4月

どこまでも穢れを知らない、大きく瞠かれた双眸。中央に瞳孔をもつ薄膜は個々で模様が異なるために指紋と同じ役割を果たすと聞いたことがある。それさえあれば私は、あなたが原型をとどめなくなったとしてもあなたを見つけることができる。あなたを愛している。

あなたの笑顔を思い出すたびに胸が張り裂けるように痛む。その度に絶望に飲まれ立ち尽くしたあの時のあなたの横顔を繰り返し塗りたくり、傷口を修復していく。だってあなたを愛している。

だからあなた、どうか私の思いを汲んで、世界一不幸な幸福者になれ。そうすれば私だって同じだから。
終わりまでもう少し。あともう少しだけ、もう少しをもう少しだけ 。