設計から始めた自作キーボード「prolong33」について

完成!

noteを書き始めたのは春頃だったような気もしますがすでに季節は盛夏。自作キーボードを設計からやろうと志してから早半年ほどが経ってしまいましたがとうとう完成しました。あほな失敗をかなり重ねたので達成感よりもようやくっていう安堵の方が大きいですね…

フロント
リア
ロゴ もっと寄れるレンズが欲しい

名前は「prolong33」と命名。もともとnomu30にハイフンキーを足したかったことが自作の発端でここから名前を付けようと。ということで調べたら日本語の「ー」は音引きとか長音記号とか伸ばし棒とかがもうそのまま名前だということで、別に正式名があるんじゃないかという期待がさらっと裏切られ、それでも何かないかなとさらにまつわる話を調べると、JIS漢字コードでは「KATAKANA-HIRAGANA PROLONGED SOUND MARK」と呼ぶらしい。形状も横に長く伸びてるし、小文字で書いたときに左右対称っぽくて収まりがいい感じがしたのでここから一部分を取りprolongとしました。

構造は単純なサンドイッチマウントで左右の端だけで支えるようにしています。メインPCBもキースイッチが刺さっているだけなので結構たわみます。キースイッチはEverglide Aqua King Switches の62gを使用。

当初はSilent Alpacaにしようかと考えていたのだけれども、試し打ちをしているうちに底打ちした時のぐにゃっとする感が気になりだして、ほかの選択肢はないかなと候補を見ている中で、評価も高くお値段も抑えめなこいつを選んでみました。レビューされている通りまっすぐスコスコとした打鍵感で、底打ちしてもステムの先がカツンと当たるような感覚ではなく、サイレントとは銘打っていないけれども比較的静かな打鍵音です。リニア軸で基盤もたわむのでふわっふわ。

キーマップ

 そもそものレイアウトの話ですが、ハイフンキーをMの右に置いてスペースをそのまた右に、エンターをISOでなくUSでとも考えはしたのだけれども、ホームポジションで右小指がエンターに乗っかっているっていうのがどうにももぞもぞしてそれを解消するのに、いうてキー数を増やしたくないという思いとの兼ね合いでこうなりましたと。なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいです。

as you wish

無いものをあるところに埋めていくので何が最適かというのはないのですけれども、自分で好きなようにできるのが良いところなので。
このキーボードは職場で使う予定なのですが、会社のPCがセキュリティ的に設定変更できず日本語環境固定なので記号類は「JP_xx」でファームウェアに書いています。無変換とか使ったことないので、ほかにまだアサインしていないキーも含めてどうしようかなあって感じです。
qmk firmwareはまだまだ勉強中でなんでコンパイルできているかも理解できていません。借り物を参考にして何とか動かしているのが実際のところ。ちゃんとこのキーボード用に書いてあげないと。

制作時のあれこれ

type-cの手はんだ

はんだ付けも自作キーボードの楽しみだと思えたのですが、pro microを使わない設計にしたので手はんだはどうやるんだと動画見たりして勉強したのですが、やはりUSB2.0とはいえtype-cを手はんだするのはかなり厳しいです。失敗基板で練習もしましたがいくらフラックスを塗ってもくっつくんですよねえ。
なのでやはりメタルマスクは必須。ほかの部分はともかくUSB端子の部分だけペーストはんだを使うようにしました。それでもペーストはんだをうまく乗っけること自体が難しく、量と伸ばし方とメタルマスクの外し方をいい感じにやらないといけない。まぁでも失敗はいくらでもできるし数回やれば成功はします。

自宅リフロー

ペーストはんだを使うということは自宅リフローになるので専用にホットプレートを買いました。何℃で何分というのも先人の知恵をお借りして、はんだ付けはまあうまくいきました。
なんですが、ホットプレートの熱の伝わり方のせいなのか単純に温度が高かったのか、基板の一部がじわっと焦げてしまいました。動いているので結果オーライ。温度を下げるか、均一になるように金属板を1枚敷くか工夫をしないといけないのかもしれません。一部分だけリフローするならヒートガンのほうがいいのかもしれない。

キーキャップとスタビライザー

基板を発注した後に、「スタビライザー買わないと」って物色をしていたのですが、3Uって無いのですね。基本2Uで変則になるサイズのものはワイヤーをなんとか調達しないといけない。スペースキーを当初3Uにしていたのですが実はそういう事情があると後から知り難儀しました。まあ遊舎工房さんで扱いがあるんですけれども、それでも、頒布する計画もないですがプロダクトとしてよろしくはないかなあという勝手な思いと、2.75Uにすることで下段行のズレが一般的なキーボードと同じになって違和感が出ないかなという期待と、なによりキーキャップの選択肢が狭まってしまうことを回避することを理由に変更しました。
2.75Uにして基板発注し直したらキープレートの方を直し忘れていて再々発注をするなど。ぐぬぬ円安め…

レジストの色

今回はすべてFusionPCBに基板を発注したのですが、レジスト色に白を選択したところどうにも白色ではない。何回発注してもどれもやや青みがかっているように見えます。こういうのって業者ごとに違ってくるものなんでしょうかね。次回は別の業者を使ってみようと思います。

パッドの大きさ

一番初めに基板を発注した時、USBコネクタ部分のパッドはきっちり分かれていて、それでも「これを手はんだするのか」と辟易したものですが、2回目以降のものはどうにもくっついているようにしか見えず、そもそもこれ大丈夫なの?という見た目。テスタで確認はしましたが、肉眼ではわからない程度で分かれているようだと。2回目以降のは初めのとは別の名前のコネクタをkicadで設定していたからだと推測はできるのですが、最終版は初めのと同じにしても変わらなかったのでもうわからん。確認不足なだけで見返してみれば実際数値が違っているのかもしれない。

次にやりたいこと

しばらくはこのprolong33を使っていくのですが、今のうちはいいですけれどもその内にこのふわふわ打鍵感や打鍵音が気になってくると思います。これはこれで特色なのでいいのですけれども、オプション的にアクリルのミドルプレートを挟めるようにしてどう変わるのかというのを試したいところ。下段のシフトとスペースにスタビライザーを使っていて幅ぎりぎりなのでうまく形状を考えないといけない。でもこういう考えて実際に形にするっていうのがモノづくりの楽しいところなんですよね。
あと、今回キーキャップを刻印なしにしましたが、好きなフォントを使って自宅で昇華印刷もしてみたいという目論見。こちらも治具を作ったりが必要そうでなかなか手間がかかりそう。
このペースなのでいつになるかはわかりませんが、次回はいずれかができた時になるかと思います。

この記事はprolong33で書きました。


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