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16kmを11分、ANAがドローン配送に参入する興味深さ

本日の日経新聞の朝刊に「ANAドローン配送」という見出しの記事が掲載されていました。ドローンによって離島や山間部への日用品や医薬品の配送を見込んでいるそうです。来年である2022年にははドローンを飛ばす空域の規制緩和が見込まれているらしく、この規制緩和を見越しての事業化に乗り出すそうです。

ドローンでの配送技術に関しては私は以前から興味がありました。コロナ禍以前からメルカリなどCtoCの取引の増加によって、配送業の需要が高まっており、それを緩和する手段としてのドローン配送が注目されていたと思います。この件についてはECの最大手である楽天が積極的に取り組んでいた印象がありました。改めて調べてみたところ、今年の1月6日から22日の期間で三重県志摩市で離島である間崎島への配送サービスを実施していました。スーパーマーケットであるマックスバリュと連携し、日用品が4km離れた離島へ運ばれる様子が公開されています。配送料は500円です。連絡船だと片道ですら380円かかるので、単に買い物だけを考慮するのであれば、現実的な値段設定のように感じます。ドローン配送の実現は間近に迫っているのだと知りました。

ANAホールディングスが提供しようとしている配送は楽天の技術から一歩先を行くものとなりそうです。ドローンといえば4つのプロペラで飛ぶ姿を思い描きます。ANAが利用しているドローンはそれに加えて航空機のような翼がついており、エネルギー効率が非常に高いそうです。離着陸時は4基のプロペラを利用しますが、移動中は動力としては前方2基のプロペラのみを使うそうです。最悪の場合はプロペラが1基さえ動いていれば飛び続けられる設計となっているそうです。結果としてANAは今年の3月25日に長崎県の五島で片道16kmの配送を実現する実証実験を成功させています。飛行時間は往路が15分、復路が11分でした。こちらもまた十分に実用的なものになっていそうです。

ANAといえばコロナ禍で経営的に大きなダメージを負った企業の1つです。未だに回復の兆しが見えないようで苦しくなっていますが、新たな収入源として配達への参入は期待するところでしょう。地方でドローンの配送が一般的になった場合、文字通りに雲の上の存在であったANAをより身近に感じることになります。ブランドイメージが若干変わるのではないかと興味深く感じています。(都区内在住の私としてはあまり恩恵を受けないでしょうが。)

離島の利便性が向上するのも興味深い点です。ここ1年間で都市から地方へ人口の流出が続いています。テレワークが推進されたりそもそも失業したなどの理由で都心から離れた場所へ移住している人が多いようです。この選択肢に離島が増えるかもしれないと妄想すると、地方創生という点に於いて日本の構図が更に変わりそうで興味深いです。

ドローンでの配送、ANAの配送業への参入、社会の構図が大きく変わろうとしているのを実感する話題の1つとして注目しています。


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