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西部警察 第43話「4号岸壁の殺人」ロケ地巡り ~4号岸壁は千葉・市川塩浜! 巡査の団地はマリナーゼ垂涎の新浦安駅前だった!~

今回は1980(昭和55)年8月10日放映の西部警察 第43話「4号岸壁の殺人」のロケ地を巡ります。DVDやブルーレイをお持ちの方、配信動画をご覧の方は、ぜひ本稿と併せてご覧ください。いつもの通り、ネタバレを含みますのでご容赦を。間違いなどあればご指摘も歓迎します。

発展著しい渋谷で40年前と変わらず空き地のまま残る奇跡のロケ地跡があった

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渋谷・道玄坂に今もそのまま残る奇跡のロケ地跡!

冒頭は都心のビル群の谷間からスタート。路上に大量の血痕が残り、周囲では銃声が聞こえたとの報せ。ロケ地は渋谷区道玄坂2丁目のパーキングビル「新大宗ビル」前にある空き地でした。ここは第13話「大門軍団危機一発」冒頭でも事件現場として登場。放映から40数年を経た今も当時の雑然とした雰囲気のまま残っている貴重なロケ地跡です。

団長が現場わきの朝陽銀行通用口に気付き、夜間金庫の利用者に的を絞ると、キャバレーダイアナ?の売上800万円を集金した担当者が行方不明とわかります。

シルバーグレーの230セドリックが落とされた埠頭は竣工間もない船橋港!?

しかし時すでに遅し。集金車の230セドリック(シルバークレー)は、被害者と共に埠頭(運河)の海底から発見されます。

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230セドリック(画像はイメージです)

いかにも建設されたばかり、という真新しい埠頭。背景に「ユニフード株式会社」の建設予定地がチラッと映りました。かつて船橋市に工場があり、2009年に郊外の印西市へ移転した小袋調味料製造会社の社名です。そうなるとロケ地は船橋港付近(この辺りは食品コンビナートが集約されている)の可能性が高まります。

そこで船橋港で竣工間もないエリアを調べてみると、昭和54年供用開始の船橋中央ふ頭M1~M4岸壁(6~9)と中央ふ頭北E岸壁~北I岸壁(13~17)が浮かび上がりました。ただしユニフードの工場跡地が判然とせず、場所は明確に確定できず。残念。情報をお持ちの方はご教示くださるとうれしいです。

ちなみに船橋港での車両転落といえば、西部警察Part2 第40話「ペガサスの牙」(団長がハトのカタナに乗る貴重な回!)でも赤いルーチェが落とされるシーンが撮影されており、この頃の定番スポットだったのかもしれません。

巡査の住居は駅前徒歩5分、築40年でも高値で取引される好立地だった!

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千葉県浦安市美浜5丁目の「美浜東エステート」は今や駅チカ人気物件に!

発砲された銃は、なんと西部署警ら課の佐川巡査と千葉巡査所持のニューナンブと判明。両巡査は自宅謹慎に。

家族持ちの佐川巡査は、制服のまま真新しい団地へと帰宅します。この高層アパート群は千葉県浦安市美浜5丁目の「美浜東エステート」。放送ではしっかり何号棟で何階の何番と、部屋番号まで映し出されています(汗)。放映日は1980年8月10日。団地の竣工は1980年3月とのことで、新築間もない物件だとわかります。

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京葉線開通後の新浦安は、東京駅から20分以内と都心からも近く人気の新興住宅地。地元のマダムは、東京・白金台エリアの“シロガネーゼ”になぞられて“マリナーゼ”などと呼ばれていたり(笑)。

ロケ地の高層アパートは、埋め立て地の新興住宅地である新浦安エリアの中でも、最も早い時期に建てられた物件のひとつ。下の航空写真でもその様子を垣間見ることが出来ます。
平成に入って開通したJR京葉線新浦安駅前徒歩5分の好立地(新築時は未開通)ということもあってか、築40年を超えてもなお(おそらく)新築時の価格を超える高値で取引されていることが住宅情報サイトで確認出来ます。ああ佐川未亡人、手放さなきゃよかったのに(余計なお世話)。

東京湾の“4号岸壁”は千葉・市川塩浜! ただし現在はさらに埋め立てられて様子も一変

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見えづらいけど黒い×(バツ)マークの辺りがたばこ自販機のあったところか。画面左下中央で空き地だらけの中に立つのがが巡査の住む団地群「美浜東エステート」(造成中)

さて、なぜか佐川巡査は謹慎中だというのに、自宅アパート近くの4号岸壁で釣りに出かけ、息子の目の前で犯人グループに撃たれ死亡してしまいます(涙)。これは千葉県市川市塩浜付近の東京湾堤防。国土地理院の航空写真[1979年~1983年撮影]で×(バツ)印のところが、おそらくたばこの自販機があった辺り。
というのも、映像ではゲンの背景に薄グリーンのホイスト式クレーン(橋形クレーン)らしきものがチラッと映るのを確認。

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一直線だった堤防箇所へ新たに直角三角形状の埋め立てが追加されたことがわかります。×印の辺りに橋形クレーンのある工場が

現在の航空写真と見比べるとわかる通り、その後埋め立て造成が追加で行なわれ、道路やJR京葉線等の建設を実施。撮影時とは様子が変化していました。造成中だった美浜東エステートとの位置関係がわかります。

■物流倉庫が集中するエリアで当時からある建材の工場はここだけだった

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エムオーテック市川工場(市川市塩浜3丁目)。おそらくたばこの自販機はこの右の方向にあったはず

そして、周辺で橋形クレーンがあるのは、エムオーテック市川工場(市川市塩浜3丁目)くらい。当時の航空写真にもそれらしき施設が確認できます。ロケ地はここでほぼビンゴでしょう。
もともと国鉄京葉線貨物駅(現・市川塩浜駅付近)の建設予定があった(未建設で今も予定地形状に名残りアリ)ためか、この辺りは物流倉庫が集中的に建っており、建設資材の会社は稀。そのため場所が特定できました。
航空写真、造成地でのロケ地巡りには必須のアイテムですね。国土地理院さん、いつも助けられています…。

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手前がおそらくタバコ販売機のあった辺り。画像右手前側が堤防跡、左側が新たに埋め立てられたエリア。奥の送電線鉄塔も撮影時の雰囲気を残します

なお当時の堤防跡は、今も水路としてその面影をかろうじて残しています。写真奥が団地方向。ここをゲンが走ったわけですね。

西部署独身寮は西五反田! 千葉巡査は目黒不動尊で撃たれる

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正面方向が不動前駅方面。目黒不動尊は右奥の方向です

このあとの聞き込みや雀荘のロケは道玄坂付近か。続いて署内、大門宅、コーナーラウンジと室内セットのシーンが続きます。

そして千葉巡査が住む独身寮に、故・佐川巡査の息子が向かいます。背景に緑色で3両か4両編成くらいの古びた東急電車が通過。ここは西五反田3丁目付近、現在はタワーマンション群の建設が進む再開発エリア「MEGURO MARC」の辺りでしょう。都会のローカル線だった東急目蒲線も今や目黒線と名を変え地下鉄直通の主要路線となり、写真手前の目黒駅も地下化されて激変していますが、不動前駅方向の雰囲気は今も残っていますね。

警察拳銃盗難のきっかけを作ったチンピラ2人が出てきた喫茶店(無線で「恵比寿南1丁目」と報告、実住所だとすると恵比寿駅の中目黒側で目黒寄りの繁華街です)のロケ地は不明。

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目黒不動尊 瀧泉寺

千葉巡査が犯人に脅され独身寮から連れていかれる寺社は目黒不動尊 瀧泉寺(目黒区下目黒3丁目)。独身寮から歩くと15分以上はありそうですね。境内で千葉巡査が撃たれ、犯人たちは日産のトラック「キャブオール」に乗って逃走します。

舞台はカーアクションお約束の芝浦ふ頭エリアへ

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犯人が身を寄せた倉庫群、今ではこんな立派なビル型倉庫に大変身

逃走したトラックが着いた晴海の古い倉庫には「七」の印。実はロケ地は中央区晴海界隈ではなく、港区海岸3丁目(芝浦ふ頭)にある栗林運輸でした。七は栗林運輸の屋号なのです。背景の貨物引き込み線は廃止され、跡地にはゆりかもめ線や首都高の高架橋が建つなど、当時の面影など全く想像できないほどの激変ぶりです。

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しかし“七”の屋号は撮影時と変わらず継承!

ただし栗林運輸の倉庫はその地で再建。大きくなった倉庫ビルには今も当時と同じ七の印がついているのがムネアツです!

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トラックが走り去るシーンで出てきた道

パトカー急行シーンは定番の芝浦運河通り。続く追跡シーンは、さきほどの倉庫周辺(港区海岸)を場所を変えながらぐるぐると続きます。

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パブリカ横転シーンはこちらで

この辺りは当時の西部警察におけるカーアクションシーンの定番ロケ地ですね。通行車両のトヨタ パブリカが横転したり。

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スカイラインが横転するのはこちら

ケンメリスカイラインが横転し(なぜかさっきの)銀色のパブリカに衝突したり。

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トイレットペーパーを投げつけたロケ地。背景のアパートは当時と同じ

さらにはカーブを曲がり切れなかったトラックがチリ紙交換のトラックを蹴散らして、集配人から怒りのトイレットペーパーを投げつけられるコミカルなシーンを挟みつつ、一行は別の空き地へと向かいます。

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空き地にはその後高層の東芝ビルディング(浜松町ビルディング)が建った

直前まで230セドリックだった黒パトはなぜか330セドリックにすり替わり横転。壊されるのにむしろ年式が新しくなるパターンはちょっと珍しいかも!?
そして犯人のトラックも石油のドラム缶に衝突し、そのまま大爆破&大炎上! うーん痛快! でもぶつかる前からトラックがちょっと燃えていたのは気にしないように… 

背景に東芝浜松町ビルの別館が見えることから、ロケ地は建築前の地上40階建て高層ビル「東芝ビルディング」(現・浜松町ビルディング)建設用地(港区芝浦1丁目)とわかります。

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赤いIEC(インターナショナルエクスプレス)のロゴのあるビルは当時のまま! 奥の青い水門は撮影時赤色でしたね

都心のど真ん中、浜松町の駅前でこんな大爆破シーンが撮影できる空き地は貴重だったのでしょう。この場所でのカーアクションシーンは、西部警察や大都会シリーズ、またほかのドラマ(例えば松田優作主演の「探偵物語」)などでも観ることが出来ます。

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その後1984(昭和59)年に竣工した東芝ビルディング。西部警察Part3の最終回ラスト、木暮課長が港にたたずむシーンでも港の向こうに見えましたね。
しかしこの東芝ビルディングも、なんと次なる再開発のため2022年中に取り壊しされる!というから驚きます…!
高層ビルがたった40年で解体って早くない!? それより前にできた新宿の高層ビルが解体って話、まだ聞きませんが…。

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エンディングのロケ地、この右の堤防に見えるのですが…(調布市染地の染地通り)

さてエンディング、唐突に団長と課長が歩くシーンは、石原プロモーションや、セットがあるにっかつ撮影所にもほど近い調布の河川敷でしょうか。
前シーンとのつながりの悪さが気になりますが、他の回で撮られた映像の流用もしくは別カットなのかもしれません。これは後日検証しましょう。

という訳で西部警察ロケ地巡り、今回は第43話「4号岸壁の殺人」からお届けしました。いかがでしたか。

不定期更新ですが、次回もお楽しみに…
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