2016年、キョンキョンと山口智子が女性たちを解放した。

女稼業は忙しい。
大学をストレートで卒業して、やっと仕事を覚えて独り立ちしはじめた4年目には結婚だ出産だと周りにせっつかれ、結婚出産をしたらしたで仕事と家庭の両立を求められ、そうしているといつのまにか両親が体調を崩し始めたりして、やっと落ち着いたころには50歳、60歳になってしまう。

ああ、考えただけでもめまいがする。

もちろん男性だって出世競争や周りからの重圧だってたくさんあるだろう。
しかし女性は生き方にバラエティがあるからこそ、隣の芝生が青く見えてあれもこれも欲しくなって、突然キャパオーバーになってしまう。

負け犬だと思われたくない、かわいそうな妻だと思われたくない、そんな気持ちで婚活・妊活してる人も少なくないじゃないだろうか。

シェリル・サンドバーグが著書「Lean in」の中で、恋人もいないうちから未来の子供のことを考えて勝手に仕事をセーブしたりしなくていい、と言っていた。
私も心からそう思う。

でもこうも思う。
それはあなたが「すでに手にした人」だから言えることなのではないか、と。

26歳から30歳くらいまでの女性は非常に不安定だ。
キャリアか家庭か、なんて普通はキッパリ割り切れない。

仕事が楽しいからいいや〜と思う日もあれば、急に「わたしもしかして一生ひとり…!?」という不安に襲われて布団でメソメソ泣き暮らす日もある。

女性向けメディアは愛されるコツを日々配信するし、VERYが最高の勝ち組妻たちを宣伝してくるし、親からはまだもらい手がないとため息をつかれるし、結婚しなければ人ではない、子供を産まなければ市民権がないような気になってくる。

そうやって、どんどん不安の種が大きくなっていく。

それもこれも「こうなりたい」という憧れが、既婚子持ち家庭円満仕事順調のパーフェクトな女性だけを中心に書かれてきたからだと思っている。

だいたい、そんななんでも持ってるスーパーウーマンなんて日本に何人もいないだろうに、みんながみんなその虚像を追いかけて疲れ果てている。

どんなにキャリアを積んでも未婚であれば-1。
結婚していても子供がいなければ-1。
既婚子持ちでも自分らしい働き方を実現できていなければ-1。

こんなの、誰が得するんだろう。
みんなそう思いはじめていたのに、これまでは代わりに憧れられる大人がいなかった。

彗星のごとく現れた、キョンキョンと山口智子というロールモデル

そこに現れたのがこの2人。
それぞれMEKURUとFRaUのインタビューが女性向けメディアにまとめられたことでSNSでも話題となり、同世代である40代〜50代からの反響はもちろん、若い女性からもウケているのである。

2人とも子供はおらず、キョンキョンにいたってはバツイチシングル。
どちらも、これまで熱狂的に支持されてきた「すべてをもつ女」ではない。

それでも彼女たちの生き方は素直に「うらやましい」と思えるのだ。
(私の稚拙な文章では伝えきれないのでぜひそれぞれ手にとって読んでみていただきたい)

どちらも公私ともに大変な苦労をしてきただろうし、結婚して子供を産み育てることが今以上に当たり前とされてきた時代を過ごす中で、子供をもたない決断や積極的決断ではないにせよその結果を受け入れるための葛藤は並々ならないものがあったと思う。

その苦労を乗り越えて、周りに信頼され愛され、自分の人生をまるごと愛している2人は本当にかっこいい憧れの女性だと思う。

この2人は、独身だろうが子持ちだろうが「持っているもの」に関係なく同じ笑顔でカメラの前に立っているような気がする。
「小泉今日子」として、「山口智子」として、自分の人生を生きているような気がするのだ。

どんなに愛し合っていても離れる時があるかもしれないし、子供だっていつかは巣立っていく。
50歳、というのは女性がもう一度「何ものでもない私」に戻るタイミングなのかもしれないと思う。

30年かけた日々の慌しさからふと解き放たれたとき、自分自身の価値を自分で認められているだろうか。
夫や子供に固執しすぎず、自分の新しい人生をまた踏み出そうと思えるだろうか。
こういうかっこいい大人になっていけるだろうか。
と、我が身を振り返る。

ゆっくり器を大きくして、今よりも年を重ねてからの方がもっと人生が楽しい!と言える私でありたい。

そのために清く正しく美しく、懐の深い人間として成長できているだろうか。
求めるよりも先に与えることができているだろうか。
肩書きや周りからどう見られるかよりも、自分自身の心地よさを大切できているだろうか。

頭ではわかっていても体得できていなかったこと。
どんなに理屈をこねても心のどこかで納得しきれていなかったことも、「ああ、この人のことか!」という出会いがあればこんなにもストン、と腑に落ちる。

これがきっと、表にでる人たちの存在意義なのだろうと思う。
キョンキョンも山口智子も、永遠のスーパースターだ!

(そういえばうちの母を思い返してみると、週5で働きながら子供3人を育て上げて休日は畑仕事もして、50歳で「親」を卒業した途端遊び歩いて人生を謳歌するまさにスーパーウーマンであった。灯台もと暗しである。)

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