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特別定額給付金のオンライン申請は失敗だったのか

皆さんは10万円もとい特別定額給付金は入金されましたか。私は早々に振り込まれて無事に頂戴しました。私が住む東京都板橋区は5月7日から申し込みが開始しました。私は早々にスマホで申し込みを済ませたところ、5月22日に振り込みが完了していました。未だに申込書すら届いていないという声もある中で、板橋区は比較的に滞りなく処理が進められたと思います。

特別定額給付金の処理に関しては各地でいくつかのトラブルに見舞われています。その中で気になるのが、オンライン申請が逆に職員の手を煩わしているという話題です。

特別に取材などは行っていないので想像の部分もありますが、何が問題だったのかを考えてみたいと思います。

オンライン申請も途中からアナログだった

オンライン申請を行えばそれ以降もデジタルに処理が進められると思っていました。しかし実際は全くそうではなかったようです。

住民によって入力された情報を役所で書類として紙で出力し、それを元に手作業でデータ入力処理が行われてたようです。データ入力といえばパソコンに打ち込むのを想像しますが、おそらくこれも自治体によっては紙への記入になっているのではないかと憶測します。

最初に郵送よりデジタルの方が時間がかかるという話題を読んだときは、その声に疑問を持ちました。デジタルに慣れていないのは、今までアナログに慣れすぎていたせいではないかと思ったのです。つまりその職員の適応力の低さが原因であると。

私のこの疑問はどうやら誤っていたようです。実際はワークフローの煩雑さが問題だったようです。

1本線で行うべきだった

ワークフローにおいて、最も簡単な構造は「1本線」です。1種類の入力があり、1種類の出力があり、その過程は分岐することのない1本線の構造です。何の条件もなく「3+5」と問われたら「8」と出てくる、これが1本線です。入力と出力、分岐の種類は少なければ少ないほど単純化できます。

レジで例えてみます。最も簡単なのは、お客様から現金を預かり、商品を渡すという肯定です。入力は「注文」「現金」の2つで、出力は「お釣りを渡す」「商品を渡す」の2つです。分岐はお釣りの有無程度でしょう。これは子供のままごとでも成立する非常に簡単なワークフローです。

この例において、例えば決済方法に「クレジットカード」と「QRコード決済」を増やします。そして商品は「郵送する」「温めて渡す」というパターンを増やします。するとレジの担当者の入力は「注文」「決済方法(現金・クレジットカード・QRコード決済)」の4種類になり、出力も同様に増えます。店員は覚えることが一気に増えました。入力と出力が増える分だけ、それらを結ぶのワークフローの線は複雑化します。ちなみにコンビニのレジではそれ以上に多様なことが求められています。それらを覚えて粛々と捌いているレジ店員には敬服します。

特別定額給付金の事務処理をいかに行っているかは分かりません。工程によって分業しているところもあれば、職員が1人毎に全行程をまるごと担当しているかもしれません。

工程によって分業できればまだマシです。職員が覚えたり気をつけたりする内容は少なくなるので、退屈ではあるでしょうが単純作業に落とし込めます。また、時間がかかる工程だけ人数を増やせば、作業全体の高速化を見込めます。

世帯ごとの全工程を丸ごと担当していた場合は結構悲惨だと思います。オンラインと郵送の2つの入力方法によってやり方を変えていかなければなりません。各入力毎にある程度まとめて処理するにせよ、混乱が生じるのは不思議ではありません。アナログで慣れている職員が「郵送のほうが楽」と嘆くのも納得ができます。

給付にマイナンバーを使ったのは失敗?

効率化の点においては、今回はマイナンバーカードを利用すべきではなかったかもしれません。郵送で一斉に申込書を送り、統一されたフォーマットの入力用紙を元に振り込みをしていくのが職員には優しかったかと思います。

ただし、今回はある程度のスピードも求められていました。マイナンバーカードを持っていた人に限りますが、今すぐに10万円が必要だった方には1日でも早く届けなければなりません。その点においてはオンライで申し込みを受け付けたのは間違っていなかったと思います。

ちなみにオンライン申込みから振り込みまで全て無人で完結する仕組みは作ろうと思えば作れたはずです。ただし、申込み開始は2〜3ヶ月は後ろになっていたと想像します。混乱はしたにせよ、オンライン申込みを実現しつつ、最短での給付を実現するのであれば、今回のシステムは悪くなかったと評価しています。

スーパーシティ実現のためにも・・

今回の騒動でマイナンバーおよびマイナンバーカードの制度的な課題が浮き彫りになったようです。その課題の内容や今後についてはこの記事での言及は省略します。第二波の心配もあるので、改善すべきは速やかに改善していただきたいものです。

スーパーシティ法案が成立し、今夏からスーパーシティ特区の募集が始まるようです。内閣が想定するスーパーシティの内容にはスマートな行政手続きを実現するような内容も含まれていました。これを実現するのであればマイナンバーは間違いなく必要になります。

より快適で生産性の高い生活が実現するよう、今回の特別定額給付金の騒動での反省は十分に生かされてほしいものです。

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