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人工知能がコーヒーを迅速に提供した先の未来を考える

人工知能(AI)が身近になって久しくなりました。身近になりすぎて我々の生活のどこで使われているかというのを挙げるのも面倒になります。

人工知能が使われている例で思いつくところで言えば広告でしょうか。SNSを開いているとかなり的確な広告に付きまとわれてしまいます。的確すぎてSNSの投稿内容よりもそれ自体を楽しんでしまうことすらあります。

提供時刻を予測するAIコーヒー自販機

人工知能によるお勧めは広告にとどまらず、飲食の分野に進出してきています。このようなニュースを目にしました。

 New Innovations(東京都文京区、中尾渓人社長)は三菱地所と共同で、無人カフェロボット「ルートシー」の実証実験を東京・丸の内の新東京ビルで始めた。
 同ロボットは人工知能(AI)で需要予測を行い、待ち時間を短縮して一人ひとりに合った好みのコーヒーを提供する。

公式サイトはこちらです。

アプリで購入すると、指定した時間にちょうどよくコーヒーを淹れてくれるそうです。一見すると普通に自動販売機で買うのと何ら変わりなそうな気はします。ところが、既存の自動販売機では絶対に実現できない強みがあります。それは「味」です。ルートシーは高品質のコーヒー豆を挽きたての状態でドリップで抽出します。

コーヒーは豆から挽きたてで淹れるかどうかで味が大きく変わります。コーヒー豆は挽いた直後から香りが飛び始めるからです。挽きたての状態で淹れるというのは美味しいコーヒーを提供する際の基本です。

コーヒー豆もこだわっているようです。商品は「すっきりフルーティ」「プレミアムスイート」の2種類だそうですが、前者はエチオピア産の品種のブレンドで、後者はランクG1のシングルオリジンだそうです。

抽出方法はドリップだそうです。ドリップの抽出という点では、ファミレスのドリンクバーでも似たようなものが提供されています。ドリップコーヒーは自分で淹れると3〜4分はかかります。ファミレスのドリンクバーとどの様に違うのかは気になるところです。

コーヒーを淹れる際に最も重要な「コーヒー豆の質」と「挽きたて」の2つを抑えて300円はお手頃な価格だと思います。

人工知能が提供時間を短縮

この自動販売機のどこに人工知能の入り込む余地があるのでしょうか。それは「提供の予測」だそうです。どのタイミングでどちらの注文が入るかを予測して作り始める故に、短時間で提供が可能ということです。

こだわりの一杯を駅で迅速に購入できるというのは確かに価値がありそうです。どれだけ美味しいコーヒーの自動販売機があったとしても、そこに列が出来てしまえばユーザ体験としては負の方向に働いてしまいます。

提供する商品はコーヒーですが、人工知能の利用方法としては意外な使われ方という所感です。

心理テストで注文するPostCoffee

コーヒーと人工知能といえば、PostCoffeeがあります。定額で毎月焙煎されたシングルオリジンのコーヒー豆が届くサービスです。

PostCoffeeは注文の仕方がとても独特です。普通であれば購入者は豆を選びます。しかし、PostCoffeeの登録時は購入者が豆を選ばず、簡単な心理テストを答えるだけです。

心理テストの結果から3種類のおすすめのコーヒーが届きます。これが意外と的確で驚きます。私は利用をはじめてまだ2ヶ月ですが、2回とも好みのコーヒーが届きました。PostCoffeeのお陰で自宅でのコーヒータイムの満足度は格段に上がっています。

人工知能が食に介入する未来

人工知能が食の分野に介入してくると、私達の生活は大きく変化しそうです。

まず、PostCoffeeの様に自分で商品そのものを選ばなくなります。私達はたいてい1日3回は食事をとります。その際に毎度何を食べようかと考えています。それが楽しみな時もありますが、何を食べようか迷って時間が過ぎてしまうこともあります。人工知能が私達の好みを把握すると、この悩んでいる時間が短縮されます。健康状態の情報も絡めると、好みと健康を抑えた食事を提供してもらえるかもしれません。

そして、ルートシーの様に、時刻を予測して提供がされるようになります。何を食べようかと考える隙もなく、帰宅と同時に夕食が届くような未来が見えます。自宅に届かずとも、例えば駅の近くの店舗で受け取って帰る生活も悪くないかもしれません。

飲食の楽しみ方は千差万別です。選ぶ楽しみも、作る楽しみもあります。最適化されすぎた状態が絶対的に良いとは思いません。しかし、一方で生きるためだけに食事をしている時があるのも確かです。「何を食べようか」が先読みされて食事が最適化された時、私達は累計で多くの時間を得られるはずです。

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