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好きを語る/整える

私は幼い頃から「整える」ことが大好きだ。
というか、そうせずにはいられないと言った方が正しいかもしれない。

母とスーパーに行くと、
いつもお菓子売り場に直行した。

買い物をすませた母が様子を見に行くと、
床に膝をつき、集中した様子でお菓子の箱を並べる私がいた。

そういえば、文房具売り場で
消しゴムを並べることに熱中したこともある。

今でも、コンビニのドリンク売り場で缶が倒れているのを見つけるとキチンとラベルを正面に向けて直したくなるし、本棚は高さ別に本を揃えて並べたい。

タオルは用途別に色を分けたいし、同じたたみ方で向きを揃えてしまいたい。

大人になってかなり融通はきくようになったが
心の中ではこういうことを考えながら
実はいろんなことにウズウズしている。

こんな私の性質は
なんだか大変そうだな
と思われることもあるかもしれない。

しかし、私は運良く、この性質を最大限に活かすことができる仕事についている。

「デザイナー」だ。

デザイナーになるには、芸術的感性が最も必要かのように思われがちだが、私がデザインで最も必要な要素は何かと聞かれたら

「細やかさ」と答えるだろう。

デザインは数値の世界だ。

オブジェクトを配置する時に感覚で置いたりはしない。画面上にある他の要素との関連性も考えた上でどこから何ミリと決定する。

色を決める時のパーセンテージ、オブジェクトを何度回転するか、文字の大きさと行間の関係などなど…

デザインには一つ一つの行動に必ず意味がある
(と私は思っている)

特に私はデータを作る上でも、デザインをする上でも、全てにおいてマイルールがある。

だからこそ、そのデザインがなぜそうなのかを
いつでも誰にでも説明することができるし、常に一定のクオリティで提供することができると信じている。

しかし、人にこの話をすると
「なんかデザインって思ったより大変そう」と言われることがある。

ところが私にとっては
「え!こんなに楽しい作業は他にはないよ!」
といえるほどのものなのだ。

きっと私にとって、スーパーでお菓子の箱を並べることとなんら変わりない、楽しい遊びに過ぎないのだろう。

それでは、そろそろその楽しい遊びに取りかかります。とりあえず、机の上に置いたものをきれいに並べてから。


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