JR運休時の払い戻し~過去の経験談(2005年3月)

2024年7月22日、東海道新幹線の豊橋~三河安城間で保線車の脱線が発生し、終日運休となった。この際、乗車券は当然のごとく払い戻しになるわけだが、私も同様の経験をしたことがある。その時の経験談を書いていこうと思う。

2005年3月20日朝6時過ぎ

当時私は愛知県に在住しており、休みを利用して大分の友人のところへ遊びに行く計画であった。当時は新大阪~博多間の山陽新幹線には700系を使用するひかりレールスターが1日28往復も走っており、現在さくら号として使用されているN700系と同様に指定席が2-2の4列であることから非常に快適だった。そのため、名古屋からこだま号に乗車して新大阪でひかりレールスターに乗り換えることにした。蛇足ではあるが、このひかりレールスターは2024年現在では1本を残すのみとなり、それも新大阪発着はなくなってしまった。さくら号への置き換えが進むのは仕方のないことではあるが寂しさも覚える。

地震発生

当時の時刻表が手元にないため、はっきりとはわからないが新大阪9:08発のひかりレールスターに乗車したと思われる。2024年3月時点では臨時さくら577号とほぼ同じ時間帯を走っている。
順調に西へ向かっていたひかりレールスターは次第に減速を始めて東広島駅構内の通過線で停車してしまった。
その時、アナウンスが入り大きな揺れを観測したとのことが判明する。

https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/gaikyo/kaisetsu/kaisetsu200504200745.pdf

気象庁の資料によると広島県は震度2とのことで、車内では揺れを感じることなくただ止まってしまったという感じである。そのまま東広島駅で数十分停止していたが、広島駅までは運転するとのことで広島駅までは行くことができた。

広島駅~小倉駅

広島駅まで来たはいいものの、結局そこで運転は打ち切り。どうしたもんかと悩んだが、まずはお好み焼きを食べて考えることにした。
そうこうしているうちに、博多方面にこだま号が運転されるということで乗り込むことにした。その結果が最悪で、小倉までの所要時間は約4時間。しかも短編成ですし詰め。乗るんじゃなかった…と後悔しながら小倉駅に着くと、小倉駅も人であふれている。
それは当然で、特急ソニックもまともに動いておらず当日中に大分に着けるかどうかも不明な状況であった。結局、ここで名古屋に引き返すことにした。

山陽路を戻っていく…

小倉からは幸い自由席の座席を確保することができ、新大阪で乗り換えつつ名古屋まで戻ってきた。
名古屋駅の窓口は当然大混雑で、ここで証明をもらいいったん帰宅することにした。

切符の払い戻し

最終的には懇意にしていた旅行会社での払い戻しとなったのであるが、払い戻されたのは以下の通りになる。
・名古屋市内~大分の往復乗車券
・名古屋→小倉の新幹線特急券(往復)
・小倉→大分の指定席特急券(往復)
手数料は0で、全額が払い戻されている。
お前は小倉まで行ったんだからその分は払い戻されないのでは?と思う方もいらっしゃるかと思うが、これは正式な権利でJRの旅客輸送規則にこれが掲載されている。
引用文はJR東日本のものだが、JR各社共通となっている。

https://www.jreast.co.jp/ryokaku/index.html

■第2編 旅客営業 -第7章 乗車変更等の取扱い -第3節 旅客の特殊取扱 -第5款 運行不能及び遅延
(列車の運行不能・遅延等の場合の取扱方)
第282条
旅客は、旅行開始後又は使用開始後に、次の各号の1に該当する事由が発生した場合には、事故発生前に購入した乗車券類について、当該各号の1に定めるいずれかの取扱いを選択のうえ請求することができる。ただし、定期乗車券及び普通回数乗車券を使用する旅客は、第284条に規定する無賃送還(定期乗車券による無賃送還を除く。)、第285条に規定する他経路乗車又は第288条に規定する有効期間の延長若しくは旅客運賃の払いもどしの取扱いに限って請求することができる。
(1)列車が運行不能となったとき
(2)列車が運行時刻より遅延し、そのため接続駅で接続予定の列車の出発時刻から1時間以上にわたって目的地に出発する列車に接続を欠いたとき(接続を欠くことが確実なときを含む。)又は着駅到着時刻に2時間以上遅延したとき(遅延することが確実なときを含む。)

(無賃送還の取扱方)
第284条
第282条第1項の規定により旅客が無賃送還の取扱いの請求をした場合は、次の各号に定めるところにより取り扱う。
(1)無賃送還は、その事実が発生した際使用していた乗車券の券片に表示された発駅(当該乗車券が発駅共通のものであるときは、発駅共通区間内の旅客の希望駅)までの区間(以下「無賃送還区間」という。)を最近の列車(急行列車を除く。)に乗車する場合に限り取り扱う。ただし、次により無賃送還区間を急行列車、特別車両又はコンパートメント個室車により乗車させることがある。
(以下略)

上記条文は全文を引用していないのでご注意いただきたいが、簡単に言えば災害や事故などの理由で目的地に到達できない場合、切符を払い戻す。その際途中までで旅行を打ち切る場合はそこまでの運賃だけを支払う。発駅に戻る場合は無料で戻ることができる。またその際に特急列車を使用していた場合は、特急列車で戻ることができるというルールである。
また、特急券に関しては2時間以上の遅延により払い戻される。
よって、ルール的には使用した切符すべてが払い戻されることになるのである。
また、払い戻しもその場ですぐに行う必要はなく、証明だけをもらって後日別の場所で払い戻すことも可能である。

災害や事故で旅行ができなくなった場合は…

この時の経験から、「無理に先に進むと大変」「人が動いていなく滞留するととんでもないことになる。」「払い戻しは焦らなくてもよい」といったことを学んだ。
払い戻しは後でもいいのでまずは混雑を避けて帰宅することや、ホテルで休息をとるなどそのような方策をとったほうがよいと考える。
先日の東海道新幹線の時もそうだが、まずは止まっている区間の近くは人が多すぎて大変なことになる。よってそもそも出発ができないのであれば駅に行かないことも重要かと思う。
最も気になるであろう払い戻しは期限はあるものの急がなくても問題ない。どうしても移動しなければならない場合は、基本的には大回りルートがよいと考える。例えば飛行機であれば大きな空港発ではなく小さい空港発を狙うなどである。


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