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西部警察 第24話「獅子に怒りを!!」ロケ地巡り・後編 ~大門がヘリに飛び乗る名シーンは船橋ヘルスセンターの跡地だった~

前回に続き、1980年3月23日放映の西部警察 第24話「獅子に怒りを!!」の後編、クライマックスシーンのロケ地をめぐります。DVDやブルーレイをお持ちの方、配信動画をご覧の方は、ぜひ本稿と併せてご覧ください。いつもの通り、ネタバレを含みますのでご容赦を。間違いなどあればご指摘も歓迎します。
▼ロケ地巡り前編はコチラから▼

国際電信電話公社の撮影地は、なんと当時の日産自動車 銀座本社!

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かつての東銀座・日産本社ビルがロケ地に
第三の被害者である女子大生が映像で「身代金を払わないと殺されるんです」と訴えかけるという、国際テロリスト級の衝撃ビデオを流していたのは、東芝ストアー 渋谷駅前店(七五三商会、現存せず)。

20億円の偽札をトラックに積み待つも、犯人は身代金を手渡しではなくスイス銀行へ直接振り込めと要求。万事休す!

そこで、着金確認をすると読んだ大門たちは、国際電信電話公社(実際の当時のKDDは「国際電信電話株式会社」で特殊法人の形態をとる)に出向き、交換台からスイスへの国際電話の取次過程を通じ犯人の声紋鑑定に加え、犯人グループの電話番号を入手する策に出た!

国際電信電話公社の撮影地は、なんと当時の日産自動車 銀座本社(中央区銀座6丁目)! 懐かしい!

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敵のアジトが判明し大門たちが黒パトで飛び出す玄関も当時のまま!
日産の新型車が出ると、銀座4丁目の交差点にある日産ギャラリーだけでなく、東銀座の1階ショールームギャラリーまでわざわざ出向いて、ニューモデルを観たりカタログをもらったりしたものです。マスコミ向け御披露目会がここで行なわれる関係で、発表日に出向くと新型車がグレード毎に並んでいてなかなか見応えがあるんですよ。

2009年に日産本社が横浜みなとみらい地区へ移転した後解体されるかと思いきや、今もビル自体は当時の姿のまま、耐震補強のうえ「銀座6丁目-SQUARE」として現存しています。

と、またまた余談に花が咲いてしまいました…。

前編に続き国道357号線湾岸道路が登場! しかし後半のロケ地は“船橋”だった

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国道357号線(湾岸道路)浜町3丁目交差点 画面右奥が船橋競馬場、手前側が敵のアジトロケ地だったりします

さて、電話番号で判明した犯人のアジトは芝浦らしい。周辺道路は警察が封鎖。

一瞬映った国道の検問シーンの背景には、ベージュ色の歩道橋と、その後ろになにやら特徴的な監視塔。競馬場のコースを見守るパトロールタワーがチラッと見えます。

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参考:船橋競馬場のパトロールタワー(監視塔)

このロケ地はまたも国道357号線湾岸道路。しかし今度は千葉県船橋市の浜町2丁目交差点で、奥は船橋競馬場です。現在はセンターライン頭上を覆う高速道路(東関東自動車道)も当時は建設前。画面には映っていない左側には、放映直後の昭和56(1981)年4月にオープンした「ららぽーと船橋ショッピングセンター」(現・ららぽーとTOKYO-BAY)が。当時日本最大のショッピングモールでしたね。

歩道橋はその後増設されていますが、当時のままのベージュカラーで今もあります。

懐かしい! 船橋ヘルスセンターの大プール跡地が敵のアジトに!

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国土地理院の航空写真[1979年~1983年撮影]。ハート形の施設が船橋ヘルスセンター 大プール跡・下は船橋オートレース場と冷凍倉庫、右のゴルフ場はその後屋内スキー場「ザウス」、のちにIKEAに…ちなみに運河の対岸には昭和産業のサイロがあります
ああ、やっぱり今回も長文になってしまった…アジトの古びた建物はところどころカラフル。ロッカーや露店の台なんかが転がっているので、遊園地かなにかの廃墟か。
と、背景右には穀物を貯蔵するサイロ。「昭和産業」の文字がチラッと見えます。こちらは製粉やパスタを製造するSHOWA(昭和産業)船橋工場。1964年に出来た施設とのこと。

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放映画像にも映っていた手前の橋脚は、当時建設中だった国鉄(現・JR)京葉線、青い橋は国道、奥の防音壁は撮影時未建設だった東関東自動車道です
そして大門軍団が到着。背景には高い高架橋(建設中の国鉄京葉線)と、さきほどの湾岸道路の橋脚が映ります。

さてこの廃墟は…。

「船橋ヘルスセンター」にあった大型プール施設跡でした。船橋ヘルスセンター、首都圏在住の50代以上の方には懐かしい響きかもしれません。天然温泉を中心とした大型娯楽施設でした。その広大な跡地をららぽーと船橋ショッピングセンター(現・ららぽーとTOKYO-BAY)に転換したのですが、プール跡はこのあとテニスコートになり、さらに利用者の拡大に伴いららぽーとの駐車場へと変わっています。全盛期はドライブインシアターもありました。ちなみに屋内スキー場のザウスや、その後のIKEAなどは、プール隣接地の旧・船橋サーキット、ゴルフ場跡地に建っています。

渡哲也さん自らスタント無しで挑んだ名シーンのロケ地は船橋だった

大門が飛び上がるヘリにぶら下がるという危険なシーンを、なんとスタント無しの体当たりで渡哲也さんが演じています。おかげで迫力のクライマックスシーンとなりました。格闘のうえ、犯人のパイロットがあっさり降下するのはまあご愛敬ということで(笑)。

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国土地理院の航空写真[1974~1978年頃]
国土地理院の航空写真には、プールがまだ営業している頃(昭和40年代後半から50年代前半)の写真も載っていました。エンディングで流れる上空からのシーンと同じ路面の赤と青いラインが確認出来ます。DVDやブルーレイをお持ちの方や、配信動画をご覧の方はぜひ見比べてみてください。

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2014年頃のロケ地跡
また画面を良く見ると、公団若松団地や、船橋港の食品コンビナートにある冷凍倉庫など現存の施設や、船橋サーキット跡を活用した船橋オートレース場(2016年廃止)もほんの一瞬映り、船橋港であることが再確認できます。地元の方は要チェックです。

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様変わりした現在のロケ地跡の様子
そんな駐車場も南側(画面下)は船橋オートレース場閉鎖と共に再開発され巨大な配送センターなどの施設に。さらに北側にかろうじて残っていた駐車場も2021年には閉鎖され、現在は大型多目的アリーナ「LaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ 東京ベイ) 」が建設中。地元船橋のプロバスケットボールB1チーム「千葉ジェッツ船橋」のホームグランドとなる予定です。

渡哲也さんが体当たりで撮影に挑んだ名シーンから、もう40年余りが経過。昭和の一大娯楽施設だった船橋ヘルスセンター 大プールの痕跡も、弧を描く土地の境界に名残りを残すのみとなりました。ロケ地巡り、急いだほうがよさそうです。
という訳で西部警察ロケ地巡り、今回は第24話「獅子に怒りを!!」ロケ地巡り・後編をお届けしました。いかがでしたか。

不定期更新ですが、次回もお楽しみに・・・

▼「西部警察」ロケ地巡り コチラもご覧ください▼



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