羽田空港の新飛行経路
都知事選での争点?
2024年7月7日投開票の東京都知事選挙だが、とある候補が羽田空港の新飛行経路について触れていた。新飛行経路の下への落下物の不安があるという形のコメントだが、それについて熊谷千葉県知事はXにて以下のようにコメントしている。
実際、従来経路と呼ばれるものはほぼ全てといっていいほど千葉県上空を飛んでおり、一部は東京湾からそのまま太平洋上空へ抜けるルートとなっている。新飛行経路はこれらのうち一部を東京都・埼玉県上空を通過するルートへと変更されたものである。
では、この新飛行経路の分担率はどの程度なのかを実際に見てみたい。
羽田空港の離着陸回数
ある1日の離着陸回数をカウントしてみた。離陸と着陸が同数にならないのは、曜日により運行本数が変わることがあるためである。
さすが首都東京のメイン空港だけあって、1日の離着陸回数は1300回を数える。さすがに深夜3時台は1便も離着陸がないが、それ以外の時間は常時離着陸を繰り返している。離陸は7時台~11時台、着陸は13時台~21時台がピークともいえるが、深夜帯を除けばそこまで大きな差はなく離陸は7時から20時まで、着陸は8時から22時までまんべんなく離着陸があることがわかる。
新飛行経路の運用
新飛行経路は基本的に以下のような運用になっている。
北風運用時(年間の約6割)
運用時間帯:7時~11時30分、15時~19時のうち3時間
C滑走路からの離陸(約50%)
南風運用時(年間の約4割)
運用時間帯:15時~19時のうち3時間
A/C滑走路への着陸(全便)およびB滑走路からの離陸(約50%)
北風運用時は時間帯が長いが1時間当たりの通過便数は少なく、逆に南風運用時は時間帯は短いが大量の飛行機が上空を飛ぶといった状況である。
では、上記条件と離着陸便数からどの程度の便数が東京都上空を飛ぶのかを見てみたい。
橙色は全便が対象、黄色は半数が対象として計算すると、南風運用時で251.5便、北風運用時で202便が東京都上空を飛ぶことになる。割合にすると19.3%若しくは15.5%で、全体の比からすると決して多くないことがわかると思う。
また、南風運用時の離陸便は東京都上空を飛ばず、川崎市上空から東京湾に抜けるルートとなる。そこを差し引くと南風運用時も1日169便、13%程度となる。
まとめ
とある候補はこの知ってか知らずか都民へ訴えかけているが、全体の便数から考えればそこまで多数が出ているわけでもなく、東京都上空への影響は軽微ではないだろうか。
落下物の心配という面でいえば千葉県のほうがはるかにリスクが高い状態であり、私個人としてもその候補の言葉は受け入れできないような内容であると感じる。
もうすぐ投開票だが、その傾向も興味を持ってみていきたい。
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