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AWSの大阪リージョン追加で日本のWebサービスの進化が加速する

AWSが大阪リージョンを開設すると発表しました。これによって、日本のWeb環境は大幅に強化されます。

馴染みがないと何のことだかと言う感じですね。頑張って専門用語を省いて書いていこうと思います。

AWSとは何かをざっくり

AWSというのはAmazonが提供するクラウドコンピューティングです。平たく言えば「すごいサーバ群」と、すごいサーバ群を利用するための「超便利なサービス」です。

システム開発の現場はAWSが提供するすごいサーバ群を利用することでサーバの複雑な管理から開放されます。そして超便利なサービスを利用してシステムを構築することで、ビジネスに本当に必要な部分の作成に注力できます。

総合すると、AWSを適切に使えばビジネスに寄り添ったシステム開発とサービスの提供が可能になります。

AWSは世界で最も使われているクラウドコンピューティングサービスであり、多くの大企業がAWSを利用したWebサービスを構築しています。

普段、私達はどのサーバでサービスが動いているかは意識することはないと思います。しかしスマホを開いてインターネットにつないだとき、「実はAWSで動いていた」というサービスは多いと思います。

大阪リージョンの追加で災害に強くなる

そのAWSが「大阪リージョン」なるものを開設しました。リージョンというのは平たく言えばデータセンターであり、サーバの基地です。日本では今まで「東京リージョン」と呼ばれる1箇所のみが提供されていました。

国内リージョンの追加による最も大きなポイントは、障害や災害に強くなることです。

『クラウドコンピューティング』といえば何かしら雲の上にでもありそうなイメージを抱いてしまいます。しかし実態はどこかの土地にコンピュータが敷き詰められえいる施設です。

東京で例えば大災害が起きたとします。運悪く東京リージョンのサーバがすべて壊れてしまうかもしれません。このとき大阪リージョンを東京リージョンと併用していれば、東京リージョンが止まってしまっても大阪リージョンでサービスを提供し続けられます

絶対に落ちては行けないシステムを国内だけで構築できる

こちらのQiitaの記事に書かれていた推測はとても納得感のあるものでした。

制限付きの大阪ローカルリージョンは2018年に開設されておりましたが、2020年秋より本格化する官公庁システムのクラウド移行需要を取り込むための準備が整ったという感じなのかなと推測しています。

官公庁システムが実際に度のサービスをAWSで構築するのかは知る由もありません。私も推測に推測を重ねて書いていきます。

我々の生活を支えるようなWebシステムをAWSで構築したとしましょう。そこで、東京で大災害が起きたとします。もし、このWebシステムが東京リージョンだけで構築されていたら、最悪の場合Webシステムが停止してしまいます。それが万が一、保険証などのシステムだったとします。その時は被災していない地域でも治療を適切に受けられない可能性があります。

東京リージョンだけで構築するのが危険なのであれば、他国のリージョンを利用すればいいと思うかもしれません。・・絶対に思わないでください。なぜなら他の国にあるサーバは日本国内の法律等で守りきれないからです。

近場で香港や韓国のソウルにもリージョンがあります。近いからと言ってそれらのリージョンにシステムを構築したとします。すると万が一、香港やソウルのAWSの施設が乗っ取られたりすれば、物理的にシステムを覗かれる可能性があります。(AWSはそのような自体でも安全に停止できるようにしてくれてると信じたいのですが・・。)

残念なことに、今の憲法下ではその事態となっても自衛隊は物理的にも電子的にも派遣できないでしょう。

大阪リージョンと東京リージョンを双方に利用できるような仕組みをとっていれば、災害にも強くなり、かつ広義的には国内のルールに則った範囲での運用が可能になります。官公庁のクラウド移行需要という予測がここに結びついてきます。

大阪リージョンを適切に利用できるのかは別の話

これで日本のAWSを利用したWebシステムはより強固になるように思っていただけたら幸いです。ただし、それには条件があります。それは各システムでちゃんと設定しなければならないからです。

今後は勝手に大阪リージョンが使われるようになるわけではありません。各システムが東京リージョンを選択していたように、「東京リージョンと大阪リージョンを使い分ける」という設定を行わなければなりません。

リージョンを使い分けるという設定は、現場の感覚で正直に言ってしまって手間です。特に今までのレンタルサーバの延長でAWSを利用しているサービスは、よほど小さなシステムでない限り難しいと思います。

具体的な数字は示しませんが、それ相当の開発コストがかかります。さらには利用料もかってきます。そこに投資をする価値があるかどうかもまた考えなければなりません。

実は私達の生活においても重要な話題でした

官公庁に限らずとも、民間で利用されるだけでも十分に価値があります。早速ですが、ソニー銀行は大阪リージョンの開設を機に、勘定系システムをAWSに移行するそうでう。

 ネット銀行のソニー銀行は1月20日、勘定系を含むほぼ全てのシステムをAmazon Web Services(AWS)に移行する方針を発表した。2013年から、社内システムや周辺系システムをAWSに段階的に移行してきたが、より広範囲にわたるシステムをAWSに置き換えることで、運用に要するコストや時間をカットし、業務を効率化する狙い。

官公庁という言葉に引っ張られてましたが、銀行など金融系システムも海外のサーバを利用しにくいシステムですね。昨今はキャッシュレス決済が急速に普及しています。銀行の概念が徐々に崩壊しつつあります。とりわけ金融系はここでクラウド化を進めるか否かで運命を大きく分けるかもしれません。

専門的で無視をしがちなニュースでしたが、実は私達の生活に直接関わってくる話題だというのが伝われば幸いです。

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