、客席が違和感を感じるようなステージ進行をしてしまうステマネは三流、と肝に銘じました。シンプルに、演奏に集中してもらうためにやれるだけのことをやる、と決めました

  • 運営面では、数多の意思決定に追われる主催の負荷を一部低減し、一部権限委譲を受け、彼らの舞台に関するマインドシェアを下げること

    • 当たり前ですが、運営陣でステマネの機能をカバーできるのであればあえて外部にステージマネージャーを用意する必要はありません。アマチュア公演では日常的ですが、今回運営陣はもれなく兼・奏者であり、彼らの演奏面以外の負担を軽減することも重要な責務と考えました

ステマネ童貞、奮闘する

ステマネ読本という強力な武器を右手に、まがいなりに運営ごとをやってきた経験を左手に、あとは頑張るだけ、ということで、いろいろ動き始めました。今回の場合、私がやったことはざっくり以下のような感じです。

当日までの準備

  • 雰囲気の把握

    • 時期的にはステマネが動くような段階では無かった会議に、あえて参加させてもらいました。スタッフとして動く団体の運営陣がどのような文化でコミュニケーションしているのか掴ませてもらいました

    • ほか、早い段階でコミュニケーションツールにも招待いただき、団体内でどのようなコミュニケーションが行われているかキャッチアップさせてもらいました。団体の雰囲気を知っておくことは、考え方によってはステージマネージャーとして必須では無いのかもしれませんが、私個人としては大事なポイントと感じています

  • ステークホルダーの整理

    • 冒頭お話しした通り、2団体のジョイントコンサートのため、ステークホルダーが多いです。誰がどの役割で動いているか把握することから始めました

    • 録音・録画にあたっては外部業者様にも委託しているということもあり、ステマネ的にはこの辺も重要な情報です

  • 作っていく資料とその粒度

    • 今回の場合、縦に時刻と所要時間、横に役割を切って、舞台や人の動きを整理したタイムスケジュール(通称、タイスケ)と、各部での楽器、椅子、譜面台などを示す舞台配置図の二つが重要な資料となりました

    • 資料は種類豊富にむやみに作れば良いと言うものでもなく(資料は増えるほどに、相互の整合性を保つメンテナンス負荷が上がります)、今回はタイスケと配置図の二つをシンプルに使ってうまく進めることができました。

    • ステージマネージャーが作成することも多いこれらの資料ですが、今回は主催が作り、私や運営陣がレビューを行う形でブラッシュアップさせました

  • ステージ周りの不明点の洗い出しとその解消に向けた調査

    • 施設との事前の打ち合わせ、いわゆる「コヤウチ」で吸収すべきポイントの洗い出しですね。例えば、マイクの本数、搬入出動線、ピアノ調律周りの制約有無、ひな壇の組み方、電源引き込み箇所、譜面台や椅子のストック数、ベルの鳴らし方、照明操作主体(うちがやるのか職員さんがやってくれるのか)などなど。はい、書き切れません。この辺は論点が膨大にありますのでステマネ読本を読んでください(丸投げ)。

    • コヤウチには私も同行したかったのですが、スケジュール都合でどうしても叶わず、事前にポイントをまとめて主催にお伝えする形で切り抜けました

  • 想定される遅延リスクとリカバリプランの認識合わせ

    • 主にタイムマネジメントの話題ですね。会場の完全撤収マスト時間から逆算して、何分押しまで許容可能かを計算しつつ、「xx分まではステマネ判断で押し進行にしても大丈夫」を認識合わせしました。また、実際に時間が押した場合は休憩時間をバッファとして使う想定でしたが、休憩時間を削っても転換に支障が出ないか?はなんとなく頭の中で計算しておきました

ゲネプロ

  • 全体の進行確認

    • 運営面、演奏面ともにさまざまに検証を行った1日です

    • MC・曲演奏の時間を計測し、タイムスケジュールの妥当性を検証しました

  • 設備の確認

    • 今回の場合、本番と同様のホールでゲネプロを行うことができました(これが如何に貴重でありがたいことは、アマチュア演奏家にとって容易に想像できることかと思います

    • コヤウチを経て確認できていたポイントを実際に確かめつつ、施設の各種動線、人やモノの動きのイメージをつけていきました

  • 各種転換の作戦立て

    • 今回、アンコールステージで2団体合同のパートがありました。大人数が動くため、スムーズに転換し切れるよう作戦を建て始めました。というのも、今回はゲネプロを経て大きめの配置変更が発生したため、ゲネプロから当日で大きく変わるポイントが発生した認識を得るきっかけになりました

ステマネ童貞、ついに童貞を捧げる

さぁいよいよ本番、ということで、こちらが当日の動きです。総じて、想定していたリスクはいずれも顕在化せず、無事に終演を迎えることができました。

  • コミュニケーションチャネルの整備

    • 当日は進行に関する情報(特に、予定との差分・変更点)を奏者向けに共有する必要があります。今回は2団体が共通で集まるツールが無かったため、それぞれのツールにチャンネルを作って、原則として同じ内容(片方の団体に関係ない話題はあえて削る)を投稿することで情報を共有していきました

    • トランシーバのような機材も無かったため、フロアスタッフとの連携もこのチャンネルで行いました。

  • タイムマネジメント

    • まずは開演に至るまで。開場・開演に関する判断は重要だと考えていたので身構えていました。公共交通機関の事故や天候の都合など、様々な事情でお客様の入場が遅れている、あるいはこちらの都合で当日リハ終了が遅れ、転換が間に合わない場合などは、フロアと連携して開場時間・開演時間を変更する判断を迫られるからです。幸い、今回はオンスケで進行できました。

    • 開演後のタイムマネジメントもゲネプロ通りに粛々と。今回は不気味なほどオンスケで進行しました。もとのスケジュールの精度が高かったことと、奏者・スタッフの協力のもと各種転換がスムーズに進行したことが勝因かと思います

    • タイスケからの変更が奏者に伝わらない場合、奏者が変更後のスケジュールで動けず、遅延のリスクが高まりかねないため、時間に関する変更はこまめに連絡チャネルに投稿しておきました

  • 各種ベル、照明、影アナへのタイミングキューだし

    • これが個人的には結構大変でした。ベルは対向の上手にいる職員さんにハンドサインで、照明は受話器で別室の職員さんへ、影アナへは後ろにいる司会へ口頭で、と。やや忙しくなってしまい、後述のヒヤリハットを引き起こすことに。

  • 入場のケア

    • 入場順と楽器ごとの袖の位置を把握し、下手・上手に奏者を参集してもらいました

    • 個人的に、ベル、奏者入場、指揮者入場、舞台上チューニングあたりでグダつくと演奏以前に興醒めだなと思ったので、奏者が迷わないよう、段取りを丁寧めに再共有しました

  • 転換の段取りの再周知と監督

    • アンコールで大きめの変更が入ったり、機材配置の関係で転換で利用する扉が変更されるなど、ゲネプロから一番動きがあったところでしたが、こちらもスムーズにコトが運びました。勝因は先述の通り、奏者・スタッフの協力体制にあるかと思います

    • 実際はステマネ的な指示出しの動きを含め、設営隊長的な立場を運営メンバーが担ってくれたこともあり、私は最終チェックくらいの立ち位置で無事に完了することができました

元ステマネ童貞、所感を語る

全てを咀嚼し切れたかというと自信はありませんが、今回の所感はざっとこんなところでしょうか。

うまくいった点

  • なんといっても、ジョイントコンサートの形態でほぼ予定通りに終演を迎えたタイムマネジメントの成功

    • その勝因の一つとして、精度の高いタイムスケジュールと、バミリの段取りの成功があります。これは主催とサブステマネのんちゃんさん(https://x.com/knozomi1224)の動きが大健闘しています

    • そしてもちろん、転換を自分ごととしてとらえ、積極的に精度良く協力してくださった奏者・スタッフの皆さんのおかげでもあります。

  • 全てを決め切るのではなく、決まらない・決まりづらい事項をあえて余白として残し、やるべきことにフォーカスする姿勢

    • 例えば打楽器。自身が打楽器奏者のため解像度高く見えていますが、打楽器の配置などは特に流動的でして、実際の配置は彼らに移譲することで、ステマネとしては「横目で眺めつつ困っていそうなら助ける」くらいの距離感で接していました

    • 全てを事前に決め切ることができれば理想ですが、どうしても当日合わせで進行しなければいけないシーンも出てきます。外せない部分(特に施設の制約や外部ゲストなど、コントロールしづらい・し得ない領域に依存する部分)は慎重に、それ以外は人間系で不確実性を吸収しにかかる胆力と覚悟を持って臨むことが重要であろうと考えます

  • 奏者を安心させられた(であろう)こと

    • 舞台袖がバタついたりピリついたりしていると、奏者に無用な緊張を与えかねませんし、奏者のその緊張は演奏を通して客席に伝わるのではないかと想像します。最高のステージの始まりは舞台ではなく舞台袖かもしれない、そんな意識で楽しく気分よく、笑顔で舞台袖から皆さんを見送ったつもりです。みなさんいい顔してましたよ。

    • 終演後も奏者の皆さんから嬉しいコメントをいくつもいただけました。なんとかやり切れたのではないかと自己評価しています。

余談ですが、サブステマネののんちゃんさんのバミりの段取りは今回の学びの個人的なハイライトです。この動き無くしてあの進行はなかった

楽しげな投稿ですが、こういう地味な下準備、結構時間かかったし大変だったんじゃないかしら。ありがとうございます。

反省点

無事に終演を迎えたことはポジティブめに自己評価しつつ、やはり私がステージマネージャーとして改善すべき反省点も盛りだくさんです。

  • 次の手だけではなく、次の次の手を読む意識、俯瞰で演奏会を捉えること

    • 当日自分は「次に起こること・起こしてはいけないことは何か」を考えていましたが、今思うと、次の一手だけでは近視眼的だったと反省しています。具体的には、「このタイミングで、祝電をいただいた場合にはご披露する」という「起こること」ことに対し、祝電有無の最終確認プロセスを漏らしかけ、直前にメンバーに頼んで確認してもらう動きとなりました。本来的には、このプロセスは計画的に行うべきことですし、直前になって気づくようではいけません

  • ステージの上の出来事はステージの事情だけで決まらない

    • 先述の例の通り、フロアの事情でステージの進行が変わることはままあることです。ステージマネージャーの責務が舞台の上にあることは間違いありませんが、ステージの外の出来事も意識的に認識下に置くことは重要なことです

    • 今回で言うと、楽屋の鍵の運用に関してはもっとよくフロアマネージャーと連携しつつ、段取りを詰めるべきだったかなと反省しています。こちらについても当日の皆さんの動きでカバーできたため、大事故には至らずです

  • 進行への想像力と精度向上

    • 別件に気を取られた結果、目を離すべきでないタイミングで扉から離れて入退場を妨げかける、影アナのタイミング指示ミスなど、凡ミスも普通にありました。いずれも関係者の機転によりヒヤリハットの部類にとどまっております。ありがとうございました。

    • 指揮者の楽譜の配置、部の途中の打楽器奏者の入れなど、細かい点でケアし切れていない事項もいくつかあり、こちらも反省点です。いずれも当日の采配で吸収しましたが、事前に考慮できるはずだった論点の一つです

元ステマネ童貞、原体験に思いを馳せる

まぁ色々書きましたが、実際やってみてめっちゃ楽しかったですね。こういう能動的な黒子というか裏方業というか。私の性に合ってる気がするんですよ。

原体験がどこにあるのか考えてみましたが、自分の場合は真夏の吹奏楽コンクール、地元の大ホールの裏方やった時が原点のようです。

下手では演奏前の興奮と緊張を伴って静かに燃える奏者・指揮者、上手では演奏後に悲喜交々に高揚するバックステージ、蒸し暑い外気と冷房の効いた内気の交差点で、慌ただしく機材を出し入れするトラックヤードのあの匂い。本当に楽しかった思い出が蘇りました。

コンクールのあの日も、今回の演奏会も、暑い一日でしたね

終演直後のステージ、全てが終わり、安堵と寂寥感と高揚に包まれた皆さんの表情は忘れられません。打ち上げにも混ぜていただきましたが、あの光景を密かな酒の肴にして飲ませてもらったことをここに告白しておきます。

元ステマネ童貞、今後を語る

今回得難い機会を頂き、大いにステージマネージャーの営みを堪能させていただきました。今回あまり手を出していない資料の作成だったり、サブステマネにお任せしきったバミりの段取りだったりと、今後挑戦してみたい領域も盛りだくさんです。スタッフをお探しの方がいらっしゃいましたら、お気軽にお声がけください。アマチュア演奏文化の一助を担うつもり(とか言うと主語でかいですけど、ここはあえてのクソデカ主語)で頑張ります。

最後に蘊蓄を一つ。Stage Manager の2語目、manage の語源の一つは「なんとかする・なんとか都合をつける」です。然るに、ステージマネージャーの本質は、とにかく舞台をなんとかすることに尽きるのだと思います。なんとかなってよかった……。これからもなんとかします

画像引用元:https://x.com/ngnchiikawa/status/1418909314039918599

お礼

末筆ながら、ご来場いただいたお客様、本イベントに全力投球された奏者の皆様、共に演奏会に向き合ったスタッフの皆様、演奏会を実現し切った主催のいつきさん、ほか、この演奏会に関わった関係者全ての皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。そして何より、尊敬すべきステージマネージャーの先輩として、本を通して勇気をくれた尾﨑さんにも感謝しています。ありがとうございます。また日本酒飲みましょう(私信)。

それではみなさま、ステージの上でも外でも、またどこかで是非お会いしましょう。素晴らしい前日譚の終わりを感じつつ、筆を置かせていただきます。


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