2月

冬が来るとたくさんのアイスを買い込んで、冷蔵庫の奥の方へまるで2人の秘密のように隠した。あなたはよく布団でお菓子を食べてはならないと私を嗜めたが、アイスだけは特別で、風呂上がりの上気した身体を絡ませながらアイスの冷たさに顔をしかめては笑った。

「もう春だね」と猫型のカレンダーを指差しながら、いつものように撫でるようにして指を絡ませた。思わず「こんなに肌寒いなんて、春はまだまだ先だよ、来なくたっていい」と返し、繋いだ手を振りほどいた。
一瞬驚いたようだったが、すぐに破顔して「急に不貞腐れてどうしたの、もしかして、春が来たら僕がコタツをしまっちゃうから?去年もそれで揉めたもんね」と頭を撫で、その手でまたこの手を拾おうとする。
違う、そんなことを言いたかったんじゃない。私はそんなことを思っているんじゃないよ。そんな風な、楽しくてたまらないといった顔で笑わないで欲しい。あなたは全然わかっていないよ。
私にはあなたしかいないんだよ。